準水平月がすばるに並ぶ ― 2025/04/30
昨宵に極細月とプレアデス星団(すばる)が大接近すると言うので、楽しみにしていました。日中は風が強かったけれどほぼ快晴が夕方まで続き、ワクワクしながら準備。ところが日没後やっと月が見え始まった頃から雲の襲来が…。
構図を決め、日周を追いかけながら待つも、月が見えないほど雲が厚くなってしまいました。西に傾いた冬の星々も所々の雲間からチラッと見えるのみ。断片的に月の一部やすばるが二つ三つ見えることはあるけれど、残念ながら全体が晴れることは無さそうでした。
元々低い場所での現象ですから、薄暮が収まってくる頃には地上の風景が写野に迫ってしまいました。今夜は収穫無しかぁ…と諦めかかったとき、偶然にも雲の薄いところが横切ってくれたのです。夢中で200枚ほど撮影、数分後には再び厚い雲と地上の建物に隠されました。一番雲の影響が少ないところをスタックして仕上げたのが左画像です。上方向が天頂向きで、ずいぶん水平月に近い状態であることが分かりますね。月高度は約7°で、もう夕日のように月もすばるも真っ赤になってしまいました。
月とプレアデス星団は一定の周期で近づいたり遠ざかったりします。月の軌道面(白道面)は黄道面に対して約5.1°傾斜していますから、月の黄緯は高々プラスマイナス5.1°に収まります。この範囲で、白道と黄道との交点は常にゆっくりドリフトしているため、この周期がプレアデス星団との接近に大きく影響しています。右図は時系列で月とすばるの最短離角をグラフにしたもの。2024年から2029年あたりは接近の当たり年になってます。記事末にこの期間の見易いケースを一覧にしましたのでご活用ください。
これは何もすばるに限らず、黄緯がプラスマイナス5°以内にある天体に対して月は定期的に接近する可能性があるのです。M35やM44(プレセペ星団)なども仲間ですね。
構図を決め、日周を追いかけながら待つも、月が見えないほど雲が厚くなってしまいました。西に傾いた冬の星々も所々の雲間からチラッと見えるのみ。断片的に月の一部やすばるが二つ三つ見えることはあるけれど、残念ながら全体が晴れることは無さそうでした。
元々低い場所での現象ですから、薄暮が収まってくる頃には地上の風景が写野に迫ってしまいました。今夜は収穫無しかぁ…と諦めかかったとき、偶然にも雲の薄いところが横切ってくれたのです。夢中で200枚ほど撮影、数分後には再び厚い雲と地上の建物に隠されました。一番雲の影響が少ないところをスタックして仕上げたのが左画像です。上方向が天頂向きで、ずいぶん水平月に近い状態であることが分かりますね。月高度は約7°で、もう夕日のように月もすばるも真っ赤になってしまいました。
月とプレアデス星団は一定の周期で近づいたり遠ざかったりします。月の軌道面(白道面)は黄道面に対して約5.1°傾斜していますから、月の黄緯は高々プラスマイナス5.1°に収まります。この範囲で、白道と黄道との交点は常にゆっくりドリフトしているため、この周期がプレアデス星団との接近に大きく影響しています。右図は時系列で月とすばるの最短離角をグラフにしたもの。2024年から2029年あたりは接近の当たり年になってます。記事末にこの期間の見易いケースを一覧にしましたのでご活用ください。
これは何もすばるに限らず、黄緯がプラスマイナス5°以内にある天体に対して月は定期的に接近する可能性があるのです。M35やM44(プレセペ星団)なども仲間ですね。
【月とプレアデス星団の接近】
最小離角日時(JST) | M45・月離角(°角) | 月高度(°) | 月齢 | 太陽高度(°) |
---|---|---|---|---|
2022年11月10日 0:30:02 | 2.79 | 75.86 | 15.195 | -66.36 |
2023年1月30日 19:19:42 | 2.46 | 75.41 | 8.560 | -27.33 |
2023年10月31日 1:08:47 | 1.23 | 77.15 | 15.926 | -58.04 |
2023年12月24日 17:19:57 | 1.56 | 36.45 | 11.367 | -9.52 |
2024年1月21日 0:47:19 | 1.03 | 21.98 | 9.160 | -70.28 |
2024年12月14日 4:13:46 | 0.20 | 10.68 | 12.536 | -29.39 |
2025年3月5日 23:27:10 | 0.24 | 4.26 | 5.571 | -59.59 |
2025年8月17日 0:12:49 | 0.22 | 18.69 | 22.834 | -40.39 |
2025年11月7日 0:49:23 | 0.62 | 77.85 | 16.142 | -62.89 |
2025年12月31日 23:38:56 | 0.75 | 51.88 | 11.539 | -77.34 |
2026年3月23日 19:01:59 | 0.93 | 42.71 | 4.360 | -14.35 |
2026年10月1日 2:43:03 | 0.90 | 79.28 | 19.594 | -34.98 |
2026年11月24日 19:31:26 | 0.42 | 40.99 | 15.145 | -36.59 |
2027年1月18日 17:02:12 | 0.75 | 54.87 | 10.485 | -2.47 |
2027年7月29日 0:29:16 | 0.22 | 7.23 | 24.519 | -34.53 |
2027年10月18日 19:09:49 | 0.13 | 7.49 | 18.315 | -26.57 |
2027年11月15日 5:16:58 | 0.15 | 21.24 | 16.278 | -12.23 |
2028年1月9日 1:31:26 | 0.28 | 23.13 | 11.847 | -63.74 |
2028年7月18日 4:24:59 | 0.26 | 45.44 | 25.040 | -3.31 |
2028年10月8日 3:03:57 | 0.51 | 75.07 | 18.986 | -32.48 |
2028年12月29日 1:44:31 | 0.73 | 28.07 | 12.610 | -60.91 |
2029年2月21日 18:50:55 | 0.80 | 67.54 | 7.972 | -17.43 |
2029年7月8日 2:40:22 | 1.69 | 15.33 | 25.576 | -18.72 |
2029年9月28日 3:21:11 | 1.84 | 76.24 | 19.317 | -27.27 |
2029年12月18日 22:20:54 | 2.02 | 74.07 | 12.937 | -69.33 |
2030年3月10日 22:37:23 | 2.75 | 8.33 | 6.294 | -54.00 |
- 自作プログラムによる計算です。
- 日本経緯度原点による測心計算で、最小離角が3.0°以内、太陽から20°以上離れ、太陽が沈んでいる時間帯に最小離角で空に実現していることを条件としてピックアップしました。
- 2020年から2035年まで計算した中の、条件に合うものだけの表です。これら以外にも「近い」と感じるチャンスは多くあります。
- 昨夕は最接近時が日没前だったため、この表には入っていません。
今日の太陽と明け方の土星 ― 2025/04/30
昨夜から今朝は概ね快晴。今日朝からも良く晴れています。時々風が強く吹いています。
左は9:30過ぎの太陽。左上リム近く、活動領域14079が目立ってきました。まだ肉眼黒点としては見えないようです。もう数日したら見えるでしょう。中央右上、蛇のようなダークフィラメントが素晴らしいですね。このまま端まで持ちこたえて欲しい。左リムからも新たなプロミネンスが出てきました。
【追記】
27日明け方に続き、本日30日明け方にも土星観察実施。1.5時間前の準備中は穏やかな晴れ間でしたが、金星が隣家の屋根から見え出す頃には4m/sを越す強風が鏡筒を揺らし始めました。通常なら惑星強拡大などしない風速でしたが、やむを得ず実施。どのロールも写野外にはみ出てしまうほど揺れました。強引に4ロールをスタックして、それを更にコンポジットしたのが左画像です。27日より更に強めに処理してますが、元々ダメショットばかりなので環の影は見えませんね。
ただ、たった三日の差ながら10分ぶんほど土星が高くなりましたので、とても写しやすくなったことを実感しました。超低空の撮影は高度がわずか数度変わっただけでも大きく違います。5月7日までに穏やかな晴れ間がやって来て欲しいですね。
左は9:30過ぎの太陽。左上リム近く、活動領域14079が目立ってきました。まだ肉眼黒点としては見えないようです。もう数日したら見えるでしょう。中央右上、蛇のようなダークフィラメントが素晴らしいですね。このまま端まで持ちこたえて欲しい。左リムからも新たなプロミネンスが出てきました。
【追記】
27日明け方に続き、本日30日明け方にも土星観察実施。1.5時間前の準備中は穏やかな晴れ間でしたが、金星が隣家の屋根から見え出す頃には4m/sを越す強風が鏡筒を揺らし始めました。通常なら惑星強拡大などしない風速でしたが、やむを得ず実施。どのロールも写野外にはみ出てしまうほど揺れました。強引に4ロールをスタックして、それを更にコンポジットしたのが左画像です。27日より更に強めに処理してますが、元々ダメショットばかりなので環の影は見えませんね。
ただ、たった三日の差ながら10分ぶんほど土星が高くなりましたので、とても写しやすくなったことを実感しました。超低空の撮影は高度がわずか数度変わっただけでも大きく違います。5月7日までに穏やかな晴れ間がやって来て欲しいですね。