月没後に2天体を観察2018/01/24

20180123パンスターズ彗星(C/2016 R2)
なかなか不調の原因が取り除けない機材を押さえ込みつつ、昨夜は天体をふたつ撮影しました。前日の雪がたっぷり残っていますが、昼間の内に最低限の観察場所を雪かきしておいたので、機材設置はOK。ただし、周囲を歩き回る私自身はツルツル…

月没を待って、まずパンスターズ彗星(C/2016 R2)に望遠鏡を向けます。月明かりに邪魔されず撮影できるのは恐らく今夜が最後。満月期が終わる頃には光害が強い夜半前に建物へ没してしまうため、撮影コンディションはあまり期待できません。

パンスターズ彗星は相変わらず青い尾をたなびかせ、美しい姿を見せていました。時折流れてくる雲の影響と機材不調が相まって取り除ききれない背景斑がありますが、それでも気品さを感じる彗星です。この画像でははっきり分かりませんが、この画角長辺を優にはみ出す2°あまりの尾となっているようです。綺麗な空で見たかったなあ…

お次は星仲間のかすてんさんの星「小惑星Hiroshinishiyama(9424)」です。パンスターズ彗星から東へ20°あまりしか離れてないので、機材バランスをほとんど変えずに写野導入できたのがありがたいところ。

20180123小惑星9424
この小惑星は昨年12月23日ごろ光度ピーク(約16.2等)を迎え、現在は徐々に暗くなっています。来月には私の機材で写らないほど暗くなるので、これまた月明かりの影響がない撮影リミットは今日明日くらいでした。撮影終了後1時間もしないうちに一気に雲が増えてしまったので、本当に間に合って良かった…。

かすてんさんはここに書き切れないほどたくさんお世話になっている方で、いつも知的な刺激を受けています。私の名を持つ小惑星9422の“名付け親”でもあります。ささやかながら、撮影をお礼代わりに。

参考:
パンスターズ彗星(C/2016 R2)に関係する記事(ブログ内)

今日の太陽2018/01/24

20180124太陽
明け方まで晴れたり曇ったりでしたが、朝からは雲も取れて良い天気になりました。やや風が強いです。明け方はマイナス6度台まで下がったので、日陰の雪はまだ溶けていません。太陽観察しているとどこからともなくメジロの声がするけれど、姿が見えません。

20180124太陽リム
左は10:50頃の太陽。風が吹いているときは振動にものすごく神経を使います。右端やや下のリム近くに活動領域12696が見えます。少し明るくなっているので小さなフレアが出ているのでしょうか。昨日珍しくCクラスにギリギリ届かないフレアが出ていたので、これはその名残かも知れません。右上リムのプロミネンスが立派ですね。それから昨日も見えた左下のフワッとしたプロミネンスも健在です。

青空に月面Xが浮かびました2018/01/24

20180124月面X
今日は今年初めての月面Xデーです。明るい内にX地形に光が当たり始めるので、出現そのものを見るには青空の中で月を観察する必要があります。でも十分明るくなったX地形を楽しみたいなら、夜になってからでも大丈夫。夕方の観察会企画に打って付けの日でしょう。

当地・茨城県南部では流れる雲が度々あったものの、タイミングを見計らって観察できました。左画像はX地形全てに光が当たった15時過ぎに撮影したもの。X地形は下から4分の1ほどのところにありますので探してくださいね。月面上のX地形から見ると、太陽が地平下約0.5°まで登ってきた状態です。月は小さな天体ですので、X地形(クレーターの縁)のような高原は地平下からでも照らされます。

20180124青空の月
ところで、同様に昼間の観察をした2016年5月14日の画像と比べてみてください。月の形がずいぶん違いますね。2016年5月のほうは上弦過ぎ、対して今日は上弦前。月は上下左右に首を振るため、同じX地形の出現でも月の位相は毎回変わるのです。こうした違いを見てゆくのも面白いポイントではないでしょうか。

撮影中、雪雲の切れ端のような巻雲が何度も空を覆います。しかも5m/s近くの強風まで吹いていたので、青空の隙間を狙って月を撮影するのもなかなか大変でした。そんな中、目の端でごく弱い環天頂アークを捉えました。弧に見えたのは一瞬で、あとは雲がうまく通ってくれず、小さな虹の切れ端のようでした。見慣れてないと見逃すほど淡く、下A画像はかなりコントラストを上げており、下B画像はAを更に強くフィルター処理しています。ここまでしてしまうと、ふだん全く見えないカメラ特有の撮像ゴーストまで出てしまいますね。環天頂アークを囲むように見える同心円状の模様は私のカメラで出てしまう偽光学現象で、気象現象ではありません。こうした光学系の癖を知っておかないと、レンズのいたずらを自然現象と間違えてしまうので注意しましょう。

このあと空全体が厚めの雲に覆われてしまいました。ギリギリセーフ…。

  • 20180124環天頂アーク

  • 20180124環天頂アーク


参考:
月面Xに関係する記事(ブログ内)