薄曇りながら超新星をふたつ観察2018/04/20

  • 20180419_AT2018aup in PGC1062642(MCG-01-22-018)

    AT2018aup in PGC1062642
  • 20180419_AT2018ast in NGC3812

    AT2018ast in NGC3812


昨夕から薄雲が空を覆い始めました。夕方の三日月や金星は少し朧になって美しかったのですが、天体観察には不向きな空。午後に吹き始めた強めの風も少し残っています。それでも宵のうちに写したい超新星などがあったので、望遠鏡を向けました。

ひとつはPGC1062642(MCG-01-22-018)といううみへび座にある銀河の超新星AT2018aup。山形県の板垣公一さんによる発見です。明るさは17等台前半で私の機材ではギリギリですが、辛うじて写りました。宵空は薄明がなくなっても生活光などがまだ明るいのでノイズが多く、また私の観察場所ではすぐ建物に隠れる方向なので厳しい条件でした。昨日も撮りましたが失敗しています。

もうひとつはNGC3812の超新星AT2018ast。こちらはほぼ天頂方向でしたが、なぜか昨夜はガイドが不安定でした。雲が時々やってきたせいでしょうか。まぁ超新星は辛うじて確認できます。さらにいくつか写したかったけれど、この後明け方まで雲が多くなってしまいました。夜中の気温が10度を越えるようになり、ここ二日は結露がすごいです。

今日の太陽2018/04/20

20180420太陽
今日は二十四節気の穀雨。でも雨が降る様子もなく、朝からよく晴れています。明け方までの湿気が残っているのか、太陽光は若干拡散しているようですが、そんなことはお構いなしに気温はぐんぐん上昇中。

20180420太陽リム
左は10時過ぎの太陽。北半球の右リムに寄った活動領域12704と12705は存在がはっきりしませんが、代わって左リムから文句の付けようがないはっきりした活動領域12706が現れました。小さいけれど画像に黒点が写ったのも久しぶりです。今後が楽しみですね。昨日見えた右リム沿いのプロミネンスもまだ何ヶ所か残っていますね。

昨日噴火した硫黄山2018/04/20

20180419-1800霧島硫黄山ライブカメラ
昨日19日15:39ごろ、霧島連山の硫黄山(霧島硫黄山)で噴火がありました。なんでも約250年ぶりの噴火だと言うことです。霧島では新燃岳が活発な活動を続けていますが、今回は同じ連山でも違う場所での噴火でした。左画像は19日18:00ごろの気象庁ライブラメラのキャプチャです。火山灰を含む水蒸気の煙が濛濛と立ち上がり、夜通し続きました。

こういうとき、すぐ地図を広げて位置を確認なさる方はどれほどいらっしゃるでしょうか?同じ県内とか、同じ地方でないと興味すら湧かないなんていう方もいらっしゃるでしょうか。地球はひとつながりの星、生命は一蓮托生。せめて、この星で起こっていることくらいは少しでも良いから注意関心を持ちたいものです。

霧島連山周辺地図
右は霧島連山周辺を含む九州南部の地図。硫黄山は新燃岳より西北西に随分離れていますが、地球全体のスケールで言えばすぐ隣の山ですね。幸い今日は噴火が終了して水蒸気の吹き出しだけになったと気象庁から発表があったようです。まだ油断はできませんが、GWの観光シーズンを前に沈静化してほしいものです。

噴火と全く関係ありませんが、ライブカメラは普段だだっ広い光景が延々と写るだけなので、スケールも奥行きも感じ取れません。でも比較的高感度だから晴れていれば夜に星が写ることがあります。天体を撮り慣れていると星座が判別でき、そのスケールからカメラがどの程度の画角なのか理解できます。昨夜も夜まで監視していたら噴煙の背後にペルセウス座やカシオペア座などが見え隠れするのを発見(左画像)、結構広視野なんだなあと一人で面白がっていました。

20180419-1946霧島硫黄山ライブカメラ
いやいや不謹慎ですね…。とにかく噴火の影響が最小限であることを祈ります。なお小規模かつ夕方だったので、いくつかの衛星画像を見たけれど写っていませんでした。

ライブカメラの小さな画面では火山の迫力や危険性が全く伝わりません。まるで他人事のようで、無関心の一端を担う原因になってるでしょうね。1992年の映画「パトリオットゲーム」でゲームのようにモニター面で淡々と戦争を繰り広げるシーンを思い出してしまいました。オリンピックやワールドカップなどでは、街角の大きなモニター前で観衆が大はしゃぎしているじゃないですか。あの方法論を真似して、噴火の映像も大画面で流したら良いと思うんです。

すばるに近づく金星と探査機TESSのこと2018/04/20

20180420金星と星団たち
日没後ベランダに出ると、生暖かい風と共に上空から月齢4の月光が降りそそいでいました。二日前の観察と比べると月はもう金星からだいぶ離れましたが、西空をパッと見ればまだ両星一緒に目に飛び込みます。

金星周囲に注目すると、近くにはおうし座のプレアデス星団とヒアデス星団が輝き始めていました(左画像)。私の住む茨城県南ではこの時期19時を過ぎれば少し暗くなるので、この光景を肉眼で捉えることができます。

20180420金星とすばる
今夕の金星とすばるの離角は約6.5°で、小型双眼鏡ではギリギリ一緒の視野に入る程度(右画像)。でも24日には約3.5°まで接近しますから、なかなか豪華な眺めになるでしょう。4月末にはヒアデスにも5°あまりまで接近します。ゴールデンウィークの楽しみのひとつにしてくださいね。なおこれらの画像は画像処理によって空を暗く抑えてあります。実際はもっと明るく感じますのでご注意ください。(暗くなるのを待っていると沈んでしまいます。)

20180420_TESS視位置
ところで前日の19日7:51JSTにNASAが外惑星探索衛星「TESS」(Transiting Exoplanet Survey Satellite)を打ち上げたことはご存じでしょうか。TESSは「トランジット法」つまり恒星の手前を惑星が横切るときの光度変化を利用して遠方の惑星系を捜索する宇宙望遠鏡なのです。

打ち上げられたばかりですが、ふと「どこを飛んでいるのかな?日本から見えるのかな?」と疑問に思って計算したところ、なんとこのヒアデス星団のすぐ側でした。NASA-HORIZONSによる視位置を元にステラナビゲーターで作図したのが左上星図。これによると20日19時頃は最初の画像の左上縁付近にいたことになります。もしかしたら写せるかも!と思ったのも束の間、既にかなり遠くを飛んでおりました。薄暮中の低空と言うこともあり、撮影は難しそうです。以前にテスラのロードスターが打ち上げられたとき撮影を試みましたが写りませんでした。ロードスターは約4×2×1mの大きさですが、TESSは冷蔵庫ほどの大きさなので結構小さめ。既に広がっている太陽電池パドルを考慮してもアマチュアの小型望遠鏡では暗すぎると思われます。

TESSは最終的に「月共鳴軌道」と呼ばれる細長い楕円軌道を周回しますが、現在はその軌道に乗せるためにだんだん楕円を広げて行く「トランスファー軌道」を進んでいます。今後どこかで撮影できることをちょっぴり期待して…。