合を迎える木星がミニ太陽だったら…2015/08/27

20150827木星の合・星図
本日、木星が「合」となります。合(Conjunction)とは、地球からの見かけの方向が太陽と同じになることです。と言ってもぴったり同じになることはほとんどなく、太陽のすぐ北または南を通過することで合と見なします。木星や土星などの外惑星は地球と太陽の間を通ることがないので、内惑星である水星や金星のような内合(Inferior Conjunction)や外合(Superior Conjunction)の区別はありません。逆に、内惑星は地球より外へは行かないので、衝(Opposition)は起こりません。なおconjunctionという言葉は合だけではなく、例えば「月のそばを宇宙ステーションが通った」みたいなシーンでも使われることがあります。

木星が地球から見て太陽と正反対の衝になったのは2月7日でしたから、半年も経ったのですね。衝は観測好機として歓迎されますが、合は「一番惑星が見えない時期」として疎まれます。金星の内合のように「見えるか見えないか」的観察意欲をそそる対象ならまだしも、金星以外の惑星は合の時期に一般的機材で捉えることはできません。太陽に近過ぎ、また惑星光度が暗すぎるからです。

金星の内合のときに赤経内合と黄経内合の違いについて記事にしました。木星はどうでしょうか?天文年鑑では合の日時が27日17:56、アストロアーツ・天文現象カレンダーでは同17:57なのに対し、当サイトの惑星カレンダーや国立天文台のサイトによる計算は27日7:02です。前者は赤経の合、後者は黄経の合ですね。金星と同様にステラナビゲーターを使って星図も描いてみました(左上図)。ただし金星と違って太陽にかなり近くて狭い範囲です。白い円は3時間ごとの太陽輪郭を表し、太陽中心と木星がそれぞれ3:00から21:00の間にどう動くかを描きました。ちょうど7:00頃(黄点線)に黄道座標基準で縦に並び、18:00頃(赤点線)に赤道座標基準で縦に並びますね。金星では赤経内合より黄経内合のほうが2日近く遅かったですが、今回は黄経の合が先です。なぜなのか考えてみてください。図をよく見れば答えは難しくないですよ。

木星は巨大な惑星なので、ひと頃よく「太陽になり損ねた星」という紹介のされ方をしていましたね。もし十分な質量があり、何らかの原因でミニ太陽になっていたら、合の時には「ふたつの太陽」が沈む姿を目にしていたかも知れません。
20150827夕方想像図


映画やアニメではふたつの太陽ってSFらしいお約束の演出ですね。スターウォーズの最初の作品(1978年日本公開)で砂漠の惑星タトウィーンに沈む美しいふたつの夕日はあまりのリアルさに衝撃でした。不朽の名作「2001年宇宙の旅」続編として描かれ、つくば科学万博(1985年)時に日本公開された「2010」では正に木星が太陽として地球から見えるシーンもありました(ネタバレ失礼!)。そんな映画のように、もし今日夕方に木星がミニ太陽として見えたら…という設定をStellariumで正確に再現してみました(右図)。ちっちゃな夕日、可愛すぎる!