立て続けに熱帯低気圧発生2018/06/14


20180614-0300熱帯低気圧
台風になるかも知れない熱帯低気圧が南シナ海に発生しています。昨日から南西諸島の一部で雨が降っており、渦を巻いていたので、あれれ?と思って調べたところ、Joint Typhoon Warning Center(JTWC)からアラートが出ていました。気象庁の発表による発生時刻は今朝14日3:00です。

左は3:00の気象衛星画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。夜間なので赤外白黒画像です。赤点円は熱帯低気圧中心の直径1000km円。

先日台風が直撃した大東諸島では、それでもまだ十分な降水が得られなかったようで、相変わらず農作物の干ばつが深刻です。同じように降水が少なくてダメージを受けている宮古列島以西の地域には恵みの雨でしょうか。でもレーダー画像を見る限りあまり雨は降ってないようですね。熱帯低気圧はゆっくりと台湾方面(北東)へ移動しているとのことです。

火星で過去最大規模の砂嵐2018/06/14

20180608火星
左は6月8日明け方に撮影した火星。ここには現在火星で起こっている巨大な砂嵐が写っています。NASAによると、この砂嵐が原因で火星探査機(ローバータイプ)との通信が取れない事態に陥っているそうです。

火星では過去にも度々砂嵐が起こっており、今に始まったことではありません。でも今回5月末頃から発生しているものは過去最大規模と言われています。砂嵐の面積は約3500万平方キロメートル。日本国土の90倍以上、ロシアの2倍以上も大気が砂で覆われている計算になります。まだ接近してない視直径が小さい時期に、アマチュアの望遠鏡で嵐の存在が確認できるほどなので、余程の規模なのでしょう。

火星を望遠鏡で眺めても模様が見えなくて退屈…そんな心配もありますが、差し当たって大変なのは火星を探査しているローバーです。地表面を移動したり各種観測機器の動力源になっているのは太陽電池。ところが太陽光が全く差さなくなってしまったため、ローバーは節電のため休止モードへ移行してしまいました。バッテリーが完全に無くなる前に太陽光充電できないと、そのまま復活できず役目を終えることになってしまいます。右下画像はNASA Newsからの引用で、探査車オポチュニティーから見える太陽がどれくらい減光するかをシミュレートしたもの。日本の黄砂どころじゃないですね…。

砂嵐で見えなくなった太陽
こんな事態、誰が想像できたでしょうか?NASAでは関係者を緊急招集して対策会議が行われてるそうですが、地球から嵐のコントロールはできませんから、抜本的解決法はないでしょう。将来は火星をドローンで探査…なんていう話が先日話題に上っていましたが、こんな強烈な砂嵐が度々起こるなら、同じ問題に直面することになるでしょうね。

下画像AもNASA Newsからの引用で、6月6日に撮影された火星表面。中央の明るいところを中心に、細かな凹凸がある「雲のような砂」が大きく広がっていますね。青い点は探査機オポチュニティーの場所。砂や雲が無い状態の、地形標高のみで描かれた火星地図(B画像)と比較してください。A・Bそれぞれの位置・大きさは揃えてあります。本来は暗く見える子午線湾やクリュセ平原あたりはすっかり砂で覆われています。なおもう一台稼働中の探査機キュリオシティーはエリシウム山の南西側に位置し、砂嵐の影響を免れているとのこと。(※Google Marsでも「Spacecraft」メニューから探査ローバーたちの居場所が分かります。確認してみましょう。)はてさてこの嵐、収束に何週間、あるいは何ヶ月かかるのか見当も付きませんね…。大接近前に終わるかな?

  • 201806火星の砂嵐

  • 火星地図



【追記】NASAサイトで上のA画像を使ったアニメーションが公開されていたので、下に引用します。明るいオレンジ領域が砂嵐のところです。現在も拡大中とのこと。キュリオシティーも時間の問題か!?(なおキュリオシティーは原子力電池で動いているので、少なくとも太陽光充電に関する問題は起こらないでしょう。)

2018火星の砂嵐


参考:
2018年火星の地球接近に関する記事(ブログ内)

嵐がふたつになった!?2018/06/14


20180614-1800熱帯低気圧
今日一日、南西諸島の多くは雨に見舞われたようです。今朝がた台湾西側に発生した熱帯低気圧のせいだろう…と昼過ぎまではぼんやり考えていたのですが、どうも様子が違いました。雨の中心が沖縄近くにあって、距離を考えても熱帯低気圧から離れすぎています。

夕方になって改めて調べてみると、Joint Typhoon Warning Center(JTWC)から何と先に発生した熱帯低気圧とは別にTropical Storm(TS)が沖縄近海に発生していました。なるほど、嵐は二つあったんですね。昨日から続く雨の振る舞いを思い返して合点がいきました。昨夜はもう嵐の範囲に入っていたのですね。(※ちなみに気象庁の天気図ではTSの位置に梅雨前線上の温帯低気圧が描かれています。)

左は本日18時現在の気象衛星画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。ナチュラルカラー処理のため、水色の雲は活発に上昇した氷粒状態、白やグレイの雲は低層の水粒状態を表します。点線の円は各直径1000km円ですが、赤いほうは気象庁が発表した台風候補の熱帯低気圧中心、オレンジはJTWCがTS(通し番号WP0718)として発表しているものを中心に描いています。TSは既に中心が沖縄近くにあって、今後は台風5号より若干本州寄りに進む予報が出ています。

ちなみに台湾の熱帯低気圧のほうはJTWCで通し番号WP0818と呼んでおり、ふたつはきちんと区別されています。たまたま同じものをそれぞれの気象機関が別の解釈で解析…と言ったことでは無さそうです。二つとも明確な渦は認められませんが、渦巻き構造かどうかは台風や熱帯低気圧の条件ではありません。今後どのように判断され、どんな気象情報が出るのか注意しましょう。