日本に強い寒波、世界のあちこちでも2017/01/14

突然ですが、みなさんは今着ている服装のまま(着衣の増減・運動・飲食などによる体温調節をしない状態)で、何度から何度までの気温に堪えられますか?冬の部屋着なら10度から20度くらい?出勤や通学の服装なら0度でもいけますか?でもそのまま室内に入ったら暑いですよね。だいたい5度単位で羽織るものが変化するそうなんですが、10度変わると日本なら「季節がひとつ移った」くらい変化します。1日の中だって10度から15度は上下しますが、服装を変えず空調にも頼らず何日も過ごせる強者はそういらっしゃらないでしょう。確実に衣替えしなければ場合によっては命の危機さえ感じます。

20170114日本の寒波
日本列島は今日14日から明日にかけて「数年に一度の強い寒波」に見舞われるとのこと。これより前の11日頃から北日本・東北・北陸地方を中心に暴風雪が吹き荒れています。気象庁は9日から今日14日朝に至るまで10回もの「大雪と暴風雪及び高波に関する全般気象情報」を発令しましたが、こう情報が多く錯綜すると麻痺してしまいそう。

「上空に寒気が…」といった報道を良く聞くけれど、それよりも地上の気温予想を直接表現したほうが良いのでは、と思うことが度々あります。そこで左上にGFSという気象モデルによるアジア圏の地上気温(平年差)解析予想図を載せてみました(引用:Tropical Tidbits)。1月13日21時JSTを初期値とした6時間ごと今日1日ぶんの予想推移を、日本近辺のみ切り取ってまとめてあります。右側凡例の通り、平年より暖かければ赤系、寒ければ青系の色になっています。平年通りなら地図全体はまっ白のはず。

遡ると10日頃から北海道が青く染まり始めていたのですが、この図の時点で日本全体が真っ青ですね。濃い青や青に包まれた紫あたりは「いつもより10度から15度も低い」のです。この状態は17日頃まで続くので、この気象モデルを信じるなら少なくとも数日間の低温を覚悟しなくてはならないと言うこと。数度くらい上下するならともかく10度以上も下がると我慢で済むレベルではなく、防寒を一段強めなくてはいけません。

局所的な気温の大変化は、日本だけでなくあちこちで起こっている様です。日本の寒波に先駆けて報道されていたのはヨーロッパやロシア西部の大寒波。こちらでは低体温で亡くなった難民や浮浪者が何十人も出ました。誰もがどの季節でも耐えうる十分な服装を持っていたり、寒さを凌ぐ家や体温を上げる温かい食べ物がある訳ではありません。記事最初に書いたように、人間は急に気温が10度も変わったら空調や着替え・毛布など無しに対応できないのです。下図は上と同じ気象モデルの気温図(平年差)を、北極中心に描いたもの。1月5日から13日まで各0時(世界時)を手動アニメーションにしました。下部ボタンを操作して変化を読み解いてください。7日前後はヨーロッパ全土で今日の日本の寒波どころじゃありませんでしたね。(※地域が分からない場合は最後のコマを表示させて確認してください。)





上図によると9日頃まではカナダ・アメリカでも大寒波があったことが分かります。このところ毎年の恒例になってしまい、日本ではほとんど報道されていないようです。でも何年経っても寒いものは寒く、慣れることはたやすくないでしょうね。

20170113-1200Zオーストラリア気温
北半球の寒波ばかりではありません。夏真っ盛りのオーストラリアでは昨年11月頃から今年始めにかけて熱波が市民を悩ませている様子。昨年9月末にサウスオーストラリア州が激しい雷雨に襲われましたが、11月上旬にも6日間で100万回という落雷を記録したようです。右図は同じく昨日1月13日の気温図(平年差)ですが、オーストラリア南東部、シドニーやキャンベラのある東海岸に至るまで平年より10度以上暑くなってますね。気温が45度を超す街も出ていて、地域全体が真夏の熊谷・多治見・館林より暑い状態になってるようです。

部屋の中でも寒さを感じる今日の茨城ですが、暖を取ることができるだけマシなのでしょう。世界中で起こる気温格差に尊い命まで奪われることのない環境が世界中の人たちに叶いますように…。

参考:

  • 20170114-0600気温

    本日6:00JSTのアジア圏の気温
    (引用:Weather Online)
  • 20170114-0900天気図

    本日9:00JSTの天気図
    (引用:気象庁/着色は筆者)
  • 20170114昼の空

    本日正午の空(茨城)