接近する月と惑星を見つけよう2016/08/03

このところ明け方の空を飾っていた月ですが、今日の朝に新月(月齢0)となりました。今後しばらくは夕空に見えることでしょう。7月29日の記事で、夕空の金星を見つけたお話をしました。現在の夕空にはたくさんの惑星が見えますが、明日以降はそこに月が加わることとなります。スターウィークにも重なって、さながら「月・惑星に親しむ週間」になりそう。果たして月・惑星を全て見つけられるでしょうか?コンプリートはポ○モンGOよりずっと難しく、やり甲斐がありますよ。やり直しはききませんから、夕空の様子を予習してみましょう。(※以下の星図はステラナビゲーターとStellariumを併用しています。)

左下図は明日8月4日から7日までの4日間、日没30分後の西空を描いたもの。惑星や月は周囲の恒星に対して日々位置を変えますから、日周運動で沈む動きの他に、このような一見不可解な移動をします。初めてこういった星図をご覧になる方には誤解を生みやすいのですが、「月や惑星が一晩中この位置に留まって、明日になったら少しずれる」訳ではありません。

201608上旬・西空の月と惑星
「日々ちゃんと地平に沈み、ぐるっとまわって、明日の同じ頃に再び見ると位置がずれてる」という意味です。途中経過を端折ってるのです。当ブログを含め、世に出回ってる同様の星図はこのことを明記していませんので、敢えて書いておきますね。

4日の月は超低空の上に月齢1.6ですから、西に障害物のない海や砂漠が広がっていたり、地平が全て見下ろせるほど高い場所で、快晴に恵まれないと見えないでしょう。この時間の金星は既に高度5°以下。日没後すぐに金星が探せる状況なら、月も一緒に見つかるかも知れません。月と金星との離角は4°あまり。また両星の中間にはしし座の1等星レグルスもいますよ。

5日の月は水星から見て5.5°ほど東側、また6日は木星の3°あまり東側に輝きます。この頃になると(雲さえなければ)肉眼で容易に探せるでしょう。というより、最初に月が目にとまり、そこから惑星を探す、という手順になると思います。もう30分も経てば暗くなりますが、それだと月も星も沈んでしまいます。1分でも早く見つけることがカギとなりますからね。

201608中旬・南南西の月と惑星
少し日が経って8月11日になると、さそり座近くに見える火星まで月がやってきます。右図は11日から13日までまでの3日間、20時の様子を描いたもの。方角は南南西になります。土星が全く動いてないように見えますが、この星図の縮尺では表現できないほどわずかに移動しています。

11日の月と火星は10°あまり離れているので、接近してるというほどではありません。でも首を少しも動かさずに全部まとめて見えるのですから、とても探しやすいでしょう。12日には土星から約3°のところに見え、13日には一団から離れてゆきます。なお火星はこのあと24日の晩前後にアンタレスと最接近します。この接近は私たちの一生の中で「最も近い見かけ上の接近」となりますから、見逃しませんように。

20160809・月と惑星
上のふたつの星図は、違う期間・違う領域を別々に描いていますが、これらは8月上旬から中旬にかけて、夕空でまとめて見えているわけです。試しに旧暦七夕である8月9日の様子を描いてみました(左図)。木星から離れ、火星に近づきつつある月が中間地点に輝いていますね。

この期間の観察は、水星から土星までの5惑星と月をいっぺんに見るチャンス。それだけではなく、日々の月や惑星の移動、日周の速さ、日暮れの変化、低空の星がいかに見つけ辛いか、といった体験もできるのです。この記事の星図は空の明るさをかなり暗くして星を見やすくしてますが、実際の空では慣れてる人でも難しいことが多いでしょう。素人さんも玄人さんも関係なく、自分の腕試しとして、月と惑星観察を楽しんでみてください。なお、左上図の翌日8月10日は、今年最良条件の月面Xデーです。日暮れ頃からX地形が見えてきますのでお忘れなく。

これらの多天体の接近はアーカイブ:多天体の接近現象にも表記があります。1ヶ月後の9月には(見やすくはないけれど)今回よりも間隔が狭まった月・惑星の6天体接近が見られます。十分に目を鍛えて、臨んでくださいね。

コメント

トラックバック