まもなく火星が地球に接近!2016/05/29

  • 20160528火星
  • 20160529土星

いよいよ2016年5月31日朝に火星が地球に最接近します。この接近は「火星とアンタレスが接近」(→関連記事1関連記事2)といった「見かけ上」ではなく、実際にふたつの惑星が接近する現象です。上は昨夜日付が29日に変わる直前の火星と直後の土星(同倍率)。両惑星はさそり座に並んで輝いています。空全体が霞んで気流もやや悪かったものの、火星は土星本体をも凌ぐ大きさになっていて、模様が良く見えました。約24時間前の画像5月23日の観察と模様の違いも比べてみましょう。

地球と火星の接近図
前回の接近は2014年4月14日でしたから約2年1ヶ月半ぶり。他の惑星と地球は周期性をもって近づいたり遠ざかったりしており、これを「会合周期」と言うこともあります。周期と言っても時計のように正確ではなく、ある程度のブレ幅があるんです。例えば火星の場合、ここ50年間では接近から接近まで2年と37日くらいのこともあれば2年と68日くらいのこともあります。

右は1980年から2039年までの60年間に起こる全ての接近を図に描いたもの。接近計算はCalSkyによります。(→アーカイブ:惑星カレンダー参照。)地球軌道に対して北側から垂直に見下ろし、できるだけ実際の位置と距離比に近くなるよう正確に作図しました。背景はステラナビゲーターによる星図で、現時点の黄道座標に合わせてあります。詳しく見ていただけるよう大きな画像にしました。(※国立天文台サイトにも似た図があります。)みなさんはどの接近を覚えていますか?また、何年先の接近まで観察できそうですか?

地球や火星の軌道は正円ではなく楕円ですので、ひとくちに接近と言っても間隔が狭いところや広いところがありますね。また接近のとき、「太陽−地球−火星」は一直線になりません。衝=最接近ではないのです。両惑星はこの図に対して奥行き方向にも若干のズレがあります。ひとつひとつの接近のなかで、距離がかなり近くなる時を「大接近」、遠いときは「小接近」、どちらでもなさそうなら「中接近」と表現することもあります。今年は中接近、2年後の2018年は大接近ですね。面白いことに…よく考えれば当たり前なんですが…、遠い過去未来まで想定しなければ、何月に接近するかによって大・中・小接近の振り分けがおおよそ分かります。

火星の大きさ比較
火星の場合、もっとも接近する時期と一番遠い時期とでは距離が4倍から7倍ほども変化し、また接近同士を比べても5600万km以下から1億100万km以上まで様々なケースがあります。当然見かけの大きさは激変しますから、表面の模様まで観察できる大接近のチャンスはとても貴重なのです。

左図は近年で一番近かった2003年の大接近と、今年2016年の中接近、そして来年もっとも遠くなる2017年8月の見かけを比べた図です(Stellariumによる作図)。もう、衝撃的ですよね…。関東は月末のお天気が悪そうですが、全国のみなさん、望遠鏡で火星を観察する機会を作ってぜひじっくり楽しんでくださいね。

参考:
2016年火星の地球接近・アンタレス接近に関する記事(ブログ内)

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