越冬する昆虫たち2016/01/31

※記事中に多数の昆虫が登場します。虫の嫌いな方は見ないほうが良いかも…。
※今回は10年ほど前に撮りためた自然写真を使って記事を構成しました。全て冬(12月-2月)の撮影です。

梅
2016年の1月も今日が最終日。茨城では1週間ほど天候がやや不安定で、晴れて日中暖かくなったと思えば冷たい雨や雪がぱらつくことも。それでも近所で咲き始めた梅が良い香りを漂わせています。

一週間余り前には沖縄で雪が降るほどの大寒波が話題になりましたが、その後は気温が回復したようです。

201601下旬・気温変化
1月26日の記事で大寒波の気温グラフを提示しましたが、その後の推移を今日31日0:00までの気象庁データで描いてみました(右図/那覇・つくば・旭川のみ)。縦軸は気温(度)、横軸は23日0:00から31日0:00までの時間経過です。那覇の気温は26日から徐々に上がり、なんと29日は「夏日」になっていますね。こんなに急変では体調崩しそう…。

カマキリの卵
カマキリは卵で越冬
私たちほ乳類の頑丈な体でも気温差はキツいですが、外気温に左右される昆虫などは直接活動に影響しますね。昆虫の越冬の仕方は様々ですが、卵や蛹といった「動き回る必要がない」越冬の形態ばかりではなく、幼虫や成虫といった「動こうと思えば動ける」形態で越冬する種もあります。無論、たまに場所を変えたり食べ物を食べたりする以外はほとんど動きませんが…。幼虫で冬を越す典型例はカブトムシですね。いわゆるイモムシのまま地上より暖かな地中でじっと過ごします。

平年の沖縄なら冬でもチョウやハチの成虫が空を飛ぶのを見かけます。でもさすがに今年は寒いらしく、有名なリュウキュウアサギマダラ(下左画像)が木の枝に集団で身を寄せ合って寒さを凌ぐ様子がニュースになってました。私が冬の沖縄の藪で見たものでは、ナナホシキンカメムシがそこら中の葉にビッシリ集まっていて驚いたことがあります(下中画像)。もちろん関東でも成虫の集団越冬を見かけます。テントウムシやカメムシの仲間が典型例でしょうか。下右画像はヨコヅナサシガメというカメムシの一種。近所の公園などでも観察できることがあります。

  • アサギマダラ
    冬でも飛ぶリュウキュウアサギマダラ
  • ナナホシキンカメムシ
    ナナホシキンカメムシの集団越冬
  • ヨコヅナサシガメ
    ヨコヅナサシガメの集団越冬
梅の開花は毎年今ごろですが、サザンカやツバキなど雪の中でも咲く花はあるし、気の早いタンポポやオオイヌノフグリなど寒くても開花を始める花だってあります。冬の日なたでじっと観察しているとミツバチやヒラタアブの仲間がたくさん集まっていますね(下画像)。気温がひと桁台なのにちゃんと動き回れるのはすごい!他にも自宅周囲で正月なのに蚊柱を見かけたり、夜中の天体観測中に蛾が飛んでいました。種類によりますが、想像以上に昆虫は耐寒性があるのですね。

  • ミツバチの仲間
    冬でもミツバチは花に集まる
  • ヒラタアブの仲間
    アブだって目ざとく花を見つける
  • ヒラタアブの仲間
    花の中は暖かいのかも知れない
藪の中でじっとして動かないけれど、ちゃんと生きている昆虫もいますよ。下写真上段のウラギンシジミは雪が積もるような常緑広葉樹の葉に隠れて越冬します。羽を広げて日光浴を始めたら暖かくなってきた証拠。また、成虫が4cmくらいのホソミオツネントンボも成虫での越冬が上手です。オツネントンボは文字通り「越年蜻蛉」つまり成虫で越冬するトンボの仲間という意味。下写真下段のように枯れ枝に擬態するので、葉っぱが落ちてスカスカの雑木林でも見つけるのは極めて困難です。暦の上では4日後に立春を迎えますが、虫たちが自由に空を飛び交う春はもう少し先。寒波に負けず命を長らえてほしいですね。

  • ウラギンシジミ
    ウラギンシジミは葉っぱの形
  • ウラギンシジミ
    二匹いますよ

  • ホソミオツネントンボ
    ホソミオツネントンボは枝そっくり
  • ホソミオツネントンボ
    その姿勢は苦しくないのかな?
  • ホソミオツネントンボ
    夕方になると寒いよね

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