夜明けの空に輝くハッブル宇宙望遠鏡2021/01/03

20210103ハッブル宇宙望遠鏡
「〇〇年選手」という表現があります。星が好きで望遠鏡やカメラをお持ちのみなさん、ご自身の機材で一番古い(もちろん現在も使用中)ものは何年選手ですか?私の場合、30年選手の反射望遠鏡と20年選手の屈折望遠鏡ですかね。

老いてなお人工天体として活躍中の筆頭は国際宇宙ステーション(1998年から稼働)でしょうが、それだけではありません。ハッブル宇宙望遠鏡(HST)もまた1990年打ち上げという長い歴史があり、満身創痍ながらいまだに現役です。

久しぶりにHSTを見たくなり、調べると年末年始に良いパスがありました。今日明け方薄明開始ごろ撮影したのが左上画像。中央にからす座があり、その南側を西から東へ横切っていきました。ひとコマ間に1秒の間欠があるため点線になっています。他にも三本ほど暗い衛星の軌跡が写ってました。

20210103_22308月
驚いたのはその光度。通常HSTは明るくても最大2.5等程度の予報値。これまで何度も見ているけれど予報より大幅に明るいことはありませんでした。ところが今朝はスピカ(0.95等)よりも明るい!見間違いかと思ったほどです。そうなると分かっていたらもう少し構図を変えたのに…後の祭り。

wikiなどにはHSTの落下時期が2021年などと書いてあります。宇宙望遠鏡の開発史が次々に遅れているためすぐにHSTを落とすようなことはしないでしょうけれど、いまのうちに楽しんでおいたほうが良さそうですね。

右画像は2:30ごろ撮影した月。太陽黄経差は約223.08°、撮影高度は約70.9°、月齢19.05。通過するHSTの上空に煌々と輝いていました。あと三日ほどで下弦を迎えます。

今日の太陽2021/01/03

20210103太陽
朝からよく晴れています。年末年始に強まっていた風も、昨日や今日は弱くなりました。朝は寒いものの、日中の日向は心地よいですね。

20210103太陽リム
左は10:30過ぎの太陽。近日点通過から約12時間過ぎました。昨日の太陽撮影時における地心太陽距離とほとんど一緒なので、見た目の大きさも一緒。これから夏に向けて少しずつ小さくなります。

活動領域12794・12795は健在ですが、双方とも黒点はもう見えません。領域として広がっている部分が分かるのみです。プロミネンスがところどころ出ていますが、右上のものは光球内から外側へ飛び出た立体構造が分かります。今後しばらく静穏な太陽面になる見込みです。

今日の太陽2021/01/04

20210104太陽
昨夜は早くから雲が出て、夜半前には月すらはっきり見えなくなりました。今日も朝のうち雲がありましたが、徐々に青空が広がりました。

20210104太陽リム
左は11時前の太陽。黒点は見えませんが活動領域12794と12795はまだ残っています。右上リムに突き出たプロミネンスが目立ちました。

まだまだ見頃のクリムゾンスター2021/01/05

20210104_R-Lep
ミラ型の長周期変光星として有名なうさぎ座R星、通称「ハインドのクリムゾンスター」が見やすい時期を迎えています。ちょうど宵にオリオン座と共に昇りますから観察にもってこいのタイミング。

前回の極大は2019年10月初旬でした。周期が約427日=約14ヶ月ですから、今期の極大は一ヶ月前、2020年12月ごろになりますね。実際にAAVSOやVSOLJの観測データでグラフを書くと、今日現在は下降へ向かっています(右下図はAAVSOによるもの)。それでも数ヶ月で1等程度のペースですから、この冬いっぱいは小型望遠鏡ですぐ探せる明るさです。

AAVSO_R-Lep
左上画像は昨夜夜半前に撮影したもの。真ん中の真っ赤な星がそうです。肉眼で直接観察は無理ですが、望遠鏡で見ると深紅の色合いがはっきり感じられるでしょう。(個人的には暗い時期のほうが赤が引き立つように感じます。)

20210104_小惑星Seitennokai (1996 AQ2)
このほか昨夜は所属天文同好会の名を冠する小惑星を撮影。ちょうど衝の位置近くに来ており、あと一週間ほどで最大光度(16.7等程度)となります。

日付をまたぐ撮影で、月明かりがあり、透明度も落ちていたので心配でしたが、何とか写ってくれました。撮影が終わった頃から薄雲が張り出し、その後は皆曇になりました。まさに間一髪。