祝1周年、気象衛星ひまわり8号 ― 2016/07/08
猛暑や台風1号を追いかけて慌ただしく過ぎた昨日の七夕、気象観測の要であるひまわり8号は運用開始から1歳を迎えました。
日々移ろいゆく青い地球の姿には、感動すら覚えます。一日一回は眺めるようにしているのですが、いつも何らかの発見や驚きがありますね。開発、打ち上げ、現在の運用に至るまで、多くの方々の努力があったのでしょう。心から感謝したいと思います。
以前に何度か当ブログで紹介した「地球と月の奇跡のツーショット」は、今も探し続けています。月に数回程度は条件が良いチャンスがあるので、それを予め1年分くらい計算しておくのです。これは静止衛星だからできること。周回する国際宇宙ステーションなどは落ちたり飛び去ったりしないよう軌道を調整し続けるため、1週間先の位置計算すら怪しいわけです。
左画像は今年2016年5月19日9:00の画像(画像元:NICTサイエンスクラウド)。ニュージーランドを臨む地球の縁から月が出てきたところです。とても美しいですね。 特に大気との境界で月が歪んでいるところが素晴らしい!以前の記事に書きましたが、月が崩れずにきちんと残っている画像は少なく、たいてい切れたりズレたりしています。
右画像は同じく今年6月15日6:50のもの。欠けた地球と全く同じ形状の小さな月が、左下に見えています。地上からは実感できませんが、月と地球が一緒になって満ち欠けをしている様子は教育的にもたいへん優れた画像と言えましょう。
自分で探してみたいという方はいらっしゃるでしょうか?参考になるか分かりませんが、2016年7月から9月までの予測を下に掲載しました。これは「この日時にひまわり8号から見た月は地球の縁近くにある」「月齢は10以上、20以下(満月に近くて明るく探しやすい)」「北極および南極近くは画像が切れやすいため避ける」という条件で絞ったリストです。
【気象衛星画像に月が写るかも知れない日時】
日付 時刻 | 方向 | 月齢 |
---|---|---|
2016年7月23日 14:00 | 7 | 18.75 |
2016年7月23日 14:50 | 5 | 18.78 |
2016年7月24日 14:40 | 8 | 19.78 |
2016年8月19日 12:00 | 7 | 16.26 |
2016年8月19日 12:30 | 5 | 16.28 |
2016年8月19日 12:40 | 5 | 16.29 |
2016年8月20日 12:30 | 8 | 17.28 |
2016年8月20日 13:50 | 4 | 17.34 |
2016年8月21日 13:20 | 9 | 18.32 |
2016年8月21日 14:40 | 3 | 18.37 |
2016年8月22日 14:20 | 10 | 19.36 |
2016年8月22日 15:30 | 2 | 19.41 |
2016年9月16日 10:30 | 7 | 14.69 |
2016年9月16日 11:30 | 4 | 14.73 |
2016年9月17日 11:10 | 9 | 15.71 |
2016年9月17日 12:30 | 3 | 15.77 |
2016年9月18日 13:20 | 2 | 16.8 |
2016年9月19日 13:10 | 11 | 17.8 |
2016年9月19日 14:00 | 1 | 17.83 |
方向とは北極(画像上)を0時、南極を6時として時計の文字盤を描いたとき、何時の位置に月がいるかを表したものです(30°の幅を持ちます)。例えば方位に「2」とあったら、2時の位置(上から右回りに60°)を中心に30°幅を探してください。
探す場合はちょっとした注意も必要です。一年分探して分かったのですが、ひまわり画像は通常のカメラのように一瞬で地球全体を捉えられないため、北極側から南極側までスキャンする間に時間が経ちます。月が見える位置予報が北半球の場合と南半球とでは、最大10分(=撮影スパン)ズレてしまうのを見込む必要があるのです。
ざっくり言うと、方位が9→0→3(北半球)の場合は表の時刻通りに写っている事が多いけれど、方位が3→6→9(南半球)の場合は既に位置がズレてしまうため、ひとつ前(10分前)の画像に写っていることが多いのです。この表はあくまで該当日時に地球と月の位置関係を算出したものでスキャンズレの補正はしていません(できません)から、前後の撮影画像も見ておくことをお勧めします。