今日は月面Xデー2014/12/29

20141229月面X
昨夕から今日、関東は悪天でした。明け方にみぞれが降った地域もあったようですが、私のところでは雨だけで済みました。15時近くまで降ったり止んだりが続き、夕方になっても関東域に雨雲があったので今夜の星空は諦めていたのですが、日没後に窓から外を見ると月が!あわてて望遠鏡を組み立てました。そう、今日は月面Xが見える日だったんです。

左は17時20分前に撮ったもの。まだ薄雲が流れていて像は悪いのですが、何とか写すことができました。いつものように書くと、太陽黄経差97.36度、撮影高度は58度ほどです。こちらの表によると、今日の月面Xは7:30頃から地形に日が当たり始めています。もし晴れていてもまだ月が昇っていません。当地での月の出は12時ちょっと前。ちょうどX地形全体が日に当たり、周囲の地形も少し明るくなる頃でした。

もちろんそれで終わりではなく、その後もX周囲の地形はどんどん明るくなって、数日後にはXの形が探せなくなります。今夜はその中間地点なので、まだXの形が分かります。右下はX地形を中心に切り取ったもの。人によって様々だと思いますが、私的には十分楽しめると思いました。周囲の影がほぼ無くなってXの形が分からなくなるまでがひとつの区切りと考えています。

20141229月面X
撮影時点でもし月面のX地形から太陽を見ると、地平からだいたい2.7度の高さにある計算です。その後どうなるか追いかけようとしましたが、晴れたのは10分程度で、18:30現在ベタッと曇っています。(追記)22時後半からまた晴れてきました。低空の上雲越しでぼやけていますが、比較のため取りあえず撮ってみました。貴重な機会、空の神様に感謝したいです。

月面X高度
補記:
ちょっと興味があって、月面探査機「かぐや」の高度データを使って月面X付近の標高から段彩図を描くプログラムを作ってみました。データの範囲は今日の写真で言うと緑枠のところです。黄色や赤は標高が高く、緑や青は低い土地です。かぐやのデータは小さなクレーターまで分かる程度の解像度でした。

月面X地形は赤い部分のうち右斜面から光り出し、日射は数時間かけて斜面の低いほうまで降りてきます。左斜面に日が差すまでに数日経っていて、その頃に明暗の差が見えなくなります。もうXには見えないと言うことですね。月には大気が無いので日の出時の大気減光はありませんが、地球と違って太陽が地平に登り切るだけでも1時間くらいかかります(日本ならたったの2分)。X地形は日の出から30分経っても太陽が半分しか当たらないほど、大変緩やかな日照変化になるのです。

参考:
月面Xに関係する記事一覧(ブログ内)
アーカイブ:月の形(黄経差72度以上、108度未満)

ラブジョイ彗星がM79に大接近2014/12/29

20141229ラブジョイ彗星
夜中近く日付が変わる頃。いつの間にか雲は去り、空は晴れていました。沈みかけの月が西空でまだ輝き、雨上がりの湿気でひどく霞んでいます。

ラブジョイ彗星(C/2014Q2)がM79という星団に大接近しました。M79はうさぎ座のメシエ天体で、冬空唯一の球状星団です。とても小さく少々の望遠レンズでは見栄えがしないので、思い切って500mm望遠鏡を使いました。彗星頭部はとてもはっきりして、尾は左上(北東)に向いています。

下左画像は彗星中心に撮った画像とその白黒反転、下右星図は今夜から5日分の位置です。尾が複雑に発達しているようですが、淡すぎてよく分かりません。もう少しクリアな空だったらよかったのにと思いました。

  • 20141229ラブジョイ彗星
  • ラブジョイ彗星の位置

参考:
ラブジョイ彗星(C/2014Q2)に関係する記事