エッジオン銀河めぐり三夜目2021/02/18

20210218_NGC5084
昨夜から今朝も透明度の良い空。明け方はマイナス4度近くまで下がって冬に逆戻り。前夜に続いてシーイングは悪く、空全体が瞬いて…というより飛び跳ねて踊っていました。それでもせっかくの晴れ間なので「ちょっとマイナーなエッジオン銀河めぐり」三夜目を続行。星像がボテッとしてるのはご容赦を。今回はおとめ座とうみへび座の境界にあるNGC5084(左画像)と、しし座の首元にあるPGC28700(右下画像)。

NGC5084は南中高度が30°あまりしか無いため、南側に高い建物がある我が家の駐車場ではギリギリ。建物からの熱放射もあってますます大気がゆらぎます。それでも東西に伸びる立派な腕が写ってくれました。明るい腕の末端からもっと先のほうまで淡いハロが伸びているのが分かります。大きな望遠鏡では細い暗黒帯まで分かるけれど、私の小さな望遠鏡では全く写りません。画像下側中央左寄りにもPGC46574という小さなエッジオン銀河があります。ここではかつて14等台になった超新星SN1997br(Type Ia)が発見されています。

20210218_PGC28700
PGC28700のほうは対象的に小さく暗いエッジオン銀河をセレクトしました。モニター画面では微かすぎてよく分かりません。街中なので背景の光害のほうが勝ってしまいます。この銀河を主役に撮影しようという方はとても少ないんじゃないでしょうか。でも、NGC4565を小さくしたような立派な面立ちや、ぼんやり光る銀河核が素敵じゃないですか。

画像左下に一緒に写っている線状の軌跡は小惑星でしょうか。黄緯が7.6°あまりなのでメインベルト小惑星がばんばん写ってもおかしくない位置です。

参考:
再びエッジオン銀河へ(2021/02/17)
エッジオン銀河めぐり(2021/02/11)

今日の太陽2021/02/18

20210218太陽
二十四節気の「雨水」を迎えました。春分を起点とする二十四節気としては、後ろから二番目。黄道を残り30°周り切ると春分に到達します。とは言え、当地・茨城は明け方にマイナス3.5度となり、日中の気温も一桁台。全国を見ても北日本や日本海側を中心に雪が多く、雨のシーズンには程遠いようです。

20210218太陽リム
左は9:55頃の太陽。活動領域はありませんが、驚いたことに北半球中央右寄りに黒点群が発生していました。生き残って番号がつくでしょうか?それから活発な領域が左やや上リムに到達したようで、明るい部分が見えていますね。はっきり見えないけれど、今のところ黒点はなさそうです。その上のプロミネンスは関係なかったようです。南半球には長いダークフィラメントが複数見えます。

午後にはまた雲が増え、風も5m/s程度まで強まりました。昨日と同じパターンです。昨夕は通り雨があって驚きましたが、今日はどうでしょうか?

2021年の台風1号が発生2021/02/18


20210218-0600UTC台風1号
気象庁によると、昨日発表されていた「台風になるかも知れない熱帯低気圧」が、本日15:00に台風1号「ドゥージェン/DUJUAN」になったとのこと。本年最初の台風発生です。直前の台風2020年23号の発生から60日と6時間が経過、23号消滅からは58日経過後の発生です。つまり約2ヶ月間は台風が発生していません。

左は発生時の衛星画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。ナチュラルカラー処理のため、薄水色の雲は活発に上昇した氷粒状態、白やグレイの雲は低層の水粒状態を表します。赤点線円は台風中心の直径1000km円を表しています。画像上側なかほどに奄美や沖縄があります。

台風1号は引き続き西進しており、日本へ直接の影響は無さそうす。統計的に年間でいちばん台風発生が少ない時期ですが、コロナ禍もありますし、お近くのみなさんはご注意ください。

年間ACE合計値の変化
ついでと言ってはなんですが、昨年発生した台風のベストトラックが気象庁から公開されていますので、台風の蓄積エネルギーを表すACE(Accumulated Cyclone Energy)が計算可能な1977年以降昨年までの全ACE値を計算、年ごとに合計した値の変化グラフを右に掲載しました。対象エリアは気象庁の台風監視区域(東経100-180°、北緯0-60°)、日時はJSTではなくUTC区切りです。(※日本に接近上陸した/しないはACEに影響しません。)

これによると、昨年は1999年、2010年、1998年についで四番目にACE値が少なかった年でした。日本への上陸がひとつもなかったけれど、アジア圏全体としても台風蓄積エネルギーの放出が少なかったと言えましょう。(※被害が少なかったわけではありません。)長い目で見ると、ACE値の増減はエルニーニョ/ラニーニャのサイクルとやや強い相関関係があります(→2018年11月9日記事参照)。昨年夏以降継続していたラニーニャ現象は今年春に解消する見込みで、その後はエルニーニョへ転じる可能性があります。そうするとまた強大な台風や、弱くても息の長い台風が多く発生…といったサイクルへ突入する可能性が高まるでしょう。

なお、月間ACE値のデータはアーカイブにまとめてあります。ご参考まで。