太陽が太陽系重心から一番離れる時期です2022/03/08

20220308-1100JSTの空
当地・茨城南部は昨夕から天気が崩れ始め、今日は曇り時々小雨模様。こんな日は空を見ても灰色しか見えませんので、プラネタリウムソフトなどを使いながら「次に晴れたら何見ようかな」などと想像を膨らませています。

ところで2日ほど前に木星が「合」を迎え、宵空から明け方の空へ移りました。実際に木星が明け方見え始まるのはずっと先だと思いますが、この数日に何か心に引っかかっていることが、今日になってようやく判明しました。

まずは左図をご覧ください。本日3月8日昼前(11:00)の様子をStellariumで描いたものです。これを見ると太陽から金星や火星まで、わずか46°ほどの離角内に5つもの惑星が集合しているのです。実際は太陽に近い天体が見辛いですから惑星集合を気軽に楽しめると言うわけではありませんが、この「太陽系天体が偏っている」という点がポイントです。

1年半近く前、2020年の暮れに夕空で木星と土星が超接近したことがありました。このとき、重たい惑星がふたつも同じ方向にあると、太陽はバランスを取るために反対方向へずれる、というお話しを2020年12月25日記事に書きました。では今はどうなっているのでしょう?これが心に引っかかっていたのでした。

太陽系重心と太陽重心
まず「惑星が集合している」といっても、あくまで地球から見た平面的な解釈です。実際にシミュレートすると、太陽より向う側にあるのは木星と土星だけ。火星と水星は地球から太陽を見る視線に対して右(天の西)側へ直角に近い方向に離れており、「綱引き」の軸上にはほとんど関与していないでしょう。また金星は内合から二ヶ月過ぎましたが、どちらかというと木星や土星と反対側(地球に近い側)の勢力です。

前述リンク記事に倣って具体的なずれを計算してみると、右図のようになりました。天の赤道面北極側から見下ろした図で、原点は「太陽系重心」、また曲線は「太陽重心」の位置変化。横軸正の向き(春分=0h)を基準に、反時計回りに赤経を当てはめています。もうすぐ春分で、冒頭図でも天の赤道と黄道が交わる点が春分点と分かりますから、木星や土星は春分点に比較的近いということがわかるでしょう。

図の中に今年3月1日の位置をピンクのドットで示してあります。つまり太陽は木星や土星とは反対側に大きくずれていることが分かるでしょう。具体的には2022年2月18日に今年プラスマイナス10年間の中で最も離れていたことになります。太陽直径を1とすると、ずれは0.990120(約1378284.76km)になりました。今日現在も0.990102ですからほとんど変わりません。

また赤道面と垂直方向に関しても、現在は巨大惑星がふたつとも赤緯がマイナスなので太陽は太陽系重心の北側(図では青線)にずれてバランスを取っていますが、木星の赤緯がプラスに転じてしばらく経った来年春からは太陽も南側にずれる(図では赤線)ようになります。5、6年経つと木星と土星が相対する位置になり、太陽のずれは比較的小さくなり始めます。※次の極小は2030年1月26日の0.067009(約93278.53km)です。空の上では音もなく緻密で壮大なバランスゲームが繰り広げられているのですね。