衝を迎えた冥王星と探査機ニューホライズンズの思い出2015/07/07

突然ですが、下画像から冥王星を探してみましょう。微かに写っている冥王星の位置が4日経つ間に明らかにずれていますよ。画像下、ふたつのボタンを押すと画像が切り替わります。ネット環境によっては表示変更に時間がかかることもあるので、ボタンを押して切り替わらなくても慌てず少し待ってください。画像内の日付文字が変われば大丈夫。




200505冥王星
正解は右画像の位置。どうですか、合っていましたか?分からなかった方は右の解答を覚えてから、もう一回トライしましょう。かなり見やすくしているので星探しに慣れていれば数秒で分かっちゃうけれど、大多数の方には難しいのではないでしょうか。冥王星はそれほど遠く、暗い星です。

惑星探査機「ニューホライズンズ」が一週間後の14日に最接近するとのことで、このところ話題に上っている冥王星。通信トラブルが心配されましたが、ひとまず探査続行のようです。上画像に写っていた微かな星を間近で撮影した画像が幾つも届いています。冥王星は昨日7月6日に衝を迎え、今年一番見やすい時期を迎えました。この機会に記念撮影したかったのですが、茨城は6月以来ずっと晴れ間が安定しないまま今日に至ります。仕方なく、冒頭では約10年前の衝(2005年6月)の少し前に初めて撮った冥王星画像を使った次第。当時はまだ準惑星でなく太陽系9番目の惑星で、左下に写っているへび座(尾)ξ星の近くにいました。

今回冥王星に向かっている探査機ニューホライズンズは日本時間2006年1月20日明け方に打ち上げられました(左・NASA画像より)。当時はあまり注目されませんでしたが、地球から遠ざかる姿が日本でも見えるかも知れないとのことで観察したのを覚えています。

20060120ニューホライズンズ
お見せできるようなものではありませんが、右はその時の画像。明け方5時過ぎ、残念ながら薄曇りで星がはっきりせず、該当星野へ望遠鏡を向けるのすら困難だったことを覚えています。計算上は点線○印付近にいたらしいのですが、これを含む一連の画像は雲かぶりやノイズが多く検出できませんでした。中央の明るい星はうみへび座γ星。こちらの記事でしっぽ側(スピカの下)に写っています。ここを強拡大したのが右画像ということです。偶然にも当時同じ場所で撮影してました。

あれから9年半近く経ち、この画像内にいたであろう探査機ニューホライズンズは47億7030万km彼方のゴール間際まで到達しました。もう彼の姿を見ることはできませんが、目指した星をいつかまた見てみたい…。日々実物の空をじっくり見上げ星を追い求めるというのは、こんな壮大な旅に付き添っていることだと感じます。それがどんなに拙い観察であれ、ネットニュースやNASA画像を見てバーチャルに浸っているだけでは決して感じ得ない、何ものにも代え難く貴重な深い体験です。

冥王星の軌跡(2005-2015)
※2005年頭から2015年末までの冥王星位置と、今回の記事に登場した主な位置をステラナビゲーターで星図にしてみました(左)。図の左側で11回(11年分)螺旋を描いているのが冥王星の日々の視位置。2007年には当時さそり座に見えていた木星を使ってスイングバイ(引力を利用して加速すること)しています。探査の旅路がこうしてコンパクトな星野にまとまってしまうのも、冥王星が遠い証拠なのでしょうか。

参考:
アーカイブ:2015年の冥王星と探査機ニューホライズンズに関する記事

今日の太陽は一番小さい…はず2015/07/07

2015年太陽比べ
今日も小雨続きの空。もう8日も太陽の姿を見ていません。黒点やプロミネンスなど、どうなっているのでしょうか。悪天はまだ続きそうです。

本日地球は遠日点を通過、つまり太陽から最も遠くなりました。もし太陽が見えていたら一年で一番小さく見えたはずです。調べてみると前後10日くらいは見かけが0.1秒角(1秒は1度の1/3600)ほどしか変わらないので、8日前の6月29日に撮影した太陽と、近日点通過日の1月4日に撮影した太陽とを使い、見かけの違いが分かる画像を作ってみました(左)。それぞれ機材が違うので像の写りは異なりますが、今回は大きさの比較と言うことでご勘弁を。(※本日の太陽を使ったとしても、この画像なら1ドット程度しか差がありません。)

大きく見える太陽は小さい太陽より3.4%ほど膨らんでいます。遠日点と近日点それぞれの太陽距離は毎年微妙に違いますが、ブログに載せている画像ならほとんど差が無い程度。実際の近日点・遠日点通過日の太陽画像を使ってこの比較イメージを作れたら最高なんですが、毎年の遠日点通過は7月上旬、梅雨空です。これを脱するには1000年ほど待たないとダメです……www。