2020年のうるう秒挿入はなくなりました2020/01/07

LOD差分の変化
2020年にうるう秒挿入があるかどうかは微妙なところでした。本日2020年1月7日時点でまだ情報通信研究機構(NICT)・日本標準時グループのサイトには広報されていませんが、国際地球回転・基準系事業(INTERNATIONAL EARTH ROTATION AND REFERENCE SYSTEMS SERVICE /IERS)のNEWS BULLETINで「2020年7月1日(6月末UT)のうるう秒挿入はない」と正式発表がありました。(※閏調整を決めているのはNICTではなくIERS。あたりまえですが時計管理は国際的な事業なのです。)

一年の最初と真ん中で行わないと言うことは、今年はもう調整しないことになります。閏調整は世界時で12月末または6月末に行う決まりですから。(※日本時間なら元旦9:00直前または7月1日9:00直前。)おや、そんなに狂ってないのかと思い、例の如くグラフ化してみました。左上図は本日時点でIERSから発表されていた昨年12月3日までのLOD(Length of Day:1日の実測長)データを元に、2015年初め以降のLOD差分(24時間との差)を描いたグラフ。また右下図は前回のうるう秒挿入(2017年1月1日9:00:00JST)以降2020年12月3日までのLOD累積加算やUT差分を描いたグラフ。

2017-2019年LOD累積
原因(?)は、2019年6月頃から10月頃までずっと1日の長さが概ね「24時間より短かった」ことにあるようです。LODが半年レベルでマイナスになったのは、私が覚えてる範囲だと2004年や2005年以来ではないかと思います(※後述追記)。このため、それまで減少傾向の一途にあったUT差分が夏から秋にかけて和らぎ、一時的に微増さえしました。12月初旬の時点で初夏とほぼ変わらない結果ですね。今年1年間経っても1秒調整を考慮する差に達しないと見込まれ、結果、今年7月の調整が見送りになったのだろうと考えられます。(※最初のグラフを見ると分かりますが、LOD差分は一般に冬に大きく、夏に小さくなります。)

一日一日は何も変わらない様に思えますが、微少なところで様々な変化があるのですね。兎にも角にも、オリンピック間際に時計調整という混乱は無くなったようでよかったよかった…。なお、現時点で協定世界時(UTC)-国際原子時(TAI)はマイナス37秒です。

LOD差分の変化
【追記】
上に述べた「過去に半年レベルに及ぶマイナス時期があったか」調べるため、1980年以降について移動平均グラフをあらためて描いてみました(左図)。記事最初のグラフは左図のラスト4年間ということになります。

LOD差分はおよそ1年周期で上下変動があり、長期で見ると十数年周期におよぶ緩やかな変化が見られます。やはり2005年前後にかけて落ち込んでいたようですね。ちなみに1999年から2008年までに実施されたうるう秒挿入はたったの一回でした。LOD差分がゼロ近辺を上下する期間は平均的に見れば地球が86400.000秒で一周してくれるということだから、閏調整が必要ないのですね。今回の急降下はここ数年の傾向である程度予測できましたが、公開されている1960年代以降の観測史上極小に届くような値です。万が一、左図の青線が長期に渡りマイナス値を維持する傾向になれば、史上初の「うるう秒削除」が起こるかも!?今後に注目です。

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