地球の可視画像を楽しもう2015/08/18


2015年7月7日に新しい気象衛星(ひまわり8号)による観測が始まって、一ヶ月半が経とうとしています。空間的・時間的、あるいは周波数的な解像度の飛躍的な向上で、様々な気象解析に役立っていることでしょう。ごく普通の一般市民である私のような者でも、インターネットで24時間衛星画像を見ることができるのはなんともありがたい時代。

20150715・20150815地球比較
ところで天気予報で目にする衛星画像は、人の目に映るように撮影した「可視画像」ではなく「赤外画像」です。可視光は夜間に写せないからです。また様々な赤外線を捉えることで、雲の動きだけでなく水蒸気や黄砂の流れ、火山活動、海面温度なども捉えることが可能です。

それでも私は見た目に近い可視画像が好きです。ひまわり画像がネットで見られるようになった2000年台前半からの大ファン(笑)。ありがたいことに、ひまわり8号では可視画像も24時間配信され、「真っ暗な地球」も見られるようになりました。(以前は明け方から宵までの時間限定配信でした。)こんなのを見て喜んでいる人はかなり少ないだろうとは思いますが、夜を含む地球を見ることで気付けることも多いです。

たとえば、7月15日と8月15日を可視光で比べてみましょう(左上画像・画像元:NICTサイエンスクラウド)。上下段とも右側から2時、6時、12時、18時、22時の画像を使っています。1ヶ月の差があるふたつの画像を比べ、雲の状況など気象以外で、どれだけ違いを見つけられますか?

20150715・20150815地球比較
一例として、実は光の当たり方…太陽が地球を照らす方向が違っています。具体的に各日の6時の画像で比べましょう(右画像)。赤線は赤道位置、青点線は欠け際の南北を結ぶ線、緑線は地球中心から見た太陽の方向、黄矢印は太陽光がやってくる向きです。7月に比べ8月のほうが赤道側に近くなった浅い角度から地球が照らされていますね。そういう目でもう一度最初の画像の「三日月形地球」を見ると、欠け際の位置が結構違うことに気付けます。

角度を具体的に計算すると、7月15日は地球中心から見て約21.7度北寄りに太陽がありました。「北緯21.7度では太陽が天頂を通る」と言い換えることもできます。対して8月15日は14.3度でした。一番北に寄るのはご存じ「夏至」で、このときは23.4度。北緯23.4度付近が「北回帰線」と呼ばれ、夏至に影が無くなることは有名ですね。また春分・秋分は0度となり、赤道上で太陽が真上を通ります。その日の朝や夕方の衛星画像を見ると、真横から太陽が地球を照らす様子を見ることができるでしょう。秋分から春分の朝は、いよいよ太陽が右斜め下から照らすような画像となります。日本では昼でも太陽が高く昇らず、結果として気温が上がらない寒い季節を迎えるのです。

この解説は衛星が地球との位置関係を変えない前提で作っているため、「実は静止衛星は微妙に動くよ」といったことは一段深い細かな話です。でも見た目で分かるほどの衛星画像の変化は中学や高校の知識でちゃんと理解できるでしょう。地球ウォッチングを楽しめれば、季節や日差しの変化、白夜、台風の発生位置など様々な理由が面白いほど「視覚的に」分かるようになります。

参考:
気象庁(外部サイト)

今日の太陽2015/08/18

20150818太陽
昨日は一日天気が悪く、本降りの雨続きでした。今日の明け方になって星が少し見えましたが、午前は雲が多めでした。昼から少しずつ青空が見えてきました。

左は13:30頃の太陽。いつまでも取れない薄雲越しの撮影です。光球はいたって静穏でした。中央やや明るいのは活動領域12401です。左端に新たな領域らしきものが見えてきましたが、今日14時時点では番号が付いていません。
20150818太陽リム
右上に向かって大きなプロミネンスがありますね。一昨日16日から見えていたもののようです。同じ側のリムに色々な形のプロミネンスがあって面白いですね。

暈や幻日、そして夕空の月2015/08/18

20150818内暈
昼過ぎに空を見るとたくさんの絹雲に覆われた美しい空でした。部分的に濃い内暈が見えています(左画像)。他にも何か見えるんじゃないかと15分ほど観察しましたが、見えませんでした。

夕方になって外出から徒歩で帰る際も似たような空模様でしたが、途中で幻日が見え始まったので道ばたに立ち止まって撮影(下画像)。最初は右の幻日のみでしたが、次第に左側も明るくなり、最後は左のみとなりました。両者とも特別に明るいと言うほどではなく、知らない方なら見逃す程度のものでした。(※下画像は強調しています。)

  • 20150818幻日(左側)
  • 20150818幻日(右側)

20150818夕空
日が暮れても薄雲が晴れる様子はありません。だんだん暗くなる空に細い月を発見しました(左&下画像)。今夜の月齢は四日月より少し細い程度。うっすらと地球照(光ってない側が淡く光ること)も見えました。晩夏から秋にかけて見える三日月はこのように縦に立った帆掛け船の帆のような形になります。このあと西空は雲に覆われてしまいました。もし低空まで晴れていたら、夕空側に戻ってきた水星が見えていたかも…。

19時過ぎ、雲に覆われつつある北西から北東の低空を飛ぶ国際宇宙ステーションが見えました。予報ではマイナス1等星とのことでしたが、雲があったせいで1等星より暗い感じでした。

20150818月
国際宇宙ステーションは今日あたりから1週間程度夕空に見えるようになります(ただし関東の場合)。そのあとしばらくは見えず、9月には明け方側に回ります。国際宇宙ステーションは90分かけて地球を回りいつでも見えるように思われがちですが、条件良く見えるのは夕方・明け方合わせても片手で数えられる程度。あとは低空で見辛いか、または全く見えない(飛んでいても太陽に照らされず光らない)のです。

最近は夜になると雲がかかり、まとまった時間晴れてくれません。おかげでずっと星の観察ができない日々が続いてます。せめて明後日の旧暦七夕は晴れてほしいですね。