上弦を過ぎた月面と地球接近中のZTF彗星2023/01/30

20230129_09942月
昨夜から今朝も良く晴れました。上弦を過ぎて月の南中が少しずつ遅くなっています。今月は月面X地形やLOVE地形の出現タイミングが昼間だったため、宵空に見たときは各地形がすっかり明るくなっていました(左画像)。

左画像は29日19:40過ぎの撮影で、太陽黄経差は約99.42°、撮影高度は約62.65°、月齢7.57。2023年1月22日記事に書いた通り今月22日の新月は近年でもっとも近いものであったため、月は現在急速に遠くなっており、日々撮影してると小さくなってることを感じます。なお来月2月6日の満月は2023年の満月で最遠・最小となります。

シーイングは前夜より悪化していましたが、ヒラヤマ・クレーターを探してみました。下A画像は縁の海・スミス海を上向きにして撮影した拡大画像、下B画像はA画像の一部を切り取ったもの。黄色矢印の部分、リムぎりぎりに見える大きなクレーターがヒラヤマです。画像処理の加減のせいか、ひと晩前の画像よりも若干見やすくなりました。

  • 20230129_月面1

    A.縁の海・スミス海
  • 20230129_ヒラヤマ・クレーター

    B.ヒラヤマ・クレーター


あちこち見て回っていると、タイミング良くプトレマイオス・クレーターの中に見事なRay現象(→2022年4月11日記事参照)が出ているのを発見!これは興奮しました。偶然ゲインを高くしていたのが幸いしたのですが、そうでなかったら暗くて見逃していたことでしょう。下C画像に明る目に処理した画像を載せました。クレーター底に何本もの光線が差し込んでいますね。1本だけでも貴重なのに、これだけ乱立するのは大変珍しい。※下弦側のプトレマイオスRay現象は1本だったはずです。

もうひとつ、アリスティルスとアウトリクスが縦並びになっているすぐ南にある「点々の地形が作る横向きハート型」が良く見えました(下D画像)。トビラ画像の月面全体を写した画像では、文字通り点線で描いたハートのように見えるでしょう。拡大するといくつもの小さな地形(小山?ドーム?)がストーンヘンジ(?)のごとく並んでいることが分かります。不思議ですよねぇ。これも月のウサギ模様などと同じ「パレイドリア」なんでしょうか。

  • 20230129_プトレマイオスのRay現象

    C.プトレマイオスのRay現象
  • 20230129点々ハート

    D.点々ハート


夜半をすぎて30日になったところで、ZTF彗星(C/2022 E3)を撮影。前夜より空が白く感じ、大丈夫かなぁと心配しましたが、何とか写ってくれたようです(下E・F画像)。白黒反転画像を見ると尾の向きがよく分かります。南西(右下)に伸びるのがイオンテイル、南側に大きく広がっているのがダストテイル、うち左寄りのものはアンチテイル成分。イオンテイルとアンチテイルのなす角も日々変わっています。イオンテイルは途中から数本に分かれているように見えます。今日未明から明後日にかけては、尾の方向角変化が1時間あたり1°を越えてしまう、とんでもない速さになります。

明日は北極星に一番近づき、イオンテイルの向きもほぼ南向きになるでしょう。地球に近いため、大きさや移動速度、各種の角度変化も大きくなります。北側に障害物がなければ宵の時間でも見えますので、晴れたら探してみてください。

  • 20230130_ZTF彗星(C/2022 E3)

    E.30日未明のZTF彗星(C/2022 E3)
  • 20230130_ZTF彗星(C/2022 E3)

    F.E画像を白黒反転高コントラスト化


※過去に掲載した2022年12月19日記事2023年1月26日記事2022年12月25日記事の各図を下に再掲しておきます。

  • ZTF彗星(C/2022E3)光度変化

    G.光度変化
  • ZTF彗星(C/2022 E3)・尾の向き

    H.尾の向き
  • ZTF彗星(C/2022E3)・見かけの移動速度

    I.見かけの移動速度


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