天宮2号、今週中に大気圏再突入2019/07/14

天宮2号と神舟11号のドッキング
中国の宇宙実験室「天宮2号」は、1年以上前の報道で「2019年7月初旬にコントロール下の大気圏再突入を実施する」と言われていましたが、秋以降ぱったり情報が途絶えていました。

「月面裏側へ着陸成功」とか「新しい宇宙ステーション建設計画」などのニュースが次々と繰り出されるので、ヤバい状況があって揉み消したいのかなと疑心暗鬼に囚われかけていました。ところが昨日13日にいきなり「19日に大気圏再突入させるよ」という報道が中国載人航天(China Manned Space Engineering Office/CMS)から発表になりました。オイオイ、今週かよ…。(左上画像はCMSからの引用で神舟11号とドッキングした天宮2号の想像図。)

天宮2号軌道履歴
3月24日の記事にも書きましたが、春以降は一応気にして軌道要素を監視したり、実際の夜空で予報通り飛んでるのを確認してきましたが、特に高度が下がるようなこともなく、順調に飛んでいました。(最後に撮影したのは5月5日。)ただ、2018年6月13日ごろいきなり高度を100kmも下げる事態があったため(右図/CalSkyサイトの軌道履歴から引用)、これが関係者の間で懸念されていました。(※この時は10日ほどで元の高度に戻りましたが、かなりの燃料消費があったと思われ、飛行制御や再突入に使う燃料残量が心配でした。)これが意図した動きだったかどうかは明らかにされてないようです。

2018年春の天宮1号落下は制御不可能だったという見方が大半ですが、今回は「情報を開示し、国際義務を果たす」と言っているので、まぁ大丈夫でしょう。(※じゃ、前回は義務を果たさなかったよね、とツッコミが聞こえますが…。)そうは言っても1号同様の衛星サイズですから、多少の部品は燃え尽きずに落下すると思われます。CMSの再突入計画では西経90°から160°、南緯30°から45°の海域へ落とすとのこと。いわゆるスペースクラフト・セメタリー(中心位置:西経142.71°・南緯43.57°付近)、あるいはポイント・ネモ(中心位置:西経123.38°・南緯48.87°付近)から遠くないエリアではありますが、計画範囲ちと広すぎません?

まあとにかく、1週間経たずして落下する天宮2号。頭上に気を付けつつ見守るとしましょう。

一時ハリケーンになったBARRYがルイジアナに上陸2019/07/14


20190713-1500UTハリケーンBARRY
メキシコ湾に発生していたTropical Storm「BARRY」は7月13日18時UTごろ(14日3時JSTごろ)ルイジアナ州に上陸したと思われます。

左は13日15:00UTの気象衛星GOES16画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。あまり「巻き」は強くないようですが、National Hurricane Centerの速報では上陸前12:00UTの段階で一時ハリケーンの風速に達していました。

九州や四国が強い雨に長く曝されており土砂災害が心配です。同じようにアメリカでは春先から続く長雨の影響で河川の増水がおさまらない状況なんだそうです。下A図は7月12日までの90日間雨量を地図に描いたもの(雨量データ:NWS・Advabced Hydrologic Prediction Service)。こんな折りのハリケーン上陸ですから、冠水や、ひょっとしたら決壊などのリスクも高まるでしょう。

去年ハリケーンFLORENCEが上陸した際、同じ「平野」であっても日本と比べアメリカは傾斜の緩さや面積が桁違いだと言うことを等高線図で示しました(→2018年9月19日記事参照)。日本で大雨が降れば切り立った土地の崩壊が随所に現れますが、アメリカの平野部では崩れるほど切り立った土地が無い代わりに、広大な地域が水没し、しかもなかなか水が引かない被害として現れるのです。今回も決して強いハリケーンではないけれど、非常事態宣言が出されるほど深刻な様子。

BARRYは、もとをたどると陸地出身の低気圧でした(下B図)。いったん海へ出た後で海洋熱エネルギーを得て発達したものですね。一風変わったコースです。兎にも角にも嵐というものは始末に負えません。

  • 2019年7月12日までの90日間雨量

    A.90日間雨量
  • 20190714-0600UTハリケーンBARRY

    B.BARRYの経路
    (7月14日6:00UTまで)