今日の太陽2017/08/09

20170809太陽
昨夜から今朝にかけては曇り。でも明け方には雲が取れて、日中は青空が広がりました。積乱雲が見えた時間もあったけれど、近くでの雨はなかったようです。

20170809太陽リム
左画像は14時前の太陽。活動領域12670の黒点がよく見えています。追従する活動領域はありません。プロミネンスも寂しいですね。

関東一円の気温がかなり高くなるとの予想で身構えていましたが、思ったほどではありませんでした。最高気温が35度近くまで行きましたが、ここ10年ほどこんな日はいくらでもありました。もちろん涼しいに越したことはありませんけれど。

近年では破格のエネルギーだった台風5号2017/08/09


2017年台風5号速度・距離
長い時間に渡って各地を苦しめた台風5号は、本日9日3:00温帯低気圧に変わり台風としての寿命を終えました。まだ速報による数値ではありますが、発生から消滅まで450時間、移動した距離は7068.52kmに及びます。あちこちでも報道されていますが、これは1986年14号の462時間、1972年7号の456時間に次ぐ3位の記録です(→8月2日の記事参照)。また日本に上陸した台風に限定すれば下表1のように断とつ1位の寿命です。

右のグラフは速報値を元に計算した5号の移動速度と移動距離です。7日午後に上陸したあと速度を上げて駆け抜けるかと思いきや、再度速度を落として北陸や東北に丸一日雨を降らせました。この台風がもたらしたエネルギーがどれほどだったか気になったので、ACE(Accumulated Cyclone Energy)も計算してみました。

2017年台風5号ACEマップ
ACEを全経路で合計した値の上位20番までを下表2に掲載しましたが、5号はなんと3位。ここ10年ほど10位以内に入った台風はなかったのです。また熱帯低気圧時期も含む6時間おきの場所で算出し、1°メッシュの地図に描いたものが左図です。台風がどこにエネルギーを放出していったか、大雑把な分布が分かるでしょう。各メッシュの合計が下表のACEとなる訳です。海面が高温の場所に南下した頃から奄美地方に停滞した頃まで極めて高い値ですね。(※メッシュが描かれていない場所で被害がなかったわけではありません。ACEは台風の広がりが考慮できないことや、時間分解能が低くて飛び飛びになってしまう欠点があります。)

ACEは時刻、中心の最大風力、地理位置を使った集計が可能な「台風の強度」や「蓄積エネルギー」とも言える数値。5号の値が大きいのは台風期間と最大風力が大きかったことが反映されています。ACE値に関しては2016年12月26日の記事もご覧ください。なにかと記録尽くめの台風5号でしたが、今後様々な角度から分析されることでしょう。河川氾濫などもありましたが、ひとまず過ぎ去ってくれてホッと一息…。

【表1:上陸台風の寿命・トップ20】
順位台風番号寿命
(時間)
移動距離
(km)
上陸年月
12017年5号4507068.5242017年8月
21974年14号3666547.1981974年8月
31983年5号3304254.4051983年8月
42015年11号3305935.3182015年7月
51960年16号3245546.1971960年8月
61979年20号3246872.1951979年10月
72015年12号3245155.3692015年7月
81992年11号3124979.4301992年8月
92014年11号3125184.3682014年7月
101997年19号3096716.1761997年9月
111964年14号3065219.4371964年8月
122002年6号3036173.2752002年6月
132011年6号3006173.9362011年7月
141991年19号2947307.8601991年9月
152004年16号2826125.1552004年8月
161963年9号2763300.6891963年7月
171971年23号2764706.8891971年8月
181994年26号2764440.9961994年9月
192011年12号2702984.0682011年8月
201973年6号2641867.2271973年7月
【表2:台風蓄積エネルギー・トップ20】
順位台風番号ACE値
(104 knot2
接近/上陸
11979年20号43.30751979年10月上陸
21983年5号40.60751983年8月上陸
32017年5号35.62252017年8月上陸
41991年19号35.23001991年9月上陸
52004年16号34.86002004年8月上陸
62006年12号34.5525
71992年30号34.53751992年11月接近
81978年26号34.3325
92002年9号34.18752002年7月接近
101997年28号33.9200
111991年24号32.8350
122015年11号32.61252015年7月上陸
131986年26号32.4000
142012年17号32.17502012年9月上陸
151982年10号30.12251982年7月上陸
161980年19号29.62001980年10月接近
171987年15号28.8375
182015年15号28.83752015年8月上陸
191987年13号28.58501987年9月接近
202014年11号27.98002014年7月上陸
  • 表1の対象台風は1951年1号から2017年11号まで、また表2の対象台風は1977年1号から2017年11号までです。
  • 2017年の台風のみ、2号まではベストトラック確定値による計算、3号以降は2017年8月9日現在の速報値による計算です。今後気象庁が発表する確定値によって変化する可能性があります。(当表は反映しません。)
  • 元データのうち、0:00UT、6:00UT、12:00UT、18:00UTのみのデータを用いています。また熱帯低気圧期間は除外しています。
  • 各表の計算と集計は自作プログラムによります。


参考:
アーカイブ:台風による月間ACE値の一覧