今日の月(深夜) ― 2016/11/16
スーパームーンから一夜経った月です。日付が16日になって十数分後に撮影しました。太陽黄経差195.15°、撮影高度70.5°弱、月齢15.90です。数時間前まで雲が湧いていましたが、日付が変わる頃までには空が透き通りました。
昨日のスーパームーンがどれくらい大きかったか計算してみると、この画像の月より約3ピクセル大きいという結果でした(※測心計算による)。今夜も準スーパーくらいはありますね。月を一定機材で頻繁に撮影していれば、いつもより大きい感じが体感的に分かります。
撮影時の月はおうし座のヒアデス星団のまっただ中にあり、アルデバランに1°余りのところまで迫っていました。当地では2:30前にアルデバランが月に隠される「アルデバラン掩蔽」が起こります。これについては別記事をどうぞ。
参考:
アーカイブ:月の形(黄経差180度以上、216度未満)
昨日のスーパームーンがどれくらい大きかったか計算してみると、この画像の月より約3ピクセル大きいという結果でした(※測心計算による)。今夜も準スーパーくらいはありますね。月を一定機材で頻繁に撮影していれば、いつもより大きい感じが体感的に分かります。
撮影時の月はおうし座のヒアデス星団のまっただ中にあり、アルデバランに1°余りのところまで迫っていました。当地では2:30前にアルデバランが月に隠される「アルデバラン掩蔽」が起こります。これについては別記事をどうぞ。
参考:
アーカイブ:月の形(黄経差180度以上、216度未満)
アルデバラン掩蔽がきれいに見えました ― 2016/11/16
前夜のスーパームーンは全天くまなく雲に覆われてちらりとも見えませんでした。打って変わって15日夜から16日明け方は透明感あふれる月夜で、心が洗われました。
日付が16日に変わってすぐの頃に空を確認すると、月の側に明るい星が輝いています。それはおうし座のアルデバランでした。そう、この夜は月に隠されてしまう「アルデバラン掩蔽」が起こる予報が出ていたのです。晴れは朝まで持ちそうでしたので、早めに機材をセット。月が恒星を隠す時間まで待機しました。
月だけ見ていると「星がだんだん月に近づく」ように錯覚しますが、本当は月のほうが近づいているのです。この動きは「公転」、つまり地球を周回する動きです。右上図はこの様子を表したものですが、今回は公転の途中でアルデバランをまたぐように移動したという訳です。
2時を過ぎると両星は肉眼で分離できないほど接近しました。潜入前に撮影したのが左の画像(A)。月の左やや下にアルデバランが光っていますね。このあとハイビジョン動画撮影に切り替えました。そこから等倍で切り出したのが画像(B)です。(B)の左半分は潜入する瞬間のアルデバラン(矢印)で、右半分はその次のフレーム(1/30秒後の次のコマ)です。すでに恒星は消えていますね。暗い星の掩蔽では月が眩しくて分かり辛いのですが、今回は問題なく「消える瞬間」を確認できました。現象時刻を割り出すと、だいたい2:23:33でした。
月からの出現は約1時間後です。だいぶ西に傾きましたが、それでもまだ50°近くあります。潜入・出現とも高い高度をキープできるなんて、久しくなかったような抜群に良い条件の掩蔽ですね。出現も動画で捉えました。潜入同様に切り出した画像が(C)、出現数分後の静止画が(D)。
出現の際は月がわずかに欠けている暗い側からだったので、とても分かりやすいものでした。(C)は1フレームおきの3枚ですが、全部出終わるまでに2フレームかかっています。なぜこうなったのかは分かりませんが、静止画を撮影してみるとだいぶ大気が揺らめいてるのが分かりました。そのせいなのかも知れませんね。出現時刻は3:28:08頃でした。明るい恒星の掩蔽は本当に面白いです。
今回のアルデバラン掩蔽、実は奄美大島の南にある徳之島で「グレージング」になりました。グレージング(grazing occultation)とは星が月の縁ギリギリをかすめる「接食」と呼ばれる現象。月縁の微妙な起伏が恒星を瞬かせたり、複数回の潜入と出現があったりと、観測家にはとても面白いものです。でも見える範囲がごく狭いのが欠点…。
明るい恒星かつ条件の良いグレージングはなかなかありませんが、アルデバランはいま頻繁に月に隠されているのでチャンスは多いのでしょう。来年2017年10月10日明け方には本州を横断する「アルデバラン・グレージング」が予報されています。簡単ですが下記にGoogleMap上での予報ラインを掲載しますので、お近くの方は参考にしてください。石川県から福島県のライン上だけでなく、島根県の一部や対馬地方まで伸びていますよ。また左上図は那須塩原市に近いポイント(東経140.0°)での月縁予想図。面白い現象が期待できそうですね。近くなったら詳しく解説しようと思います。
日付が16日に変わってすぐの頃に空を確認すると、月の側に明るい星が輝いています。それはおうし座のアルデバランでした。そう、この夜は月に隠されてしまう「アルデバラン掩蔽」が起こる予報が出ていたのです。晴れは朝まで持ちそうでしたので、早めに機材をセット。月が恒星を隠す時間まで待機しました。
月だけ見ていると「星がだんだん月に近づく」ように錯覚しますが、本当は月のほうが近づいているのです。この動きは「公転」、つまり地球を周回する動きです。右上図はこの様子を表したものですが、今回は公転の途中でアルデバランをまたぐように移動したという訳です。
2時を過ぎると両星は肉眼で分離できないほど接近しました。潜入前に撮影したのが左の画像(A)。月の左やや下にアルデバランが光っていますね。このあとハイビジョン動画撮影に切り替えました。そこから等倍で切り出したのが画像(B)です。(B)の左半分は潜入する瞬間のアルデバラン(矢印)で、右半分はその次のフレーム(1/30秒後の次のコマ)です。すでに恒星は消えていますね。暗い星の掩蔽では月が眩しくて分かり辛いのですが、今回は問題なく「消える瞬間」を確認できました。現象時刻を割り出すと、だいたい2:23:33でした。
月からの出現は約1時間後です。だいぶ西に傾きましたが、それでもまだ50°近くあります。潜入・出現とも高い高度をキープできるなんて、久しくなかったような抜群に良い条件の掩蔽ですね。出現も動画で捉えました。潜入同様に切り出した画像が(C)、出現数分後の静止画が(D)。
出現の際は月がわずかに欠けている暗い側からだったので、とても分かりやすいものでした。(C)は1フレームおきの3枚ですが、全部出終わるまでに2フレームかかっています。なぜこうなったのかは分かりませんが、静止画を撮影してみるとだいぶ大気が揺らめいてるのが分かりました。そのせいなのかも知れませんね。出現時刻は3:28:08頃でした。明るい恒星の掩蔽は本当に面白いです。
今回のアルデバラン掩蔽、実は奄美大島の南にある徳之島で「グレージング」になりました。グレージング(grazing occultation)とは星が月の縁ギリギリをかすめる「接食」と呼ばれる現象。月縁の微妙な起伏が恒星を瞬かせたり、複数回の潜入と出現があったりと、観測家にはとても面白いものです。でも見える範囲がごく狭いのが欠点…。
明るい恒星かつ条件の良いグレージングはなかなかありませんが、アルデバランはいま頻繁に月に隠されているのでチャンスは多いのでしょう。来年2017年10月10日明け方には本州を横断する「アルデバラン・グレージング」が予報されています。簡単ですが下記にGoogleMap上での予報ラインを掲載しますので、お近くの方は参考にしてください。石川県から福島県のライン上だけでなく、島根県の一部や対馬地方まで伸びていますよ。また左上図は那須塩原市に近いポイント(東経140.0°)での月縁予想図。面白い現象が期待できそうですね。近くなったら詳しく解説しようと思います。
2017/10/10グレージング予報マップ(恒星:アルデバラン、光度0.9等、月齢:19.5)
- 予報ラインはグレージングの南限です。恒星は月の南側の縁に接します。
- 接食現象が見えるのはラインからの距離が数百m−1km程度以内の範囲です。それより南では恒星が全く隠れません。また北に離れるほどグレージングではなく通常の掩蔽になります。
- 北限ラインは北極圏のほうにあり、国内を通りません。
- 赤丸アイコンをクリックすると、その地点の現象時刻が表示されます。
- 望遠鏡アイコンをドラッグすると、三脚下×印の緯度経度が地図下(欄外)に表示されます。初期値は茨城県の筑波山です。自由に移動させてください。
- ライン予報と月縁図はOccultを使用しました。