PSPが最接近した(はずの)今日の太陽2019/04/05

Parker Solar Probe(C)NASA
世間は「はやぶさ2による人工クレーター」の話題一色で全くニュースになってない様ですが…こちらも忘れてはなりません。

昨年8月12日7:31UTに打ち上げられたNASAの太陽観測衛星「Parker Solar Probe」(以下PSP)は、今年2019年に2周回と3周回に突入します。1周目の太陽最接近(近日点通過)は2018年11月5日ごろでした。2周目の最接近は4月4日22:40UTごろ(日本時間で本日5日7:40JSTごろ)に通過、次回は9月頭ごろの予定です。

また年末12月26日ごろには2回目となる金星フライバイも行われ、以降は近日点距離を少しずつ太陽へ近づけてゆく計画とのこと。2025年までに24回の太陽最接近を行いつつ、詳細な観測をするようです。

2019年前半_PSP軌道
右は今期のPSP周回軌道(JPL-Horizonsによる計算)を黄道面(地球軌道面)へ投影した図で、縦横軸の数字は太陽原点の距離(AU/天文単位)を表します。(※太陽の大きさは誇張して描画。)実際の軌道面は黄道面に対してわずかに傾いていますが、微少なので無視しています。既に今月初めには太陽にかなり接近しており、接近後は急速に離脱する様子が分かるでしょう。

近日点でもっとも移動速度が速くなるため、1周目の接近時は約24.7万km/hという記録を打ち立てています。最終周回時は太陽表面から約616万km上空を約69.2万km/hというとんでもない速度で通過する見込み。宇宙観測史上最高温度・超劣悪放射線環境のなか、最大速度での観測はいったいどんな謎を解き明かしてくれるでしょうか。

20190405太陽
そんなわけで二十四節気の「清明」を迎えた今日はぜひとも太陽観察したかったのですが、明け方から雲が広がり出しました。幸い巻雲程度なので太陽光は通りますから、辛抱強く待って雲の薄い瞬間を撮りためました。

20190405太陽リム
左は10:30過ぎの太陽。雲越しなので鮮明さは足りませんが何とか写っています。活動領域12737は右半球に移りました。右上リムと左下リムになかなか立派なプロミネンスが見えてますね。左上はダークフィラメントを期待してましたが、見えなくなってしまったようです。

この太陽の近くをPSPが通過中と考えただけで胸が熱くなります。どうか機器コンディション良好のまま24周の観測を成し遂げて欲しい…。

2019年初の黄砂がやってきました2019/04/05

20190405-1500jstひまわり画像
本日午後、2019年初の黄砂飛来が観測されました。PM2.5の濃度も各地で上昇しています。

左は15:00の気象衛星ひまわり画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。中国から日本海を通って東北地方北部付近を横切り、太平洋まで続く煙状の流れが見えますね。これが黄砂およびPM2.5などを運ぶ大気の流れと思われます。

下A図は気象庁サイトからの引用で、15:10時点までの黄砂観測実況図。初観測が報告されたのは盛岡ポイントで、水色マークになっています。これから夜にかけて複数地点で観測されると思われます。(※南下が予報されています。)また下B画像は午後に日本上空を通過した地球観測衛星Aquaが撮影した日本海近辺。明らかに雲の色とは違う煙状の物質が流れてきています。

以前、2017年4月23日記事にまとめましたが、黄砂の観測ピークは4月上旬。梅雨時はいったん収まり、晩秋からまた復活します。昨年は3月28日が初日で、5月25日が終日、日数合計11日(平年値は24.1日)でした。今年はどうなるでしょうか?

  • 20190405-1510jst黄砂観測実況図

    A.気象庁・黄砂観測実況図
  • 20190405Aqua/MODIS

    B.地球観測衛星Aqua