SOHO写野を横切りながら大増光したネオワイズ彗星2020/06/28

ネオワイズ彗星(C/2020 F3)
太陽観測衛星SOHOのLASCO-C3カメラに写り込んでいたネオワイズ彗星(C/2020 F3)が本日ようやく写野を通り過ぎました。左画像をクリックすると通過の様子がGIF動画で再生されますので御覧ください。(※ブログ容量制限があるため、だいぶ間引いてあります。ご了承ください。)

22日12時UT頃に見え始めたころ既に明るいなと感じたのですが、その後更に明るさを増しました。24日頃からは尾がV字に分かれて見えるような気がしたため、数カットを利用して特殊な合成を試みたところ、尾の分離がはっきりしました(下A画像)。

また25日以降は彗星頭部から左方向に向かって光が伸びてきました(下B画像)。これはアンチテイルなどの類ではなく、おそらく彗星頭部の光度が増して発生したブルーミングではないかと思われます。

20200104-2354SOHO
C3カメラによる惑星・恒星・彗星などの過去画像から、経験上は概ね1.0等星より明るい光でブルーミングが発生することが分かっています。(右画像参照/各惑星から左右に伸びている筋が撮像センサーのブルーミング現象。)

もしこの「光の伸び」がブルーミングとすれば、昨日・今日あたりは頭部の光度がこれより明るい0等台になっていると推定できるでしょう。当初の光度予測よりずいぶん明るくなっている可能性があります。7月中旬に見え始まるのが楽しみですね。

  • ネオワイズ彗星(C/2020 F3)の尾

    A.V字の尾
  • 20200627-1830UT-LASCO-C3

    B.明るい頭部
  • ネオワイズ彗星(C/2020F3)光度

    C.光度観測値と予測


【付記】
彗星が太陽に接近してブルーミングが出るほど明るくなった例はいくつもありますが、そのひとつにブラッドフィールド彗星(C/2004 F4)があります。その時の画像がSOHOサイトに残っています(下D画像)。彗星頭部から左右に棘のような光線が出てますね。この画像の約一週間後には明け方の空で雄大な尾をなびかせる姿(下E画像)が天文ファンの心を鷲掴みにしました。ちなみに下画像はコンパクトデジカメによる一枚もの。左上にアンドロメダ銀河が見えますね。長い尾は肉眼でも見えました。

  • SOHOによるブラッドフィールド彗星(C/2004 F4)

    D.SOHOがとらえた
    ブラッドフィールド彗星
  • 20040425ブラッドフィールド彗星(C/2004 F4)

    E.2004年4月25日明け方の
    ブラッドフィールド彗星