今日の太陽 ― 2018/02/04
本影の中はどうなってるの? ― 2018/02/04
いまだに四日前の月食画像処理が完全には終わっていません。でも何とか本影の最初から最後まで10分おきの画像を整えたので、ビッシリ並べてみました。本影の中の様子が浮かび上がってきましたよ。
2月2日記事や星仲間のかすてんさんのブログ記事で色合いのことを考察しましたが、上画像は意図的に色温度を3200ケルビン、カブリ補正を-10まで下げて青と緑を強くしています。本影縁近くは青、シアンまたは青緑色になり、世間ではこれをターコイズフリンジとかブルーベルトと呼んでいるわけです。でも実際は青光が赤光を凌駕するほど強くありませんから、肉眼では感知できません。本影内の縁近くは、縁のすぐ外(半影だけど太陽がガッツリ当たってる/右下図参照)とほぼ同じ色で明るさだけが大きく違う状態。月が低い・空が霞んでる等の大気の影響を考えなくて良いならば、暗いグレーに見えると予想できます。
地球の影の中から地球側を見たとき何が見えるか?どんな光が自分に向かってくるか?それはどんな分布なのか?…といったことが、この本影の内部を理解するカギです。普通に考えれば影の中に光は届きません。でも地球には大気という魔法のアイテムがあります。
下A画像はNASAからの引用で国際宇宙ステーションから撮影された日没後の地球リム。私たちが薄暮時間に見るような色合いが、薄い大気層にギュッと詰まっています。面白いのは既に太陽が地球の向こう側、国際宇宙ステーションは地球の影の中ということ。影の内側にこの光が届いている証拠となるでしょう。また滅多に見かけませんが、日本の気象衛星ひまわりも春分や秋分の期間は毎夜この光景を撮影していますよ。下B画像は昨年秋分前夜23:50の画像(画像元:NICTサイエンスクラウド)。まだ太陽は地球に隠されていますが、縁がA画像と同様に光っています。(→関連記事。)
太陽光が地球の裏側から回り込んで作る厚みのないグラデーション。たったこれだけの光なのに、地球全周が集まると本影内の月をぼんやり照らすことができるようです。極端に描けば左図の様なイメージでしょうか。大気があたかもプリズムのような働きをするのが主な原因と思われますが、厳密にはそれだけでなく大気分子やエアロゾルの散乱による色の選択的効果や混色もあるでしょう。透明クリスタル球のように散乱のない均一な大気だったら、はっきりした虹のグラデーションが月に投影されてしまうでしょうからね。
観察者が本影中心に近いほど光は地面すれすれに回り込む必要がありますが、地面に近い大気ほど密度が濃くなって散乱も強くなります。波長が短い光はもはや通れなくなり、赤寄りの光が支配的になると考えられます。いずれにしても月まで届くのはごく僅か。
最初の月食画像に本影位置を作図し、更に画像のRGBチャンネルを個別に観察すると、内側のどの辺りまで光が届いたか分かります。(※かなり丁寧に画像処理しないと、知らぬ間に余計な光を追加してしまうのでご注意。)結果は右画像のようになりました。撮影に成功したみなさん、ぜひやってみてください。この結果はカメラ分光感度やセンサー前のフィルター、あるいは画像処理の色温度設定などによっても変化すると思われます。
2月2日記事や星仲間のかすてんさんのブログ記事で色合いのことを考察しましたが、上画像は意図的に色温度を3200ケルビン、カブリ補正を-10まで下げて青と緑を強くしています。本影縁近くは青、シアンまたは青緑色になり、世間ではこれをターコイズフリンジとかブルーベルトと呼んでいるわけです。でも実際は青光が赤光を凌駕するほど強くありませんから、肉眼では感知できません。本影内の縁近くは、縁のすぐ外(半影だけど太陽がガッツリ当たってる/右下図参照)とほぼ同じ色で明るさだけが大きく違う状態。月が低い・空が霞んでる等の大気の影響を考えなくて良いならば、暗いグレーに見えると予想できます。
地球の影の中から地球側を見たとき何が見えるか?どんな光が自分に向かってくるか?それはどんな分布なのか?…といったことが、この本影の内部を理解するカギです。普通に考えれば影の中に光は届きません。でも地球には大気という魔法のアイテムがあります。
下A画像はNASAからの引用で国際宇宙ステーションから撮影された日没後の地球リム。私たちが薄暮時間に見るような色合いが、薄い大気層にギュッと詰まっています。面白いのは既に太陽が地球の向こう側、国際宇宙ステーションは地球の影の中ということ。影の内側にこの光が届いている証拠となるでしょう。また滅多に見かけませんが、日本の気象衛星ひまわりも春分や秋分の期間は毎夜この光景を撮影していますよ。下B画像は昨年秋分前夜23:50の画像(画像元:NICTサイエンスクラウド)。まだ太陽は地球に隠されていますが、縁がA画像と同様に光っています。(→関連記事。)
太陽光が地球の裏側から回り込んで作る厚みのないグラデーション。たったこれだけの光なのに、地球全周が集まると本影内の月をぼんやり照らすことができるようです。極端に描けば左図の様なイメージでしょうか。大気があたかもプリズムのような働きをするのが主な原因と思われますが、厳密にはそれだけでなく大気分子やエアロゾルの散乱による色の選択的効果や混色もあるでしょう。透明クリスタル球のように散乱のない均一な大気だったら、はっきりした虹のグラデーションが月に投影されてしまうでしょうからね。
観察者が本影中心に近いほど光は地面すれすれに回り込む必要がありますが、地面に近い大気ほど密度が濃くなって散乱も強くなります。波長が短い光はもはや通れなくなり、赤寄りの光が支配的になると考えられます。いずれにしても月まで届くのはごく僅か。
最初の月食画像に本影位置を作図し、更に画像のRGBチャンネルを個別に観察すると、内側のどの辺りまで光が届いたか分かります。(※かなり丁寧に画像処理しないと、知らぬ間に余計な光を追加してしまうのでご注意。)結果は右画像のようになりました。撮影に成功したみなさん、ぜひやってみてください。この結果はカメラ分光感度やセンサー前のフィルター、あるいは画像処理の色温度設定などによっても変化すると思われます。