久しぶりにしっかり見えた彗星たち2018/12/28

20181227ウィルタネン周期彗星(46P)
約一週間ぶりにウィルタネン周期彗星(46P)を観察しました。この彗星は宵でも北東の空に登っており、更には月の出が遅くなったことで、月明かりの影響を受けず観察できる時期になっています。

ところが夜になって早々なぜか雲が湧き始め、あっと言う間に全天を覆ってしまいました。内心「またか…」と思いましたが、こうした雲は気まぐれなので、朝まで残ることもあれば、すぐ消えてしまうこともあります。消えてくれることを祈りつつ、待つこと二時間。月の出を迎える頃ようやく30分ほどの晴れ間がやって来ました。その時撮影したのが左画像です。

地球最接近を過ぎてやや小振りになりましたが、それでも相変わらずエメラルドグリーンの大きなコマを見せていました。5cmファインダーでも存在が何とか分かります。しばらくは楽しめそうですね。

20181228岩本彗星(C/2018Y1)
機材をそのままにしていったん仮眠を取り、明け方再びスタンバイ。途中は曇っていたようですが、明け方前の1時間は雲が去って透明度が上がり、下弦前の月があっても低空の微光星が見える良い空でした。次に狙うは南東低空の岩本彗星(C/2018Y1)です。発見時からあまり位置が変わっていませんが、僅かずつ北西へ動いています。

右は40分の露光で、彗星位置基準コンポジット。ただでさえ冬空の星はユラユラして像が大きくなりますが、更に低空のためボテッとしています。月明かりと低空の光害に負けそうでしたが、それでも彗星は鮮やかで、視直径約2.5′角のコマが広がっていました。二日前の26日明け方に雲間から撮影した画像とは全く別物かと疑うほど良く写りました。ただ、星像のシャープさは完全に負けてますが…。

今日時点で最新の軌道要素では、来年2月7日に近日点通過(太陽にもっとも近くなる)とのこと。そのころには天の赤道を越えて北天までやってきます。いちばん見やすい時期に高い空で観察できるようになるでしょう。今から楽しみですね。

参考:
ウィルタネン周期彗星(46P)に関係する記事(ブログ内)
岩本彗星(C/2018Y1)に関係する記事(ブログ内)

今日の太陽2018/12/28

20181228太陽
太陽は活動低迷期であっても休みなく働いていますが、今日の太陽を見ると御用納めどころではない、忙しい顔をしていました。

20181228太陽リム
左は13:20頃の太陽。(所用あって昼までに撮影できませんでした。)活動領域はありませんが、プロミネンスがあちこちに出ています。少なくとも三ヶ所のループ(右画像の水色矢印)も見えました。特に左下のものはとても淡いながらも、凄まじい高さまで上がっています。ザッと測ったら、地球直径の約7.5倍あまりありました。この他のプロミネンス達もがんばってますね。しばらく楽しめそう。

更に強まったスーパーシベリア高気圧2018/12/28

20181228-0900地上天気図
昨日27日の記事で「かつてないほどのスーパーシベリア高気圧ができている」と書きましたが、今日の天気図での該当高気圧は更に中心気圧を高めていました。気象庁から一日4回公開されるアジア広域地上天気図のうち、今夕までに公開された3枚のなかの3時JST、9時JSTの天気図で1080hPa、15時JSTでは1076hPaです。右図は気象庁サイトからの引用で、9時JSTのもの。

この「1080hPa」という記録は、2016年11月28日の記事や昨日の記事で調べた2002年11月以降の気象庁「日々の天気図」では出てこなかった最高値です。見落としがなければ、今までの最高は2016年1月23日と24日の1078hPaでした。左下に2016年1月24日のものを引用します。この日は沖縄で雪が記録された日ですね。

20160124日々の天気図
「高気圧=冷たい」という訳ではなく、たとえば太平洋高気圧のように暑さをもたらすものもあります。あくまで「気圧が周囲より高い」ということ。地上付近が上層大気に「のしかかられて」いるということだから、その大気は周囲へ逃げるしかありません。気圧が高いほど、より強い風になるでしょう。このとき、元の場所が寒ければ寒気、熱ければ暖気、海上なら湿気、乾燥していたらカラカラの空気を運ぶ風になるわけですね。いわばエアコンや除湿器、加湿器など何にでも化ける「総合吹き出し口」のようなものでしょうか。凍てつく冬のシベリアを駆け抜けてきた風だからこそ、キンキンに冷えているのです。

周囲にある低気圧(吸い込み口?)の位置によって風の流れは変わりますが、今日は運悪く上の天気図のように太平洋からオホーツク海付近に台風並みの低気圧が三つ巴になって、三竦みの猛獣のごとくグルグル牽制しあってます。既に昨日から北海道、東北、日本海側を中心に続々と大雪や暴風雪のニュースが飛び交っているようです。しばらくこの配置が続くでしょうから、どうかみなさんも事故のないよう行動してください。