かつて尾を伸ばしていた小惑星Gaultは今…2020/08/28

小惑星Gault(6478/1988 JC1)
昨夕は比較的透明度の良い空。日中に酷く疲れていたこともあって月没まで仮眠し、月明かりの影響が少ない時間帯に暗い天体の観察をしようと考えていました。ところが夜半をすぎる頃からビミョーな雲行き…。

ひとまず真夜中から望遠鏡を向けたのは小惑星Gault(6478/1988 JC1)。覚えていらっしゃるでしょうか、2019年始めから春頃にかけて「長い尾を伸ばす小惑星」として話題になりました。この小惑星、ちょうどいま増光しているのです。去年話題になった頃より明るくなっているので、現在の様子を確かめようと思ったのでした。

撮影画像は左上の通り。一般的な小惑星のように点像でした。反転したりコントラストを上げたり、散々画像処理してみても尾らしい光は見当たりません。またそのうち何かがぶつかって尾を伸ばすことを期待しましょう。ま、Gaultに限らず小惑星はたくさんありますからね。

ところで、この撮影中から局所的な雨雲が点在し始めました。予定の半分も撮影できずに雲がやってきて終了。まだ雨は降りそうもなかったので雲を使ってフラット撮影。ところが何枚か撮ったところでポツポツ降り始めてしまいました。こういう浅い雨をやり過ごす用に大きめの自転車カバーを用意してあるので、急いで覆いました。

読み通り雨雲は20分程で去ったのですが…なんと、満天の星空が戻ったのにまだ雨が続いています。大雑把に言うと、小さい雨粒(地面や樹木の葉にあたっても音が聞こえない程度)は毎秒約5mの落下速度ですから、上空500mの雨雲からまっすぐ落ちるなら1分半以上、水平に流れたり巻き上げられたりしてたら数分はかかると考えられます。完全に雨が途切れて望遠鏡のカバーを外すまで10分以上待たされました。どんな落下コースだったのでしょうか?満天の星を見ながら顔が洗えるくらい濡れることになろうとは…。山で星見のおりに風向きの関係で星空に雪が舞った体験はありますが、今回のような雨は初めてでした。

20200828火星
そのあとフラット撮り増しを行いましたが、どうにも達成感がありません。せっかくなので、次の大きな雨雲が来るまでの30分間、火星に望遠鏡を向けました(右画像)。雨が降るまでシーイングが良かったのに、その後大気が揺らめきだしてしまったのは残念ですが、ひとまず小さな極冠のきらめきを眺めることができました。よく見るとオリンポス山やタルシス三山(の内の南2つ、パヴォニス山とアルシア山)が、蚊に刺されたような跡みたいに見えています。

既に昇っていた金星やオリオンなどもよく見えました。冬ほどではないにしろ、透明度だけは明け方まで良かったようです。

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