降下したはやぶさ2がとらえた衝効果2018/09/21

201809210409UT_はやぶさ2の衝効果
本日21日午後、小惑星探査機「はやぶさ2」が、小型探査ロボット「ミネルバ」を分離・降下させることに成功したようです。ロボットたちの状態や今後の探査データはこれからですが、初代はやぶさでの失敗経験を糧に、うまく進めて欲しいですね。

探査ロボを降下させる際にはやぶさ2自身もギリギリまで小惑星リュウグウまで降下しました。最接近高度は55m(13:06/探査機時刻)とのこと。太陽電池パネルを広げると差し渡し6mにもなる探査機が、地球の20階建てビルくらいまで降りている姿を想像するだけで愉快になります。

さて、この降下前後に撮影されたリュウグウ表面にはやぶさ2本体の影が写っていました(左画像/JAXAサイトから引用)。これを見て主役たる探査機の影には目もくれず、「衝効果だ!」とすぐ分かっちゃった方はかなり重症(褒め言葉)です。(…ちなみに私も…。)影の周囲がスボットライトを浴びたかのように明るくなる衝効果(Opposition Effect)。単純な反射を考えただけでは説明が付かないこの現象は気象光学などの分野でお馴染みですが、宇宙空間でも確認できます。以前、2015年5月19日の記事では土星の衝効果や関連話を掲載しました。

初代はやぶさの衝効果
初代はやぶさの見た小惑星イトカワ表面の衝効果画像も残っています(右画像/JAXA資料から引用)。影の形がそっくりなのが印象的ですね。この他、宇宙で撮影された衝効果は幾つもありますが、NASAのライブラリから何枚か引用して下に掲載しました。

光源(太陽)−被写体−撮影カメラが作る角度(位相角)が限りなくゼロに近くなると、衝効果が強く現れます。いずれの画像も撮影したカメラの真後ろに太陽があるのです。衝効果の真ん中に必ずカメラの影があるはずですが、対象が遠い場合は影が小さすぎて見えません。地上の風景でも見ることができる場合があるので、ぜひ探してみてください。

  • 19681224アポロ8号の捉えた衝効果

    A.アポロ8号ミッションでの衝効果
    (中央左下がやや明るい)
  • 19721210アポロ17号衝効果

    B.アポロ17号ミッションでの衝効果
    (撮影者の頭周囲=カメラ位置周囲が明るい)


  • 20160626探査機カッシーニによる衝効果

    C.探査機カッシーニによる衝効果
    (画像中央・土星の環の一部が明るい)
  • 20060821探査機カッシーニによる衝効果

    D.探査機カッシーニによる衝効果
    (画像中央・土星の環の一部が明るい)


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