衛星がとらえた6月21日の日食月影2020/06/21

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本日に夏至を迎えた日本では、全国的に部分日食を見ることができました。でも多くの地域は梅雨空で、雨は降らずとも太陽が見えないほど曇ってしまったようですね。当地・茨城も朝からどんよりで、そろそろ日食開始という時刻には小雨が降り出す始末でした。

気を取り直し、当ブログではいつものように日食そのものではなく「静止気象衛星がとらえた日食月影画像」を追いかけてみました。今回の日食はアフリカ・インド・台湾などをまたぐ広範囲で金環日食になるため、月の影が地球の一部を暗くし、その様子を気象衛星などを通じて見ることができます。

左は本日15:00JSTの気象衛星Meteosat8号画像(画像元:RAMMB/地図・画像処理は筆者)。パキスタンやインド北西部が月の影で暗くなっていますね。この影の中心から見上げると、空に「輪っかになった太陽」が見えているわけです。新型肺炎の蔓延やそれによる渡航制限などが無かったら、大きな経済効果さえある天文現象だったでしょう。

20200621日食図(NASA)
右はNASA Eclipseサイトによる今回の日食図。この範囲を撮影している気象衛星は日本のひまわりを含め、いくつもあります。今回は「ひまわり8号」に加えて、東経42°の赤道上空にいる「METEOSAT8号」を利用しました。 2019年12月26日の日食月影同様、この2基の衛星で全経路の月影を網羅できるからです。ただしMETEOSATのほうはひまわりと観測波長が違うため、Natural Color色調による表示としました(画像元:NICT、RAMMB/画像処理は筆者)。

概ね日出時に日食が始まる4:00UT(13:00JST)から、日没時に日食が終わる9:00UT(18:00JST)の範囲で30分おきに下表へ掲載しました。月影が移動する様子をじっくりご覧ください。

なお、今後しばらく全国的に見える日食は起こらず、2030年6月1日夕方まで待たなくてはなりません。日本の一部で見える日食は2023年4月20日午後に起こります。これは本州太平洋側沿岸(南寄りの海岸近くのみ)および四国と九州の南部・南西諸島・伊豆諸島・小笠原諸島などで見ることができます。日本ではほとんど欠けませんが、インドネシア付近を通る中心食帯で「ハイブリッド日食」つまり「見る場所によって皆既日食のところと金環日食のところがある」という極めて珍しいタイプの現象になります。

【余談】
日食と全く関係ありませんが、一ヶ月のなかには二十四節気の中から二回の節目が訪れ、このうち下旬になるほうの日に新月を迎えるということは、「翌月初旬に満月」になることを意味します。(※今回なら夏至に新月→7月5日に満月。)平均朔望月は一ヶ月の平均日数より若干少ないため、数ヶ月も経つと「月初めに満月」あるいは「月末に満月」がやってくるでしょう。

この状況は「一ヶ月に二回の満月があるときの二回目」という、ブルームーンの定義(のひとつ)に一致する可能性がグーンと高くなりますね。事実、今年10月には二回の満月があリ、二回目の10月31日はブルームーンになります。(→アーカイブ「満月とブルームーンの一覧」参照。)なお一回目の満月前夜(10月1日)は中秋の名月ですからお忘れなく。


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参考:
衛星がとらえた12月26日の日食月影(2019/12/26)
衛星がとらえた7月3日明け方の日食月影(HIMAWARI編)(2019/07/03)
衛星がとらえた7月3日明け方の日食月影(GOES編)(2019/07/03)
アーカイブ:静止気象衛星による日食月影の可視範囲