とてもよく見えたアルデバランの掩蔽2017/01/10

20170110_14128月
8日午後から9日午前にかけて荒れたお天気でしたが、9日夕方になると青空が少しずつ見え始めました。雲間から差す夕日、そして反対の空に輝き始める月。夜には良いお天気になりそうな予感がしました。

日付が9日から10日になる時間帯に、おうし座の1等星アルデバランが月に隠される掩蔽現象が起きました。アルデバランの掩蔽は2015年から続いていますが、今回はこれまでの中で1、2を争う最高のコンディション。全国どこでも見えるため、天気さえ恵まれれば申し分ない条件です。当地・茨城県では幸運にも天気が回復し、現象を楽しむことができました。(左は現象の合間に撮った月ですが、太陽黄経差141.28°、撮影高度37°弱、月齢11.37です。透明度は良かったものの、大気の揺らぎはかなりひどい状態でした。)

20170110月とヒアデス星団
ご存じのようにアルデバランは明るい星が緩く集合している「ヒアデス星団」を構成しています。だからアルデバラン掩蔽=ヒアデス掩蔽と言って良いほどです。1時間ほど双眼鏡でこの星団を見ているだけでも、次々と星が隠されたり、現れたりする様子を体験できるのです。右はアルデバラン掩蔽の約30分前に撮影したもので、ヒアデスと月とをできるだけ見た目に近いようにコンポジットした画像。月の周囲にたくさんの星がありますね。月のすぐ左の明るい星がアルデバラン。

当地では10日0:01:26にアルデバランが隠されました。下左画像は掩蔽直前、0:00:00から30秒おきに撮影したものを3カット合成しています。月を基準にしていますので、アルデバランが左から近づいていくように写っていますね。ちょうど0:01:00(月に一番近い星像)のあと、0:01:30のコマを撮影する寸前に隠されてしまいました。その後1:08:59に右側(月の明るいほうの縁)から出現。こちらは動画を撮って誤差1秒以内で時刻を特定しました。下右画像は少し離れてからの撮影です。さすがの1等星も圧倒的な月の近くでは貧弱に見えますね。

アルデバラン掩蔽は今年夏頃まで何回か起こった後に10年以上休止となります。代わって秋以降にしし座のレグルス掩蔽が何回か起こりますが、条件はそんなに良くありません。また7月25日夕方には水星が月に隠される現象が起こりますが、これもかなり低空です。アーカイブ:1.5等星以上の掩蔽を足がかりに早めのリサーチをして、見逃さないようにしてくださいね。

  • 20170110アルデバラン掩蔽(潜入)
  • 20170110アルデバラン掩蔽(出現)
通常この現象は慣例的に「アルデバラン食」と表現されることが多いですが、「食」は天体の影に隠される現象(eclipse)、「掩蔽」は天体そのものに隠される現象(occultation)と、明確に違う現象です。ですから今回のは「アルデバラン掩蔽」となります。当ブログでは誤解のないようできるだけ正確な用語で表現しています。


参考:
アルデバラン掩蔽がきれいに見えました(2016/11/16)……前回見えたアルデバラン掩蔽です
アーカイブ:月の形(黄経差108度以上、144度未満)

今日の太陽2017/01/10

20170110太陽
昨夜から今朝にかけてよく晴れました。明け方に少し風が強くなっています。今日午前中から低空に少しだけ雲が湧き出しました。

20170110太陽リム
左は11:20前の太陽。観察可能な時間帯に晴れたのは三日ぶりで、右に見えていたプロミネンス達もすっかりなくなってしまいました。代わりに左からプロミネンスが出てきましたね。光球面は相変わらず静穏ですが、右リム近くに明るい部分が見えています。

今日も電線の隙間から本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星2017/01/10

20170110本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星(45P)
今日も一日良いお天気でした。午後に外出していたため本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星(45P)の撮影などは全く予定してませんでしたが、たまたま早く帰宅でき、天候も最高だったので急きょ撮影することに。昨日の反省を踏まえ、できるだけ広い電線の隙間を狙いつつ、ひとまわり大きな望遠鏡で拡大率を上げてみました。

やはり慌てていたのか残念な操作ミスがあって鮮明に写せませんでしたが、とりあえず立派な緑色の頭部や淡い尾が写ってくれました。左画像は17:53頃からトータル3分露出、上が天頂方向(左に5°ほど回転しちゃってます)、上下画角約1.5°。うむむ、次こそは…!

参考:
本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星(45P)に関係する記事(ブログ内)