金星はなかなか火星に接近しない!?2016/11/23

20161122金星と火星
勤労感謝の日に向かって大きく崩れる天気予報でしたが、空は23日の夜明け前までなんとか持ちました。特に昨夕はとてもきれいな夕空で、金星が煌々と輝いていました。少し離れて火星も良く見えました。

左は昨夕に外出から戻ってすぐ撮った南西の空。もう暗くなりかけていたため、空は夕焼け色を失い、街明かりばかりが目立って綺麗ではありませんね。それでも幾つか星を辿るうちに心が落ち着きました。どこにどんな星があるかは右下のマーカー入り画像をどうぞ。

唐突ですが、私の街では火曜と金曜が燃えるゴミの日です。違う曜日の街もあるでしょう。空に見える惑星ペアがたまたま何かの日に一致すると愉快になります。

20161122金星と火星
…そんなアホことを考えているうち、そう言えばしばらく金星と火星の接近を見てないことに気付きました。左上画像は広角撮影なので、接近しているとは言いがたいです。(撮影時の離角は27°余り。)接近と言ったら、やはり双眼鏡でいっぺんに見えるくらい…せめて離角が5°以内のようなケースでしょう。昨年2015年には2月22日と11月2日の二回、金星と火星が1°未満まで接近しています(→関連リンク1関連リンク2)。でも今年は1度もありません。不公平(?)ですよね。

「金星と、火星・木星・土星の三惑星とで、接近のチャンスが一番少ないのはどれでしょうか?」この問いに、理由付きで正確に回答できる方はいらっしゃいますか?実は地球の両隣、金星と火星のペアが最も少ないのです。(※理由は記事に書きませんので、ぜひ調べてみてください。)試しにステラナビゲーターの会合検索ツールで1900年始から2099年末の200年間を調べたところ、5°以内の接近回数は次の様になりました。

  • 金星と火星…148回
  • 金星と木星…197回
  • 金星と土星…202回

地球から見る金星はかなり複雑な位置変化をします。ある程度天文に詳しい方でも「向こう数ヶ月の金星の位置」をパッと描けないでしょう。その金星に対して、他の惑星たちがどのように接近するかは結構難解なのです。

金星と三惑星の離角
左は2015年始から2024年末までの10年間、金星と三惑星それぞれの離角を計算したグラフ(自作プログラムによる)。縦軸が離角(度)です。5°以内の接近というのは、グラフが下部オレンジ領域まで下がっているという状態。火星の赤ラインを見ると確かに2015年は2回オレンジ領域に届いてますが、その後は2017年秋まで接近しません。赤ラインはパターンがつかめません。接近周期は他の二惑星より広いです。

2017年秋の接近(10月6日最接近)は明け方の空で離角0.22°という見事な景観になります。観察のチャンスは最大限活かしたいですね。

参考:
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