凍える夜の二重星めぐり2021/01/10

20210109シリウス
昨夕に星仲間のTさんからシリウスの伴星についてのメールがあり、つい自分も久しぶりに二重星巡りをしたくなりました。宵の雲も早くに取れたため、機材をセットし1時間ほど外気に慣らします。眼視メインに考えていたのですが、夜半前からマイナス5度を下回り始めたため、1等星3つでギブアップ。体調を考え、以降は撮影のみにしました。

冬にしてはシーイングが落ち着いていましたが、年間で考えればやはり揺らぎが大きいシーズン。シリウスBはあの手この手で何度見返しても見えませんでした。昨年11月に見たときはあっさり見えたのに…。リゲルは20cm100倍程度でも余裕で分離。カストルもA系B系C系すべて良く見えました。撮像で強めの処理をしたらシリウスBがなんとか浮き出ました(左画像・マーカー部分)。

シリウス連星軌道図
計算上は2022年秋に伴星が最も離れるようです(※採用する伴星軌道要素によって多少のバラツキあり)。でも、今冬もほとんど変わりません(最大離角時との差は0.11″程度)。主星原点で天の北方向から東回りに測った伴星方向角(PA=Position Angle)は2020年頭で68.34°、2022年秋で63.10°(右図参照/各軸の目盛数値は角度の秒)。2031年夏を中心に前後数年は伴星方向角が45°前後となるため、私のような斜め45°のスパイダーが出る光学系ではご注意を。チャンスがあったらどんどん探してくださいね。

色の対比が美しい暗めの二重星なども見たかったけれど寒さに勝てず…。もう少し暖かく穏やかな時に再挑戦したいと思います。当記事に掲載した画像はすべて昨夜撮影したもので、同一縮尺、上方向が天の北方向になります。ただし星ごとに撮影条件が異なるため、別画像同士の光度比較はできませんのであしからず。

  • 20210109リゲル

    リゲル
  • 20210109カストル

    カストル
  • 20210110ミザール

    ミザール
  • 20210110コル・カロリ

    コル・カロリ


  • 20210110γLeo

    γLeo
  • 20210110γVir

    γVir
  • 20210110プルケリマ

    プルケリマ


今日の太陽2021/01/10

20210110太陽
昨夜から今日明け方までほぼ快晴。明け方の気温はマイナス8度。ぎゅっと引き締まった夜明けの空に飛ぶ国際宇宙ステーションと、さそり座を飾った二十六夜月がとても綺麗でした。朝からもよく晴れています。正午時点の気温は5度。

20210110太陽リム
左は10:30過ぎの太陽。活動領域はありませんが、8時方向リム近くにプラージュがあり、ここに極小黒点群があります。左下&右上リムからは立派なプロミネンスが伸びていました。それ以外はおとなしい太陽面です。

木星・土星・水星・富士山、夢の共演2021/01/10

20210110木星・土星・水星・富士山
我が家の近くにある陸橋から遠くの富士山を拝むことができます。ゴミゴミした街の前景越しではあるけれど、病気のため大幅な移動制限がある私が自力で行ける、大切な“一番高い場所”なのです。

ちょうど今夕に「木星・土星・水星」の相互接近がありました。この陸橋はまさに1月8日&9日がダイヤ富士ポイントに当たり、また今夕は太陽赤緯と水星赤緯がほぼ一緒、つまり沈む場所がだいたい同じになります。これらの偶然が絡み合い、「日没後、富士山シルエットの上空で三惑星が出逢う」という奇跡の光景が生まれました。

実は数日前から狙っていたのですが、ここ一週間ほどずっと夕方に曇ってしまう天気パターンが続いてしまい、結局ぶっつけ本番になってしまいました。でも最後の最後にこれほど見事な快晴で本当に嬉しい。私は日没後に現場到着しましたが、先にいらっしゃった散歩のおじさんから「富士に沈む夕日がきれいだったよ」と教えてもらいました。

大きめの画像を掲載しましたから、惑星たちを探してください。一番明るいのが木星、次が水星、一番暗いのが土星です。先月超接近を果たし終えた木星と土星ですが、まだ2.2°しか離れていません。このまま立て続けに合を迎え、明け方に回ってもしばらく一緒に輝きます。いっぽうの水星もすぐUターンし、2月8日に内合、2月下旬に夜明けの低空で再び今日のトリオが会合します。空の上の密は大歓迎ですね。