今日の太陽2018/02/19

20180219太陽
つい先日に立春を迎えたばかりなのに、今日はもう「雨水」。月日の移ろいは早いものですね。ここ数日は昼間晴れていても風が強く、夜になったら雲が多くなる嫌なパターンが続いています。昨夜も風は収まったものの雲量が8割を越え、何も観察できませんでした。

20180219太陽リム
左は本日11:30頃の太陽。直前まで巻雲が邪魔していましたが、やっと晴れたところを撮りました。活動領域は見えなくなりましたが、今日はプロミネンスがやや多くて楽しめました。右上リムにある糸のように細いプロミネンスが印象的です。

星表データで星図を描いてみました(プレアデス星団編)2018/02/19

20180112すばる
おうし座にあるプレアデス星団は、「すばる」という日本名で親しまれている散開星団です。冬の中頃から晩冬にかけ、宵の時間に天頂を飾ります。月明かりや少々の光害があっても肉眼でぼんやり確認できるため、晴れさえすればすぐ見つけられるでしょう。すばるの星々は高温の青白い色が特徴で、星を取り巻く星雲もまた青白く輝いています。

左は1ヶ月余り前に何気なく撮影したプレアデス星団。いわゆる天体用改造カメラを使わず撮影し、また画像処理も特段に青色を強調することなく中庸に仕上げました。

「すばる=青」という固定観念を捨ててみると、星団の中には意外なほど黄色やオレンジ、赤色の星が多いことに気付きます。この事実を無視して青色ばかり強めてある画像が多く出回っていることは残念に感じます。プレアデス星団内の青ではない星にも注目してほしいと思いました。

ところで、訳あって数日前から「星表のデータを使って星図を作る」ということに取り組んでいます。今はネット上に様々な種類の星表が公開されており、簡単にダウンロード利用することが可能です。印刷物から手作業で恒星データを打ち込んでいた古き良き(?)時代はどこへやら…。それはともかく、市販の星図ソフトやフリーウェアでも非常に出来の良い星図作成ツールはありますが、ちょっとした天文の知識と簡単なプログラミング技術さえあれば、自分でも作ることは可能でしょう。そして自作最大の利点は、自分の目的に合わせて完全カスタマイズができる点だと思われます。

プレアデス星団の星図
前述のプレアデス星団の話に戻ると、撮影後に画像処理したとき「この星団の中の青い星は思っているほど多くないんじゃないか?」という疑問が残りました。星団には七人姉妹の神話に基づく固有名が付いている2等から6等の肉眼可視星があり、更に暗いものも含めると数十個とも100個を越えるとも言われます。ですが、「高々100個に過ぎない」という見方もできるでしょう。

何はともあれ、プレアデス星団周辺の「恒星色が分かる星図」を作ってみることにしました。右図は星表から自作プログラムで作図したプレアデス星団周辺の星図。恒星の色をなるべく正確に描くため、星表のB-V色指数から表面温度を導出、そこからRGB各色を近似計算しています。(※星図内をすべて主系列星とみなしています。)使った星表はヒッパルコスやティコなど主だった星表を統合してあるNOMAD1カタログ(The Naval Observatory Merged Astrometric Dataset)。22等星までの星と等級不明な星を合わせて、描画した恒星数は63000個近くありました。この全体数から見れば、プレアデス星団に属する恒星数は「高々…」と言った意味が分かるのではないでしょうか。

実際に青ではない星がどれほどあるのか、星図と対応させてみてください。下にパロマ天文台によるプレアデス星団中心部(出展:Wikipedia/パブリックドメイン画像からトリミング)、および、画像範囲に対応した星図A、更に、スペクトルがG型を白・G型より高温側を青・低温側を赤の三色のみにした星図Bを掲載しました。(※グレイの星は等級やスペクトルが未確定の星。)もちろん「青白い星は星団に属し、青白くない星は属さない」とは言えません。属するか否かは恒星色とまた別問題。

ご覧いただくと分かりますが、こうした星表は自動処理で恒星像を判断するようで、未確定データのエラーチェックは完璧ではありません。輝星のスパイダーを恒星と見なしてしまったり、逆に輝星の輝きやゴーストに埋もれた微光星が載ってなかったり、その他様々な間違いを含んでいます。何をどこまでどんな風に使うかはユーザー次第なので、私たちが時代に置いて行かれないようしっかり学ぶことが大切ですね。

  • プレアデス星団(パロマ天文台)

    プレアデス星団(パロマ天文台)
  • プレアデス星団の星図A

    星図A
  • プレアデス星団の星図B

    星図B


参考:
星表データで星図を描いてみました(全天星図編)(2018/04/29)
標高データで火星図を描いてみました(2017/05/26)
標高データで月面図を描いてみました(2017/05/18)