火星とアンタレスが大接近2016/08/24


20160824火星とアンタレスの接近
本日24日はずっと不安定な天気でしたが、夕方から日没後の頃まで一時的に青空が広がりました。西空では水星・金星・木星が大接近していたはずで、金星のみ確認できたのですが、他の二惑星が見えるほど暗くなる前に低空の雲に没しました。

でもその後に見えてきた南空の火星・土星・アンタレスはまだ大丈夫そう。19時過ぎのまだ薄暮が残る中、低空から迫る雲に隠される前になんとか写真に収めることができました(左画像)。撮影した範囲は右下星図の白矩形範囲ですので、どこにどんな星があるか探してください。

20160824火星とアンタレスの接近
昨日は火星とアンタレスが最接近する日でした。4月4日の記事などで、今年の「火星とアンタレスの接近」は2回あると案内してきましたが、その2回目だったんです。この接近は、前後数十年の中で一番近い貴重なものでした。

さそり座のアンタレスは「火星(軍神アレス)の赤さに対抗(アンチ)する星」という意味を持つ名。それというのも、挑発するかのように火星が時々近くにやってきて、並んで光る様子が人々の目にとまったからでしょう。2年あまりかけて天球を一周する火星は、それに近い周期でアンタレスに近づくのです。でも毎回同じような接近ではありません。近かったり遠かったり、火星が明るかったり暗かったり、実に多様なのです。

記事末の表には、1900年頭から2099年末までの200年間に火星とアンタレスが見かけ上で3°以内に接近する時期をまとめました。なかでも2°以内になるケースはピンク色の文字にしてあります。今回がいかに貴重な接近だったかお分かりになるでしょう。この記事を読んでいらっしゃる多くの方にとって、最初で最後の機会と思います。急に離れてしまうわけではないので、まだご覧になってない方は近日中にぜひ!

下表を作成中、時々接近期間が長い場合があることに気付きました。例えば1922年や1969年、2048年などです。分割されていますが1969年や2048年は年内2度に渡って10日以上接近してますね。1922年と2048年の星図をステラナビゲーターで描いてみました(下図)。白い小さな丸が二日毎の火星位置。このようにアンタレスのすぐ側で逆行→順行または順行→逆行に方向転換する「留」が起こるときは、接近の期間が長くなるわけです。

  • 1922年火星とアンタレスの接近

    1922年の接近
  • 2048年火星とアンタレスの接近

    2048年の接近

【火星とアンタレスが見かけ上で3°以内に接近する時期・1900年-2099年調べ】
期間開始期間終了日数期間中の最小離角(実現日)
1905年9月2日1905年9月7日6日間2.31°(1905年9月5日)
1920年9月16日1920年9月19日4日間2.80°(1920年9月18日)
1922年7月9日1922年7月25日17日間2.48°(1922年7月17日)
1937年8月22日1937年8月30日9日間1.90°(1937年8月26日)
1952年9月9日1952年9月13日5日間2.55°(1952年9月11日)
1967年9月23日1967年9月24日2日間2.96°(1967年9月23日)
1969年5月30日1969年6月8日10日間2.41°(1969年6月3日)
1969年8月5日1969年8月18日14日間1.27°(1969年8月12日)
1984年8月31日1984年9月6日7日間2.23°(1984年9月3日)
1999年9月16日1999年9月19日4日間2.76°(1999年9月17日)
2016年8月20日2016年8月28日9日間1.79°(2016年8月24日)
2031年9月8日2031年9月13日6日間2.50°(2031年9月11日)
2046年9月22日2046年9月23日2日間2.92°(2046年9月22日)
2048年6月7日2048年6月22日16日間1.75°(2048年6月14日)
2048年7月29日2048年8月14日17日間1.08°(2048年8月7日)
2063年8月30日2063年9月6日8日間2.17°(2063年9月3日)
2078年9月15日2078年9月18日4日間2.71°(2078年9月16日)
2095年8月18日2095年8月27日10日間1.68°(2095年8月23日)

※自作ソフトによる簡易計算で、1900年1月1日から2099年12月31日までの日単位比較です。厳密な計算ではないのであしからず。
※離角は各日21時JSTでの計算値です。最小離角や実現日は各期間の極小に近いですが、極小値そのものではありません。


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