わずかな晴れ間にネオワイズ彗星初見、明るい新星も観察2020/07/20

20200719ネオワイズ彗星(C/2020 F3)
昨日午後から蒸し暑い晴天が戻りました。一時的ではあるけれど夜半頃まで晴れが続く予報。繰り越してる観察テーマが山ほどありましたが、2つに絞って日没前から準備を始めました。

まずは、ずっと見られなかったネオワイズ彗星(C/2020 F3)の観察。病気の関係で遠星はできないため、自宅か徒歩移動可能な近所に限られます。悩んだ挙げ句、自宅で見ることに。ただ都合が悪いことに、住んでいるアパートがネオワイズ彗星の方角に長く伸びているため、どこに機材を設置しても隣家の建物や電線などが写ってしまいます

薄暮終了とともに撮影開始。薄暮中に散々苦労して微調整したものの、やはり建物や電線が入り込んでしまいました(左画像ではトリミングしてあります)。あと50cm横にずらしてたら良かった…と思っても後の祭り。すぐ低くなってしまうため、再調整時間はもう残っていません。

光害がひどい街の上、薄雲が空を覆っていたのでコントラストは最悪。それでもなんとか尾が写ってくれました。肉眼では見えないものの、3cm双眼鏡を軽く降っただけで存在がすぐ分かりました。尾も数度見えます。

20200719ネオワイズ彗星(C/2020 F3)
左上画像を白黒反転させたのが右画像。もやもやした雲まで強調されてしまいましたが、太いダストの尾とともに、左側にすうっと伸びるイオンテイルも分かりますね。この彗星画像は画像方向を天の東西南北にも上下左右にも合わせてありませんのでご注意。

印象で3等台後半と見積もりました。高い山などで見ればまだ肉眼で見えるのでしょうが、ヘール・ボップ彗星や百武彗星などを見てきた世代としてはいまひとつ物足りない印象。それでもデジカメ高機能化時代に入ってから初の大彗星と言っても過言ではありません。

フラットなどを撮りつつ隣家に没するまで堪能しました。透明度の良い空で次に見ることができるのはいつでしょうか。

20200719_PNV J17580848-3005376
さて、休む暇なく第二のテーマに移ります。南天低いいて座に出現している新星がお次のターゲット。残念ながらネオワイズ彗星を見た場所では全く見えないため、機材一式を駐車場の真反対位置まで移動しなくてはいけません。この時点でもうヘトヘトでしたが、気合で乗り切りました。

この新星は7月16日夜に香川県の藤川繁久によって発見されました。発見光度が9.9等ということで、ネオワイズ彗星がなければ近年稀に見る明るい新星候補として話題になったでしょう。既に分光され、古典新星であることが分かっています(左画像では最初に付けられた符号のままPNV表記としました。)

銀河中心まで3°足らずの位置ですから、銀河の星と暗黒物質が入り乱れてますね。雲が度々通過する空模様だったため、一時撮影中断を余儀なくされましたが、屋根に没するまでになんとか撮影できたのは幸いです。苦労した甲斐がありました。

昨夜はこの他「マルカリアンチェーンに大接近するレモン彗星(C/2019 U6)」という豪華な取り合わせもあったのですが、宵の過密スケジュールで断念。またしばらくは曇りや雨になりそうなので、他の星仲間たちの観察に期待するとしましょう。

ごく淡い環水平アークが見えました2020/07/20

20200720環水平アーク
昨夕からの晴れの勢いは今日も少しだけ残っていますが、雲が多めの空です。日差しはあるものの太陽観察は無理。ボテッとした暖かそうな雲だから、気象光学現象も見えないかな…と思っていたら、ごく弱い内暈と環水平アーク(左画像)が偶然見えました。左画像はかなり彩度を上げてありますが、実際は見逃してしまう淡さです。

月末までしばらくは曇りや雨の予報続き。梅雨明けらしい空は当分期待できません。