台風9号に追い打ちをかける熱帯低気圧発生2020/09/01


20200831-1500JST衛星画像
8月31日は今年の雑節「二百十日」でした。折り悪く台風9号が南西諸島に接近。8月31日21:00時点では「大型で非常に強い」クラスとなっています。更に都合悪いことに、「台風になるかも知れない熱帯低気圧」が同緯度・9号の東に発生しました。2日ほど前から雲が固まっており、ヤバそうだなぁと感じていたのが的中しました。

左は熱帯低気圧発生の発表があった15:00時点の衛星画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。ナチュラルカラー処理のため、薄水色の雲は活発に上昇した氷粒状態、白やグレイの雲は低層の水粒状態を表します。赤点線円は台風中心、オレンジ点線円は熱帯低気圧中心の、各直径1000km円を表しています。
ECMWF / Monday 31 Aug, 12 UTC T+144 Valid=Sunday 6 Sep, 12 UTC
熱帯低気圧は太平洋高気圧と拮抗してほとんど停滞してますが、 ごくゆっくり西進しているようです。既に小笠原圏内なので長期滞在する恐れもあリ、十分な注意が必要ですね。参考までに、欧州中期予報センター(ECMWF)による予報図を引用すると、初期値8月31日21:00JSTでの144時間後予報では右図のようでした。九州と四国の中間付近に中心がある濃い緑エリアがこの熱帯低気圧の6日後の位置というわけです。ほぼ間違いなく台風となっており、西日本直撃コースのようですね。

9号は沖縄本島から宮古島あたりがことごとく暴風圏。しかも移動が「ノロノロ運転の車」並です。かつて無いほどの勢力で長時間勢力を振るいますから、どんな災害が発生するか予想も付きません。言うまでもなく付近の方は十分ご注意ください。

「二百十日は台風や大風に見舞われることが多い」という俗説と、これを否定する説とが相まみえていますが、台風に関してはグラフ化すると分かりやすいです。以前にも掲載しましたが下A・B図は気象庁ベストトラック確定値を使って1951年から2019年までの台風データを年間串刺し集計したもの。1日4回(0時UT、6時UT、12時UT、18時UT)ずつ、その日時に台風がいくつあるかを度数集計してあります。台風ひとつの存在につき1ポイント与えています。A図は全台風、B図は日本に接近または上陸したもののみに絞った集計です。

これを見ると二百十日(概ね8月31日か9月1日)ごろは平滑化した緑線のピーク時期より少し落ちていると分かりますが、いっぽうで青線を外側から覆う包絡線を考えたら、ほぼピークと言って差し支えないでしょう。二百十日の謂れがいつ頃からなのか諸説あるみたいですが、ここ50年で随分気象時期も変化が見られます。統計データや手法など無かった昔から言われていたことなのだから、「的を射た指摘」だったことは確かな話。細かな真偽よりも大局を察知することのほうがよほど重要で、自然に敏感だった人間の五感が偲ばれます。

  • 台風存在度数

    A.台風存在度数
  • 台風存在度数(接近上陸台風のみ)

    B.台風存在度数(接近上陸台風のみ)


コメント

トラックバック