衛星がとらえた7月3日明け方の日食月影(GOES編) ― 2019/07/03
気象衛星ひまわりによる日食月影画像に続いて、アメリカの気象衛星GOESシリーズによる画像をお届けします(画像元:RAMMB/画像処理は筆者)。アメリカを挟んで東西に配置されている二機のGOESは日食帯をほぼカバーする位置だったため、両方を合わせて見ると三次元的に影の移動を捉えることができるでしょう。
残念なことに二機とも時々画像取得がうまくいかない(RAMMBサーバーに画像が無い)ことがあり、二機揃って同じタイミングというのは難しいようでした。17:00UTから21:30UTまできっちり30分おきに揃えたかったけれど無理なので、プラスマイナス10分まで認めることにして下表を埋めました。それでも見つからない場合はナチュラルカラー画像(雲が水色のもの)を掲載してあります。なおGOESはHIMAWARIと違って可視光緑波長域を撮影してないため、代わりに植生を写す波長(Veggie Band)を使った擬似RGB-TrueColorとしてコンポジットしました。
左はGOES-17による19:20UT撮影画像。上側に見えるのはハリケーン「BARBARA」。結構発達していますね。NATIONAL HURRICANE CENTERによると2日15:00UTにはカテゴリー4に達したので、かなり強いようです。でも月影の大きさに比べたらハリケーンも霞むでしょうか。まるで太平洋にブラックホールができてしまったみたいですからね。
残念なことに二機とも時々画像取得がうまくいかない(RAMMBサーバーに画像が無い)ことがあり、二機揃って同じタイミングというのは難しいようでした。17:00UTから21:30UTまできっちり30分おきに揃えたかったけれど無理なので、プラスマイナス10分まで認めることにして下表を埋めました。それでも見つからない場合はナチュラルカラー画像(雲が水色のもの)を掲載してあります。なおGOESはHIMAWARIと違って可視光緑波長域を撮影してないため、代わりに植生を写す波長(Veggie Band)を使った擬似RGB-TrueColorとしてコンポジットしました。
左はGOES-17による19:20UT撮影画像。上側に見えるのはハリケーン「BARBARA」。結構発達していますね。NATIONAL HURRICANE CENTERによると2日15:00UTにはカテゴリー4に達したので、かなり強いようです。でも月影の大きさに比べたらハリケーンも霞むでしょうか。まるで太平洋にブラックホールができてしまったみたいですからね。
GOES-17(GOES-WEST) | 時刻 | GOES-16(GOES-EAST) |
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17:00UT | ||
17:30UT | ||
18:00UT | ||
18:30UT | ||
19:00UT | ||
19:30UT | ||
20:00UT | ||
20:30UT | ||
21:00UT | ||
21:30UT | ||
シ ミ ュ レ | ト |
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GOES-17(GOES-WEST) | 時刻 | GOES-16(GOES-EAST) |
- 時刻は目安です。概ねプラスマイナス10分以内に撮影されたものとお考えください。
- シミュレートは自作プログラムによります。気象衛星諸元はCGMSサイトを参考にしました。
降り始めからの総雨量1000ミリ越え… ― 2019/07/04
気象庁はアメダス降水量の統計値を、日ごと(0時区切り)、あるいはスタート時刻を区切らず連続した1時間、3時間、6時間…といった具合に72時間までの合算値を集計し、サイトで発表しています。大抵の雨は降り出してから止むまで長くて3日くらいだろうということでしょうか。
天気ニュースでよく聞く「降り始めからの総雨量が500ミリを越えて…」といった数値は終わりを区切っていませんから、3日(72時間)をオーバーすることもあるわけです。そのような大雨記録を現状の気象庁サイト検索機能で探すことはなかなか困難で、もどかしいところ。
ところで、今日明け方まで続いていた南九州の大雨は、降り始めが6月25日頃のようでした。今日まで入れれば実に10日間!途中で小康状態になったところもあるため、降り始めについては考えが分かれるところです。私は対象場所において「降り始めは1日合計10mm程度の雨が連続しだしたとき」「降り終わりは1日10mm未満が連続したとき」「途中で一時的に減っても地域全体で降っているならカウントに入れる」という独自ルールで考えてますが、これだと観測地ごとに期間がバラバラになってしまう可能性もあり、悩みどころですね。
雨が多かった期間を設定し、2018年の西日本豪雨と今回のワースト20ポイント総雨量を比べてみました(下表)。どちらがすごかったなどと言うつもりは無く、ただただ悲惨な状況を心配するばかりです。今回の宮崎県えびのポイントでは年間降水量の4分の1以上がたった9日間で降ってしまったことに…。えびのポイントは去年のリストにも入ってますね。
大雨は「止めば終わり」とは行かず、止んだ後もしばらくは増水や崩落などの土砂災害、そして復旧までの長い道のりがあります。万が一にも梅雨時期から夏にかけて長い避難生活に突入すると、熱中症や高ストレスなどのリスクも避けられません。十年、二十年と経てばこれが常態化するというのですから頭が痛いです…。
参考:
特別警報が発令中(2018/07/07)
天気ニュースでよく聞く「降り始めからの総雨量が500ミリを越えて…」といった数値は終わりを区切っていませんから、3日(72時間)をオーバーすることもあるわけです。そのような大雨記録を現状の気象庁サイト検索機能で探すことはなかなか困難で、もどかしいところ。
ところで、今日明け方まで続いていた南九州の大雨は、降り始めが6月25日頃のようでした。今日まで入れれば実に10日間!途中で小康状態になったところもあるため、降り始めについては考えが分かれるところです。私は対象場所において「降り始めは1日合計10mm程度の雨が連続しだしたとき」「降り終わりは1日10mm未満が連続したとき」「途中で一時的に減っても地域全体で降っているならカウントに入れる」という独自ルールで考えてますが、これだと観測地ごとに期間がバラバラになってしまう可能性もあり、悩みどころですね。
雨が多かった期間を設定し、2018年の西日本豪雨と今回のワースト20ポイント総雨量を比べてみました(下表)。どちらがすごかったなどと言うつもりは無く、ただただ悲惨な状況を心配するばかりです。今回の宮崎県えびのポイントでは年間降水量の4分の1以上がたった9日間で降ってしまったことに…。えびのポイントは去年のリストにも入ってますね。
大雨は「止めば終わり」とは行かず、止んだ後もしばらくは増水や崩落などの土砂災害、そして復旧までの長い道のりがあります。万が一にも梅雨時期から夏にかけて長い避難生活に突入すると、熱中症や高ストレスなどのリスクも避けられません。十年、二十年と経てばこれが常態化するというのですから頭が痛いです…。
【2018年7月初旬の大雨】※西日本豪雨
※2018年6月29日から7月8日までの日降水量合計
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【2019年7月初旬の大雨】
※2019年6月25日から7月3日までの日降水量合計
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- 気象庁アメダスデータを使って独自集計した値です。集計基準が異なると思うので、報道などと少し違うかも知れません。
- 各地点の実際の降り始めがどの時点だったかは考慮せずに期間を設定しています。
- 年降水量が書いてないものは統計期間が短いなどで平年値が求まっていないケース。
参考:
特別警報が発令中(2018/07/07)
板垣さんがまたM31に新星候補発見、撮影するも失敗 ― 2019/07/05
先月6月26日の新星候補発見に続いて一昨日7月3日未明(JST)、山形県の板垣公一さんがまたしてもM31・アンドロメダ銀河に17.8等の新星らしき天体を発見したそうです。私の機材では限界光度ですが確認撮影したいと思っていました。ところが一向に晴れません。そもそも日本各地で大雨になってる時期。発見自体が奇跡と言えましょう。
当地・茨城は昨日午前中豪雨に見舞われましたが、宵を迎えると少しずつ雲が取れてきました。流れる雲さえ気にしなければ何とか撮影できるかも?そう思っていましたが、ときおり思い出したように雲が小雨を運んでくるので、なかなか準備させてもらえません。
夜半前にようやく安定してきたため急いで準備。まだ低くて密集した電線越しに見えるアンドロメダ銀河に望遠鏡を向けました。いつまた曇るか分かりませんから、こんなときは低空だろうが電線越しだろうが雲が通過しようが、ためらわず撮り続けるに限ります。
でも(予想してたことですが)湿度100%に近い環境のため、冷却カメラに曇りが発生してしまいます。準備中からゆっくり曇らないよう冷却開始していましたが結露は解消しませんでした。空が晴れたのも最初の20分程度で、明け方まで待っても雲が取れるどころか霧雨まで降る始末。もちろんその前に撤収しました。
何十カットか撮った中で使えそうなのは5コマ。それも結露越しです。17等程度までは確認できるのですが、残念ながら18等に近い今回の新星候補は全く見えませんでした。恥さらしですが、簡易処理画像を右に置いておきます(白黒反転化)。フラット補正などは省略。中央から上側にかけての縮緬ムラはカメラの曇り由来です。赤丸付近が新星候補位置。この画像の写野は左上画像・黄色矩形のところです。
CMOSセンサは何十枚もコンポジットしてランダムノイズを滑らかにしないと限界等級の恒星が検出できませんね。いろいろ撮影ルーティーンの問題点も見えたので良しとしましょう。次に晴れるときまで暗くなってないと良いのですが…。
当地・茨城は昨日午前中豪雨に見舞われましたが、宵を迎えると少しずつ雲が取れてきました。流れる雲さえ気にしなければ何とか撮影できるかも?そう思っていましたが、ときおり思い出したように雲が小雨を運んでくるので、なかなか準備させてもらえません。
夜半前にようやく安定してきたため急いで準備。まだ低くて密集した電線越しに見えるアンドロメダ銀河に望遠鏡を向けました。いつまた曇るか分かりませんから、こんなときは低空だろうが電線越しだろうが雲が通過しようが、ためらわず撮り続けるに限ります。
でも(予想してたことですが)湿度100%に近い環境のため、冷却カメラに曇りが発生してしまいます。準備中からゆっくり曇らないよう冷却開始していましたが結露は解消しませんでした。空が晴れたのも最初の20分程度で、明け方まで待っても雲が取れるどころか霧雨まで降る始末。もちろんその前に撤収しました。
何十カットか撮った中で使えそうなのは5コマ。それも結露越しです。17等程度までは確認できるのですが、残念ながら18等に近い今回の新星候補は全く見えませんでした。恥さらしですが、簡易処理画像を右に置いておきます(白黒反転化)。フラット補正などは省略。中央から上側にかけての縮緬ムラはカメラの曇り由来です。赤丸付近が新星候補位置。この画像の写野は左上画像・黄色矩形のところです。
CMOSセンサは何十枚もコンポジットしてランダムノイズを滑らかにしないと限界等級の恒星が検出できませんね。いろいろ撮影ルーティーンの問題点も見えたので良しとしましょう。次に晴れるときまで暗くなってないと良いのですが…。
カリフォルニア州で大きな地震 ― 2019/07/05
アメリカの独立記念日となる昨日4日17:33UT(5日2:33JST)ごろ、カリフォルニア州で大きな地震がありました。米国地質調査所(USGS)によると、位置は西経117.50600°、北緯35.7051667°、震源の深さ10.71km、マグニチュード6.4。
いまどきM6クラスは珍しくないですが、大都市から離れていない場所や大きな被害が起こりうる規模の場合、心配になって調べてしまいます。2017年秋にメキシコで大地震が頻発したときと同様に震源マップを描いてみました(左図)。
カリフォルニア州と言えば「サンフランシスコ地震」に代表されるような地震の巣で知られますが、海岸に平行して陸部を横切るサンアンドレアス断層(群)の活動が地震の一端を(大部分を?)引き起こしていると見て良いでしょう。(※ただし今回の地震は少し離れています。)試しにUSGSが公開している断層位置情報を元に震源マップと同じフォーマットで地図にしたのが右下図。赤い線が見つかっている活断層(第四紀以降)で、十万本レベルの数あります。 海岸近くのサンアンドレアス断層付近だけ見てもメインラインが複数並んでおり、文字通り一筋縄ではありません。これが「断層群」と言わしめてる由来ですね。両地図の位置関係をじっくり見比べてみてください。
震源マップを見るとカリフォルニア湾からロサンゼルスを通り、サンフランシスコ北部から海岸を越えて太平洋まで震源が並んでいますね。震源深度が20kmより深いものは少なく、今回のように10km程度より浅いものが目立ちます。大地が裂けてできたかのようなカリフォルニア湾を見ていると、末恐ろしい未来を感じてしまう…いやいや、日本も他人事ではありませんよ。
余震がしばらく続くでしょう。被害が少ないと良いのですが…
【7月6日追記】 近い場所で前回を上回る余震が起こったようです。USGSのデータでは6日3:19:52UT、位置は西経117.6047974°、北緯35.7664986°、震源の深さ17km、マグニチュード7.1。今回が本震で、前回のM6.4が前震だとする見方が強いそうです。
左図は付近をやや拡大して描いたもの。断層位置および主な都市位置も描きました。3日間でM5以上が5回発生しています。
【7月10日正午追記】震源近くでは小さな地震も多数発生しています。10日昼(JST)時点のUSGSデータベースをもとにグラフ化してみました。一番最初の余震以降、10日0:00UT(10日9:00JST)までに発生したM1.0以上の地震は6969回でした。時間ごと&マグニチュードごとにカウントして積み上げグラフにしたのが右図です。
参考:
インドネシア・スラウェシ島で大きな地震(2018/09/29)
ハワイ・キラウエア火山が噴火(2018/05/05)
アフリカのこと。(2018/04/11)
メキシコ周辺の地震分布(2017/09/24)
いまどきM6クラスは珍しくないですが、大都市から離れていない場所や大きな被害が起こりうる規模の場合、心配になって調べてしまいます。2017年秋にメキシコで大地震が頻発したときと同様に震源マップを描いてみました(左図)。
カリフォルニア州と言えば「サンフランシスコ地震」に代表されるような地震の巣で知られますが、海岸に平行して陸部を横切るサンアンドレアス断層(群)の活動が地震の一端を(大部分を?)引き起こしていると見て良いでしょう。(※ただし今回の地震は少し離れています。)試しにUSGSが公開している断層位置情報を元に震源マップと同じフォーマットで地図にしたのが右下図。赤い線が見つかっている活断層(第四紀以降)で、十万本レベルの数あります。 海岸近くのサンアンドレアス断層付近だけ見てもメインラインが複数並んでおり、文字通り一筋縄ではありません。これが「断層群」と言わしめてる由来ですね。両地図の位置関係をじっくり見比べてみてください。
震源マップを見るとカリフォルニア湾からロサンゼルスを通り、サンフランシスコ北部から海岸を越えて太平洋まで震源が並んでいますね。震源深度が20kmより深いものは少なく、今回のように10km程度より浅いものが目立ちます。大地が裂けてできたかのようなカリフォルニア湾を見ていると、末恐ろしい未来を感じてしまう…いやいや、日本も他人事ではありませんよ。
余震がしばらく続くでしょう。被害が少ないと良いのですが…
【7月6日追記】 近い場所で前回を上回る余震が起こったようです。USGSのデータでは6日3:19:52UT、位置は西経117.6047974°、北緯35.7664986°、震源の深さ17km、マグニチュード7.1。今回が本震で、前回のM6.4が前震だとする見方が強いそうです。
左図は付近をやや拡大して描いたもの。断層位置および主な都市位置も描きました。3日間でM5以上が5回発生しています。
【7月10日正午追記】震源近くでは小さな地震も多数発生しています。10日昼(JST)時点のUSGSデータベースをもとにグラフ化してみました。一番最初の余震以降、10日0:00UT(10日9:00JST)までに発生したM1.0以上の地震は6969回でした。時間ごと&マグニチュードごとにカウントして積み上げグラフにしたのが右図です。
参考:
インドネシア・スラウェシ島で大きな地震(2018/09/29)
ハワイ・キラウエア火山が噴火(2018/05/05)
アフリカのこと。(2018/04/11)
メキシコ周辺の地震分布(2017/09/24)