上陸した台風5号と不思議な降雨帯2017/08/07


20170807-1500台風5号
台風5号は本日15時過ぎに和歌山県へ上陸したとのこと。台風の勢力は「強い」が取れましたが、明日にかけて本州を横断するため、まだまだ風雨の被害が出そうです。

左画像は15:00の衛星画像(画像元:RAMMB/画像処理は筆者)。ナチュラルカラー処理のため、水色に着色した雲は活発に上昇した氷粒状態、白やグレイの雲は低層の水粒状態を表します。この時点で台風寿命は414時間、移動距離は6381.97kmに達しました。

台風を小さく取り巻くスパイラルバンドの外側に、大きく取り巻くアウターバンドの降雨帯があります。触発された雨雲は午前中から関東にもおよび、当地・茨城でも日中に雨が降った時間がありました。甲信や関東にかかるアウターバンドは昼から活発になりましたが、富士山付近にたいへん特徴のある降雨帯が現れました。

下(A)図は気象庁サイトからの引用で17:00の降雨ナウキャスト。矢印のところに「ちょっと流れの違う」細長い線状の降雨帯がありますね。遡ると既に13時後半から明瞭に現れ始めていました。何時間も変化を見ていたのですが、たまに消えたり途切れることはあっても、位置はほとんど変化しません。最大8本ほどに分かれることもありました。また、流れ行く方向が台風の渦方向とずれているのも気になります。

地形的な理由かも知れないと思い、山岳地図なども見ましたがはっきりした理由は分かりません。(B)図は15:00のナウキャストで、富士山近くを拡大してます。地形が分かるように別途カシミール3Dで描いた陰影図を重ねました。富士山によって雨雲の流れが変化したのか、八ヶ岳方向は雨雲が途切れてることが見て取れますね。富士山の西に離れた2列の降雨帯はちょうど南アルプス付近です。それぞれ弱い谷があるので、それに沿って雲が発生していると見えなくもありませんが…。決め手がないですね。

山や谷の位置、そして方向は降雨帯の雲ができるのを助長したり、分断させたり、阻止したり、方向を変えたりする働きがあるのかも知れません。九州北部豪雨では脊振山地に沿って流れる湿った空気が積乱雲を生み、さらにバックビルディング現象で巨大な線状降雨帯を発生させました(→参考)。山に囲まれた地域では地形と雲発生との関係を十分知っておく必要があるでしょう。

  • 20170807-1700降雨帯

    (A)
  • 20170807-1500降雨帯

    (B)