まもなくカタリナ彗星がやってきます2015/11/15

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一週間ほど前に始まった不安定なお天気。ギュッと寒い日があったと思えば一日中暖かい日もあって、まさに季節の変わり目でした。昨日からまる一日、日本を縦断するように雨が降っています。関東ではこんなお天気がもう一週間ほど続くようですが、じょじょに晴れの多い冬へと移行するでしょう。そんな中、明るい彗星が日本の空にやってきます。その名はカタリナ彗星(C/2013US10)。明日11月16日に軌道上で太陽に一番近いところ(近日点)を通過して、北上の真っ最中。(追記:11月21日明け方に観察できました。記事はここをクリック。)

カタリナ彗星(C/2013US10)星図151110

2015年11月10日-12月20日ごろ

カタリナ彗星(C/2013US10)星図151210

2015年12月15日-2016年1月3日ごろ

カタリナ彗星(C/2013US10)星図160101

2016年1月1日-1月10日ごろ

カタリナ彗星(C/2013US10)星図160111

2016年1月11日-1月21日ごろ

カタリナ彗星(C/2013US10)星図160120

2016年1月20日-1月31日ごろ

カタリナ彗星の位置をステラナビゲーターで星図にしましたので、左に時期ごとに掲載します。(全て上が天の北方向、恒星は8.0等まで、赤経赤緯線は10°間隔。)厳しいことを書く様ですが、星座を隅々まで結べない、あるいは星図を読解できないなら、4等以下の彗星なんて探せません。こういう機会を活かしてがんばって覚えましょうね。

ちなみにカタリナ彗星やパンスターズ彗星という名前の彗星はたくさんあります。検索などで探すとき間違えないように注意しましょう。今回のは「C/2013 US10」という符号です。一般に新発見された彗星は発見年の後ろに発見月を示すアルファベット1文字が付きますが、今回のカタリナ彗星は当初小惑星発見として扱われたためアルファベット2文字になってます。

2013年の発見時みずがめ座で18.6等だったこの彗星は、今年の夏までにゆっくり南下して日本から見えなくなりました。現在は太陽に近くて見えませんが、今日15日の時点で日出時の高度が10°近くあります(茨城の場合)。あと一週間もすれば多くの目に捕らえられるでしょう。星図にあるように来年2016年1月下旬には周極星(一晩中見える)となって北極星近くまで移動します。最近このパターンが多いですね……。

今の時期は来年のカレンダーや手帳、年鑑や情報誌がお店にたくさん並んでいますね。私のような空好きが興味をそそられるのは、天文や気象の情報が手に入る手帳、月齢などが分かるカレンダーの類です。

天文現象は暦や年鑑にキッチリ書いてあるため何でも正確に予測できてると勘違いされますが、必ずしもそうではありません。多少の誤差は仕方ないけれど、誤差ではなく「予測がしにくいものを無理に数値化してる」ことや「そもそも予測ができない」ことが色々あります。たとえば、流星群の出現数や流れる場所、彗星の明るさ、随時修正される国際宇宙ステーションの軌道などはその典型例。明日の天気すら白黒付けられないのと同じですね。

考えればこんなこと身近にいくらでもあります。冬はインフルエンザ患者が確実に多いけれど「あなたが罹患する」とは誰にも言えませんし、世界一正確な運行を誇る日本の鉄道が、明日も絶対遅延がないとは言えませんね。不確定要素が多い宇宙に関しても同様ですが、他と違うのは「どの情報が予想しにくいかという学習機会がかなり少ない」ことと考えています。あまりにも生活からかけ離れてて日常の話題にのぼらない上に、天文普及に携わる人の圧倒的少なさ。それ故「何でも的確に予測されてる」と“なんとなく”勘違いされるのではないでしょうか。

そうは言っても計算科学が発達している現在は、既に発見され多数の観測実績がある天体が空のどこに見えるかくらいは、ある程度の精度で予想できます。(あくまで彗星が壊れたりしなければ、の話。)今回のカタリナ彗星は久しぶりに期待できる彗星のようです。ここここにある10月頭ごろ撮影された素晴らしい画像では2、3°の尾が見えてるようですね。(引用:SpaceWeather彗星ギャラリー

去年の天文年鑑に、カタリナ彗星は4等星くらいまで明るくなると記されてました。4等星の彗星といったら、ちょうど今年1月のラブジョイ彗星(C/2014Q2)並みの肉眼彗星。でも前述のように彗星の明るさ予報は難しいのです。実際、現時点では当初の予想より2等ほど暗い約6.5等星。これから若干明るくなる予定ですが、まぁ肉眼で見えるほどにはならないでしょう。それでも双眼鏡や小型望遠鏡なら探せるくらいの彗星です。このクラスは1年に1度見えれば良いほうなので、貴重なチャンスに空を仰ぎたいものです。

明け方の低空にはもうスピカやアルクトゥルスが昇っていますから、晴れたら星座を把握しておいてくださいね。11月中はまだ彗星が低過ぎますが、12月になるとぐんぐん高度が上がります。下の星図(Stellarium使用・上が天頂方向)のように、12月8日には金星や月と一緒に見えますから、星座が分からなくても双眼鏡片手に探せます。来年の初日の出の夜明けにはアルクトゥルスに大接近、1月17日には「回転花火」で有名なM101からわずか2°のところを通過するチャンスもあります。なお2015年11月26日、12月25日、2016年1月24日は満月で、満月前後1週間は明け方でも月明かりの影響が大きいのでご注意。最盛期のカタリナ彗星をぜひお見逃しなく!

  • カタリナ彗星(C/2013US10)星図151208

    2015年12月8日 月や金星と一緒に(縦画角5°)
  • カタリナ彗星(C/2013US10)星図160117

    2016年1月17日 M101と一緒に(縦画角3°)

参考:
カタリナ彗星(C/2013US10)に関係する記事(ブログ内)

今日の太陽2015/11/15

20151115太陽
午前中は小雨がぱらつくお天気でしたが、午後遅くなって急激に晴れてきました。気付くのが遅れたため、太陽に望遠鏡を向けた16時頃には高度が5°を切っていました…。おかげで楕円になっています。(右下が地面方向です。)でも低い割には良く写りました。

例の丸くなったダークフィラメントは今日も良く見えていました。いくつか明るめの活動領域も確認できます。チョロッチョロッと出ているプロミネンスも楽しげですね。

今日の月は天の川のど真ん中2015/11/15

20151115_04197月
夕方とても良く清んだ西空に美しい三日月が見えました。なんだかほっこり気分。しばらくうっとりと眺めていました。左画像は暗くなった18時少し前に撮影。太陽黄経差は41.97°、撮影時の高度は15°ちょっとでした。さすがに大気の状態はユラユラで、眠たい画質ですね。

撮影中になんだか背景にやたら星が見えたので、露出オーバー気味に何枚か撮っておきました(右)。部屋に戻って星図で確認すると、なんと今日の月は天の川のど真ん中にいたのです。

20151115月
いわゆる「いて座のスタークラウド」付近ですね。どうりで星も多いはずだと納得。晩秋の三日月だけでも十分美しいのに、思わぬ星景のプレゼントでした。

参考:
アーカイブ:月の形(黄経差36度以上、72度未満)