小惑星2010 WC9の通過を観察 ― 2018/05/16
昨夜から今朝にかけて地球近傍小惑星2010 WC9が地球すれすれを通り過ぎました。幸運なことに当地・茨城は一晩中星天に恵まれ、最接近直前の様子を無事観察することができました。(※最接近予報時刻は16日朝7:05JSTです。)
小惑星2010 WC9は前夜も捉えることができたのですが、JPLの予報と比べて位置や通過時刻に若干の差がありました。それを見込んで、当夜は20分ほど早めに撮影を試みました。15日22:31には球状星団M10の中を横切り、また薄明開始後の16日3:12には球状星団M19の側を通り抜けました。M10は高度に余裕があったものの、M19の頃はもう低くなっており、しかも建物の隙間からやっと撮影する有様です。
透明度がかなり低かったため空がまっ白で、高速で通り過ぎる小惑星の微かな光を取り出すのに苦労しました。上画像は前後のコマで星団のベース画像をコンポジットした上に、小惑星のルートに沿って必要最小限の面積のみ軌跡を合成しています。満月期だったら写らなかったかも知れませんね。
小惑星と関係ないですが、ふたつの球状星団撮影の合間を利用して木星を拡大撮影。気流はやや悪く、モニター上で縞が見えなくなったりしてました。(小惑星撮影でもガイドが時々不安定でした。)センサー上のゴミが取りきれず、本来木星に無い「模様」がどうしても出てしまいます…。
かくしてこの小惑星は南天に行ってしまいました。晩夏に再び日本の空へ戻る頃にはもうはるか遠く、25等級と言った暗さになってしまいます。