昨日に続き、北極圏の怪しい雲2017/08/17


20170817-0900衛星画像
昨日16日に見えた北極圏の「どす黒い雲」は、なんと今日も見えていました。

左画像は今日17日9:00の衛星画像(画像元:NICTサイエンスクラウド/経緯線などは筆者)。全体的に昨日より南東に拡大し、先端はアリューシャン列島付近まで届いたようです。シベリア側にも後続の煙が残っていますね。いちばん煙がまとまってるところの緯度を測ると、昨日12:00は北緯70°から73°あたりでしたが、今日は65°から69°あたりまで南下しました。

20170817-0900高層の風(250hPa面)
衛星から見えると言うことは雲の上層に達しているわけですから、地上/海上の風ではなく、高層の風に乗って移動しているのでしょう。右はTropical Tidbitsサイトからの引用で、北極中心の17日9:00の高層天気図(250hPa面の風)。いわゆる偏西風の中心的な流れを見るには200hPa面付近の風を調べれば分かります。日本の位置は図の左上。昨日煙の中心だったのは樺太の真北あたりですが、カムチャッカ半島あたりから偏西風が大きく南下していました。そしてハワイとアラスカの中間付近でゆっくり北へ戻っていくようです。煙はいまこの流れに乗っているわけですね。

世界中の気象状況を地図にまとめてくれるearthサイトでも見てみました。下は16日12:00と17日9:00のキャプチャです。黄色や赤に染まったところは「PM2.5」が濃い地域。煙の流れがベーリング海のほうへ粒子状物質を運んでいることが分かるでしょう。大気汚染として名高いPM2.5などの粒子状物質(エアロゾル)は工場煤煙、車の排気ガスなど人為的原因に限った話ではなく、森林火災や火山噴火でも排出されます。地球史上は防ぎようのない自然火災。生活にどこまで実害があるかは分かりませんが、知らず知らず「受動喫煙」状態になってゆくのはあまりいい気がしませんね…。

  • 20170816-1200earth

    2017年8月16日 12:00
  • 20170817-0900earth

    2017年8月17日 9:00