板垣さんがまたM31に新星候補発見、撮影するも失敗2019/07/05

20170803_M31
先月6月26日の新星候補発見に続いて一昨日7月3日未明(JST)、山形県の板垣公一さんがまたしてもM31・アンドロメダ銀河に17.8等の新星らしき天体を発見したそうです。私の機材では限界光度ですが確認撮影したいと思っていました。ところが一向に晴れません。そもそも日本各地で大雨になってる時期。発見自体が奇跡と言えましょう。

当地・茨城は昨日午前中豪雨に見舞われましたが、宵を迎えると少しずつ雲が取れてきました。流れる雲さえ気にしなければ何とか撮影できるかも?そう思っていましたが、ときおり思い出したように雲が小雨を運んでくるので、なかなか準備させてもらえません。

夜半前にようやく安定してきたため急いで準備。まだ低くて密集した電線越しに見えるアンドロメダ銀河に望遠鏡を向けました。いつまた曇るか分かりませんから、こんなときは低空だろうが電線越しだろうが雲が通過しようが、ためらわず撮り続けるに限ります。

20190705_J00432865+4106040(失敗)
でも(予想してたことですが)湿度100%に近い環境のため、冷却カメラに曇りが発生してしまいます。準備中からゆっくり曇らないよう冷却開始していましたが結露は解消しませんでした。空が晴れたのも最初の20分程度で、明け方まで待っても雲が取れるどころか霧雨まで降る始末。もちろんその前に撤収しました。

何十カットか撮った中で使えそうなのは5コマ。それも結露越しです。17等程度までは確認できるのですが、残念ながら18等に近い今回の新星候補は全く見えませんでした。恥さらしですが、簡易処理画像を右に置いておきます(白黒反転化)。フラット補正などは省略。中央から上側にかけての縮緬ムラはカメラの曇り由来です。赤丸付近が新星候補位置。この画像の写野は左上画像・黄色矩形のところです。

CMOSセンサは何十枚もコンポジットしてランダムノイズを滑らかにしないと限界等級の恒星が検出できませんね。いろいろ撮影ルーティーンの問題点も見えたので良しとしましょう。次に晴れるときまで暗くなってないと良いのですが…。

カリフォルニア州で大きな地震2019/07/05

20190704-17:33:49UTカリフォルニア州地震
アメリカの独立記念日となる昨日4日17:33UT(5日2:33JST)ごろ、カリフォルニア州で大きな地震がありました。米国地質調査所(USGS)によると、位置は西経117.50600°、北緯35.7051667°、震源の深さ10.71km、マグニチュード6.4。

いまどきM6クラスは珍しくないですが、大都市から離れていない場所や大きな被害が起こりうる規模の場合、心配になって調べてしまいます。2017年秋にメキシコで大地震が頻発したときと同様に震源マップを描いてみました(左図)。

カリフォルニア州と言えば「サンフランシスコ地震」に代表されるような地震の巣で知られますが、海岸に平行して陸部を横切るサンアンドレアス断層(群)の活動が地震の一端を(大部分を?)引き起こしていると見て良いでしょう。(※ただし今回の地震は少し離れています。)試しにUSGSが公開している断層位置情報を元に震源マップと同じフォーマットで地図にしたのが右下図。赤い線が見つかっている活断層(第四紀以降)で、十万本レベルの数あります。

カリフォルニア付近の断層
海岸近くのサンアンドレアス断層付近だけ見てもメインラインが複数並んでおり、文字通り一筋縄ではありません。これが「断層群」と言わしめてる由来ですね。両地図の位置関係をじっくり見比べてみてください。

震源マップを見るとカリフォルニア湾からロサンゼルスを通り、サンフランシスコ北部から海岸を越えて太平洋まで震源が並んでいますね。震源深度が20kmより深いものは少なく、今回のように10km程度より浅いものが目立ちます。大地が裂けてできたかのようなカリフォルニア湾を見ていると、末恐ろしい未来を感じてしまう…いやいや、日本も他人事ではありませんよ。

余震がしばらく続くでしょう。被害が少ないと良いのですが…

20190706カリフォルニア州地震
【7月6日追記】 近い場所で前回を上回る余震が起こったようです。USGSのデータでは6日3:19:52UT、位置は西経117.6047974°、北緯35.7664986°、震源の深さ17km、マグニチュード7.1。今回が本震で、前回のM6.4が前震だとする見方が強いそうです。

左図は付近をやや拡大して描いたもの。断層位置および主な都市位置も描きました。3日間でM5以上が5回発生しています。

CA地震・M別時間ごとの回数
【7月10日正午追記】震源近くでは小さな地震も多数発生しています。10日昼(JST)時点のUSGSデータベースをもとにグラフ化してみました。一番最初の余震以降、10日0:00UT(10日9:00JST)までに発生したM1.0以上の地震は6969回でした。時間ごと&マグニチュードごとにカウントして積み上げグラフにしたのが右図です。

参考:
インドネシア・スラウェシ島で大きな地震(2018/09/29)
ハワイ・キラウエア火山が噴火(2018/05/05)
アフリカのこと。(2018/04/11)
メキシコ周辺の地震分布(2017/09/24)