6つの太陽系天体が勢揃い2021/02/13

20210210-2231JST太陽系天体会合
昨日12日に新月を迎えましたが、当地・茨城はその前日辺りから天気が冴えません。夜も短くなり始めたし、貴重な天体観察時間を有効に使いたいものですが…天気ばかりは逆らえませんね。

ところで、ご存知のように新月とは太陽方向に月が重なること。今月の様子を星座アプリなどで表示すると分かりますが、太陽方向に近いのは月だけじゃありません。宵空高く踏ん張ってる火星を除き、他の可視惑星(水星・金星・木星・土星)がすべて太陽の側です(左画像参照/Stellariumによる2021年2月10日22:31JSTのシミュレート/日時は後述の表参照)。太陽を含めると6天体も大集合!これって珍しいことなのでは!?

早速自作プログラムを組んで1950年から2050年まで計算してみました。条件は「太陽・月・可視惑星5個のうち6天体以上が最大離角20°以内に集まるチャンス」です。結果を下表に掲載しました。複数日にまたがることが多いので、連続する期間の中から最大離角が最小になる日時のみを示しました。

100年間で6回…。微妙な少なさ(?)ですね。周期性もありませんし…。でも貴重であることは確かです。水星は太陽から余り離れないため、水星を計算条件に含めた時点で太陽近くであることが確定してしまいます。ナイスタイミングなことに、めったに出会わない木星と土星が昨年末に宵空(=太陽に近い)で超接近してますから、この影響が大きいでしょう。フルサイズ一眼なら120mmレンズの対角が約20°。実際は太陽があるため写せませんが、軽望遠で収まる範囲に6天体も集まってることは純粋に驚きですね。

20400908-1820JST(赤道直下)
ちなみに下表2000年5月4日の会合は、1980年代後半から増え始めた近代型大型プラネタリウム(当時私も勤務してました)の初期設定・動作確認でよく使われました。投影機を2000年5月5日正午に設定すると、太陽・月を含む全惑星が南天正面に集合します(※表の5月4日には火星が入ってませんが、下段の5月17日には入っていることから分かるように、かなり近くにいます)。太陽系天体は恒星球本体から独立した個々の投影系統を持つため、個別チェックが面倒。そこでこの設定にするとランプ切れや誤動作がドーム正面でいっぺんに確認でき、重宝されたのです。なにより、覚えやすい日付なのがイイ!

また2040年9月8日の会合はメンバーに太陽が入ってません。したがって日没後に6天体をまとめて撮影できる超貴重なチャンスです。日本では高度が低くて困難かも知れないけれど、赤道あたりまで南下するとかなり高い位置で観察・撮影できるでしょう。右上画像は茨城県つくば市の経度のまま赤道直下まで移動した場所における、日没約50分後のシミュレート。すごい光景ですね。画像左側にからす座が写ってますから、いかに狭い範囲に集まってるか分かるのではないでしょうか。

【6天体以上が20°以内に会合する最接近日時・1950-2050年調べ】
日時(JST)会合天体最大離角最大離角天体
1962年2月5日 13:50太陽・水星・金星・月・火星・木星・土星16.1555°月火星離角
2000年5月4日 23:11太陽・水星・金星・月・木星・土星16.1492°太陽火星離角
2000年5月17日 19:29太陽・水星・金星・火星・木星・土星19.4733°金星火星離角
2021年2月10日 22:31太陽・水星・金星・月・木星・土星15.6382°太陽月離角
2032年6月8日 11:59太陽・水星・金星・月・火星・土星17.5858°水星月離角
2040年9月8日 19:35水星・金星・月・火星・木星・土星9.4785°火星木星離角

  • 自作プログラムによる地心視位置での計算です。
  • 最大離角天体および最大離角とは、該当日時における天体配置の中で、一番離れている天体とその角距離のことです。
  • 最大離角20°以内の会合は複数日にまたがります。上表ではその中でもっとも接近する日時のみを示しました。ただし期間内で天体数が変化する場合は、離角の小ささよりも天体数を優先しています。
  • 現象サーチの時間分解能は1分のため、これより細かい(一瞬だけ20°ギリギリをかすめるような)接近会合を見落としている可能性があります。
  • 各天体の移動速度は異なるため、最大離角が連続して変化することは珍しく、大抵は天体の順が入れ替わる瞬間に離角が不連続に変化します。


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