与那国島で記録的短時間大雨2019/05/13

20190513-0900JST気象衛星ひまわり画像
今日5月13日朝の衛星画像を見ると、日本全体の雲は概ね少ないように感じます。ところが朝から午前中にかけて日本最西端の与那国島に記録的短時間大雨情報が立て続けに発表されました。改めて衛星画像を見ると、与那国島周囲だけ確かにモクモクした雲の塊に覆われています。今年初の記録的短時間大雨情報となりました。

左は本日9:00の気象衛星ひまわり画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。ナチュラルカラー処理を施し、水色の雲(活発に上昇した氷粒状態)と白やグレイの雲(低層の水粒状態)が分かるようにしてあります。与那国島周囲の雲は昨日の夕方にはもう発達を始めていて、今日昼ごろに弱まってくるまで続いていました。

下は本日6:00から2時間おきの降水ナウキャスト(気象庁サイトから引用)。雨雲の移動が遅く、強い雨が長く続いている様子がうかがえます。

  • 20190513-0600与那国降水

    6:00
  • 20190513-0800与那国降水

    8:00
  • 20190513-1000与那国降水

    10:00
  • 20190513-1200与那国降水

    12:00


速報値ながら、この大雨で八重山郡与那国町の所野にあるアメダスポイントで3時間降水量および6時間降水量それぞれの日最大値が観測史上最高となりました。これまでの記録では2008年9月13日の台風13号通過に伴う大雨で日降水量最大となったケースや、2015年4月19日未明に今日と似たパターンで大雨になったケースなどがあります。

下に今日の速報値を含め、降水量の変化グラフを示しましたので比べてみてください。グラフスケールは統一してあります。(※5/14追記・13日の10分計測が発表されたので、グラフ全体を描き直しました。)過去例と比較しても、本日7時ごろから10時ごろまでの継続降雨が目立っていますね。降水総量も重要ですが、変化量(グラフ勾配)の見極めも大切。予期できない大雨の場合、避難可能時間に大きく影響するからです。ちなみに10分あたり20mmを越える降水量は2015年の鬼怒川決壊時よりも多く、2017年九州北部豪雨のケースに匹敵します。

また意外な盲点ですが、今頃から夏半ばにかけての与那国島は北海道と比べて日の出が2時間遅く、関東と比較しても1時間半もの差があります。必ずしも明るい時間帯に災害が起こるわけではありません。大雨時に夜か昼かは避難の難易度を左右しますから、旅行で訪れる場合など、現地に不慣れな方はとりわけ注意しましょう。何もこれは与那国島に限ったことではありません。

  • 20190513降水量推移・与那国所野

    2019年5月13日
  • 20080913降水量推移・与那国所野

    2008年9月13日
  • 20150419降水量推移・与那国所野

    2015年4月19日


参考:(※過去に降水量推移グラフを作成したものなど)
広範囲で大雨が続いています(2018/07/06)
大雨に見舞われた沖縄地方(2018/06/17)
居座り続けた台風5号で奄美地方が大雨被害(2017/08/06)
秋田県に被害をもたらした雨量の変化(2017/07/23)
九州豪雨での雨量変化(2017/07/07)
鬼怒川氾濫を省みる(その1)(2015/09/11)
アーカイブ:記録的短時間大雨情報のリスト
アーカイブ:梅雨
アーカイブ:地図で見る日出没の季節変化

今日の太陽2019/05/13

20190513太陽
昨夜は曇り、今日朝からも雲の多いお天気です。午後になってゆっくり回復してきましたが、それでも雲量が多い空。明日に向かって下り坂の予報です。

20190513太陽リム
左は晴れ間を待ちに待って15時を過ぎてしまった太陽。薄雲越しで像が甘いです。活動領域12740の黒点は位置を知っている人にやっと分かる程度。また12741の黒点は中央を過ぎましたね。右上と左下のリムにやや大ぶりなプロミネンスが見えました。