海に眠る大陸ジーランディア2020/06/30

ジーランディア大陸
今年になって何度か「ジーランディア大陸」のニュースを目にしました。ジーランディアとはオーストラリア東部、ニュージーランドを中心に海底に広がっているとされる地形。日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)が海底掘削の世界最深記録を誇る地球深部探査船「ちきゅう」を使い、今年2020年に詳しい調査をする予定が発表されたのは2017年でした。

一般に大陸とは海上へ出ている広域部分を指しますね。現在はユーラシア大陸・アフリカ大陸・北アメリカ大陸・南アメリカ大陸・オーストラリア大陸・南極大陸の「六大陸」が知られますが、ユーラシアを便宜上アジア大陸とヨーロッパ大陸に分けて「七大陸」と呼ぶこともあります。海上か海底かを区別しなければ、大陸と呼べそうな広域の盛り上がりはいくつかありますが、そのひとつがジーランディア大陸です。

海底地形の調査はここ50年ほどでソナーや衛星を使い飛躍的な技術進歩を遂げました。Business Insiderの6月25日記事に最近の様子が書かれています。ニュージーランドのGNS SCIENCEという研究機関が最新の地図データを公開している(→E Tūhura - Explore Zealandia)とのことなので、早速ダウンロードして描いてみました(左上図)。なお記事中にこの大陸の発見が最近であるかのような表現がありましたが、私の記憶違いでなければジーランディアは随分前から知られていますね。描いてみて特に興味をそそられたのは、大陸そのものではなくて、その東側に直線状に並んでいる島々(もちろん海底地形)のほうでした。

ジーランディア大陸
ニュージーランドは日本にとても似ています。形や気候もさることながら、火山がとても多いところです。去年の暮だったか、北島の海岸から50kmほど離れたホワイト島で噴火が起きて多数の観光客が犠牲になった事故は記憶に新しいでしょう。島を縦断する断層や海底の沈み込みがとても多いことは、こうして自分で海底を含む地図を描いてみると一目瞭然(右図参照)。

この記事に載せた地図は意識して海底を高く見せています。もし地球の水が大幅に減って海面が2000mほど低下したら、この地図の薄黄色まで確実に陸域となるでしょう。

そんな状態になると日本とニュージーランドの決定的な違いが出ます。日本はユーラシア大陸と陸続きになりますが、ニュージーランドはジーランディア大陸の高地として、他の大陸からほぼ独立しているということ。(※オーストラリア大陸とは陸続きになりません。)その代わりフィジーやニューカレドニアには陸伝いに行くことができるのですから愉快です。オーストラリア大陸とタスマニアも陸続きになりますよ。もっとも地殻変動が無い前提でのお話なので、実際はもっと混沌とした世界になるのでしょうけどね。人間はもう「絶滅危惧種」になっていると思われます。

ジーランディア大陸(GEBCOデータ)
【付記】
よりはっきりご覧になりたい方のために、GEBCO最新データでも描いてみました。色合いは異なりますのでご了承ください。たぶん大域的にはこのデータセットが一番詳しいと思われます。(※この範囲では原図幅が10000ピクセルを越えてしまうため、2000ピクセルにリサイズしてあります。)

参考:
南極の氷を取り去ったら…(2019/12/21)