明るくなってきたアフリカーノ彗星2019/07/26

20190726アフリカーノ彗星(C/2018 W2)
今年の彗星界は、昨年12月に発見された岩本彗星(C/2018Y1)が2月に辛うじて肉眼等級になったり、同じく12月に地球へ大接近して4等台となったウィルタネン彗星(46P)、スイフト・ゲーレルス彗星(64P)、ステファン・オテルマ彗星(38P)などの周期彗星グループが春先までまだ明るく見えていました。でも考えてみれば全て去年の“おこぼれ組”。既知の彗星で春以降にピークを迎えるものは総じて10等より暗いものばかり。毎年年末年始に行っていた彗星予想も行いませんでした。ベテラン観測家ならいざしらず、駆け出しの天文ファンでも見えそうなものが少なくて寂しい限り。

そんな中、唯一と言って良いくらい期待がかかっていたアフリカーノ彗星(C/2018 W2)がやっと明るさを増してきました。3月8日に撮影したころはとても暗い上に、北極星に近すぎて導入すらままなりませんでした。でも最近は天の北極から30°ほど離れ、11等まで明るくなっています。昨夜は予報に反してよく晴れていたため、夜半からの月明かりを押してアフリカーノ彗星に望遠鏡を向けました(左上画像/彗星の移動に合わせてコンポジット/上が天の北方向)。我が家からはまだ光害が強く電線が多い方向ですが、薄明近くまで粘れば何とか撮影できます。緑色のコマが少なくとも視直径2′角ほど発達しており、なかなか彗星らしくて良いですね。尾は分かりませんでしたが、核がピリッと明るいです。

アフリカーノ彗星(C/2018 W2)光度予測
星仲間の吉田誠一氏によると、9月末に真夜中の天頂近くで8等台になるかも、とのこと。右図は吉田氏の光度式を使って描いた光度変化予測。あくまで計算値ですから、この通りになるかどうかは分かりませんのでご注意。

現在はきりん座の領域ですが、9月頭にペルセウス座へ入り、二重星団から約5.5°のところを通過、同月下旬にはアンドロメダ銀河から約6.5°のところを通ってどんどん明るくなるでしょう。10月11日にはらせん状星雲(NGC7293)へ0.3°まで大接近するのですが、月齢12.8の月が輝いていることがネック…。下にステラナビゲーターによる10月末までの概算位置を掲載しておきます(各日0:00JSTの位置)。明るさのピークに日本から最高の位置条件となるのは嬉しいですね。追いかけてみたい方はぼちぼち計画して機材を向けてみましょう。

  • アフリカーノ彗星(C/2018W2)星図1

    A.7月から9月中旬
  • アフリカーノ彗星(C/2018W2)星図2

    B.9月中旬から9月下旬


  • アフリカーノ彗星(C/2018W2)星図3

    C.9月下旬から10月上旬
  • アフリカーノ彗星(C/2018W2)星図4

    C.10月上旬から10月末


2019年の台風6号が発生2019/07/26


20190726-0900jst台風6号
気象庁によりますと、24日に発表していた熱帯低気圧は本日26日9:00に台風6号「ナーリー/NARI」となりました。直前の台風5号発生から9日と18時間後、5号消滅からは4日と12時間後になります。

左は発生時の9:00に撮影された気象衛星画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。ナチュラルカラー処理のため、水色の雲は活発に上昇した氷粒状態、白やグレイの雲は低層の水粒状態を表します。赤点線円は台風中心の直径1000km円を表しています。

現在6号は北北西に向かっていますが、27日頃から東進に転じ、近畿・東海・関東の南岸を進む予報です。場合によってはその途上で上陸もあるでしょう。(※JTWCの予報では明日の日中に志摩半島をかすめて愛知付近に上陸と出ています。)また直前の5号や3号と同じように、中心よりもむしろ南東側から北東側の離れた位置にまとまった雲が発達しているため、中心がどう動くか、どれくらい遠いかにかかわらず、本州から東北にかけて広い範囲でワンテンポ早めの注意が必要そうですね。夏休みの予定に縛られることなく、台風が完全に去って安全が確保できるまで、気を付けてお過ごしください。