ユーティリティ:太陽高度とアークの時刻表(目次)1970/03/08


指定日の「太陽高度到達時刻」「南中時刻」「南中高度」、および「主虹・副虹」「環天頂アーク」「環水平アーク」の高度を計算するユーティリティです。太陽高度などは観察者の位置によって変化するため、計算位置を県単位で指定することができます。またアークや虹が見やすい時間(または見えない時間)と高度が分かります。観察時期や時刻を絞るのにぜひお役立てください。



《ユーティリティ「太陽高度とアークの時刻表」の解説》

太陽は一日一回東から昇り、西に沈みます。これは地球が一日一回自転するためそう見える訳です。でも同時に太陽を1年かけて楕円軌道を回る公転もしており、更には自転軸が公転面に対して傾いていますから、空の太陽はかなり複雑な位置変化をします。夏と冬で太陽の高さが変わったり、時期によって南中時刻が変化するのはこのためです。

日時を指定したとき太陽高度を計算するWebサイトは国立天文台をはじめ幾つもあります。でも逆に、日付と太陽高度を指定したとき時刻が分かるような「逆算」サイトはほとんど見かけません。そこで、その機能を持つ時刻表ユーティリティを作ってみました。

この時刻表は太陽高度に左右される各種の気象光学現象を観察するとき役立ちます。例えば「虹」はお天気雨ならいつでも見えるという訳ではなく、太陽高度が一定以上だと全く見えません。見える時間帯はいつなのか知るには、このユーティリティのような逆算が必要です。(※ただし主虹・副虹が「空の中に見える」という前提です。この前提を無くせば、虹は太陽さえ出ていれば日時に関わらず見えるでしょう。例えば真夏の正午でも、高い塔や航空機などから地平下に虹の弧が見えることがあります。このサイトの画像で太陽高度がもっと高い状況だと、虹は全て地平下になります。)

珍しい現象である「環天頂アーク」や「環水平アーク」はどの季節の何時ごろどの高さに見えるのでしょう?原理的に見えない日時にいくら探しても見つかりません。観察時間を有効に使うためにも時刻表をご利用ください。また気象光学現象は必ずしもベストな状態で出現してくれるわけではなく、一部分しか見えないことも多々あります。このとき時刻と太陽や地平線に対する位置関係を測っておけば、このユーティリティを使ってある程度絞り込むことができるでしょう。以下に時刻表の内容を解説します。

場所の選択各都道府県の県庁所在地を選択できます。知りたい観察地に最も近い場所を選びましょう。北海道と東京、鹿児島、沖縄は広いので、県庁以外に数カ所指定できます。またスペシャルとして日本の各方位末端地と、富士山山頂も選択できます。
日の出時刻
日の入時刻
(方位角)
太陽の上辺が見かけの地平線に接する時刻(大気補正あり)です。いっぽう、太陽および各気象光学現象の高度は観察者にとっての水平から測った高度角(大気補正なし)であり、見かけの地平からの角度ではありません。標高が高くなると見かけの地平高度はマイナス値になることも加味されますので、太陽高度0°は日出没時刻と一致しません。

方位角は北から東回りに測った角度で、北=0°、東=90°、南=180°、西=270°となります。方位角は南から測る場合や右回り・左回りなどいろいろなケースがあるため、混同しないようにしましょう。(大きくは右手系と左手系の二種に分けられます。)
南中時刻
南中高度
天の北極と観察者天頂、そして天の南極を通る線(子午線)を太陽中心が通る瞬間の時刻および中心高度です。南中時の太陽高度は一日の中で最も高くなりますが、必ずしも正午に起こるとは限りません。
太陽高度の到達時刻
(南中前/南中後)
太陽が南中高度より低い指定高度になるのは、南中前・南中後の2回あります。このユーティリティでは2°刻みに高度を指定し、到達時刻と太陽中心の方位角を計算します。夏至近くの低緯度地方では太陽が天頂を通り越して北寄りの空になりますのでご注意。
主虹の頭頂高度
副虹の頭頂高度
主虹は自分を中心に太陽と反対の方向(対日点/昼間は地面の下です)から約42°の離角に現れることが知られています。(副虹は約51°です。)この離角は色(光の周波数)によって若干変わるため、虹は幅を持って見えることになります。(主虹と副虹は幅が違います。)

このユーティリティでは主虹と副虹の一番高い「頭頂高度」を、後述のナトリウムD線の波長で計算します。時刻表から分かる通り、主虹・副虹は朝と夕の2回チャンスがあります。
虹説明図
環天頂アークの高度環天頂アークは太陽のおよそ46°上方に現れる気象光学現象で、太陽高度が約32°以下の時に出現する可能性があります。見た目には虹色の幅があり、下へ反っているように感じますが、三次元的には右図のように水平です。ただし全周見える訳ではなく、方位角は太陽方位プラスマイナス約54°以下です。

厳密には太陽と環天頂アークの離角は46°固定ではなく太陽高度によって変化し、概ね太陽高度22°付近でもっとも明るく見やすくなるようです。このユーティリティでは後述のナトリウムD線の波長で高度計算します。時刻表から分かる通り、環天頂アークが見える条件の日は、朝と夕の2回チャンスがあります。
環天頂アーク説明図
環水平アークの高度環水平アークは太陽のおよそ46°下方に現れる気象光学現象で、太陽高度が約58°以上の時に出現する可能性があります。見た目には虹色の幅があり、緩やかに下へ反っているように見えますが、三次元的には右図のように水平です。これも全周見える訳ではなく、方位角は太陽方位プラスマイナス約54°以下です。

厳密には太陽と環水平アークの離角は46°固定ではなく太陽高度によって変化し、概ね太陽高度68°付近でもっとも明るく見やすくなるようです。このユーティリティでは後述のナトリウムD線の波長で高度計算します。時刻表から分かる通り、環水平アークが見える条件の日は、南中時をはさみ午前から午後まである程度の時間幅があります。また夏至近くの南中時は逆に見えづらくなります。
環水平アーク説明図
計算に使う波長
(ナトリウムD線)
多くの気象光学現象は虹色や偏色などに見えますから、色ごとに考えれば若干異なった位置に出現することになります。このため計算する色(光の波長)を定めないと解に幅が生じます。光学の計算ではナトリウムD線の波長(D1線とD2線の中心589.3nm)に対する空気・水・氷の各屈折率がよく用いられるため、このユーティリティの高度算出もそれに倣いました。ですから厳密には虹またはアークの赤や青の端ではなく、オレンジ光付近の高度とお考えください。(オレンジ光→トンネルなどの照明に使われるナトリウムランプの色を思い浮かべましょう。)


※メンテナンスなどにより計算サーバー(本ブログとは別)が止まっているときは表示できません。半日から一日程度時間をおいてお試しください。

この時刻表は自作プログラムによるもので、時々無作為にチェックしています。誤差以外に間違いがあるかも知れないので、見つけたらお知らせください。精度は趣味で楽しめる程度ですから、ご理解の上ご利用ください。


ユーティリティ:太陽高度とアークの時刻表1970/03/08


年月・場所を選択し計算ボタンをクリックしてください。詳細は目次の解説をお読みください。


  • 環天頂/環水平アークは表中の文字色が明るい欄ほど実際に明るく見えて目にとまりやすい様です(経験則)。概ね環天頂アークの場合は太陽高度22°付近、環水平アークの場合は同68°付近となります。(※太陽からアークまでの離角は太陽高度によって変化します。離角は表値から引き算で計算できます。)
  • 高度が書いてない気象光学現象は原理的に見えません。
  • 低緯度地域において太陽が天頂を通る時期は、まれに計算できないケースが発生します。その場合は場所を近隣に変えるか日付を変えてみてください。またブログが閲覧できても計算用サーバーがメンテナンス等で止まっている場合もあるのでご注意を。