久々に月や彗星を心ゆくまで観察2020/08/03

20200803_16773月
昨夕は日没前から雲がくすぶっていましたが、空の7割ほどは晴れていたので久々の星空を期待して機材をセットしておきました。宵空の彗星を観察(後述)していた頃は頻繁に雲が横切って散々でしたが、夜が更けると次第に晴れ渡りました。

左の月面は3日1:00頃の撮影です。何ヶ月ぶりかに見上げる快晴の月夜にうっとり…。夏の満月期なので南に低いものの、大気は比較的安定していました。ちょうど木星と土星に挟まれるように月が光ってました。おなじみのクレーターたちはもちろんのこと、明暗境界から随分離れたリュンカー山のささやかな盛り上がりがまだ確認できるのには驚かされました。

20200803_月面A
日付が変わる頃に月面Aの出現が見えたはずですが、夜半まで目一杯観測していたため機材の準備が間に合いませんでした。でも1時の段階でもちゃんと確認できました(右画像)。秤動による月面中央経度がプラス4.3°もあったため、A地形の位置はずいぶん左リムに寄って横幅が潰れています。います。以前に紹介した月面ツインAも見えていますね。お月さまはこの画像からほぼ24時間後に満月となります。梅雨入り前からお天気が芳しくなくてずっと満月を拝めていませんが、今夜こそ晴れるでしょうか?

さて、宵のうち観察した天体も載せておきましょう。最初にお断りしておきますが、いずれも度々雲の通過に見舞われて良い画像になりませんでした。どうかご容赦を。

まず、すっかり“終わった感”のネオワイズ彗星(C/2020 F3)。いやいや、まだ終わってませんよ。5等台ですから、街中で直接見えなくても立派な肉眼彗星です。何にもない夜に5等の彗星が出たら多くの人が望遠鏡を向けるのに、1等台で輝いた後に5等まで減光した彗星は見向きもしないってあんまりです。観察条件は良いのだから、もっと見てあげましょうよ。

雲だらけ+光害地の悪条件下で撮っても、まだ下のように立派な尾が写りました。B画像はA画像の白黒反転ですが、細長いイオンテイルは画像の縁まで届いています。

  • 20200802ネオワイズ彗星(C/2020F3)

  • 20200802ネオワイズ彗星(C/2020F3)



次のターゲットも彗星です。ネオワイズ彗星から東へ十数°離れたところでパンスターズ彗星(C/2017 T2)とレモン彗星(C/2019 U6)が1°あまりまで大接近していたのです(下C画像)。ネオワイズ彗星を撮影した機材そのままなので拡大率は低いですが、明るい彗星たちだから存在はすぐ分かりました。3日宵もまだ近いままなので、晴れたらぜひご覧ください。

もうひとつ、7月27日にロシアで発見されたカシオペア座の突発天体。発見光度は12.9等、その後の観測で新星と確認されました。明るいうちに撮っておこうと望遠鏡を向けたとたんに雲が…。1時間ほど攻防を繰り返した後、夜半前にようやく撮影できました(下D画像)。右半分が随分赤いなと思って調べたら、Sh2-171という大きな散光星雲に覆われていました。

他にも惑星など見たいものはたくさんあったけれど、さすがに体力切れ。腹八分目でも大満足のまま観察を終えることとなりました。あ、そうそう、明け方に見え始まったベテルギウス。今朝見たらやはり暗い印象でした。再減光が本当かどうか、今度測ってみようと思います。

  • 20200802パンスターズ彗星(C/2017T2)とレモン彗星(C/2019U6)

  • 20200802_TCP J00114297+6611190



今日の太陽とハロ現象2020/08/03

20200803太陽
昨夕から今朝は概ね晴れが続き、今朝からもよく晴れています。蝉の声が例年より少なく感じますが気のせいでしょうか?

20200803太陽リム
左は13:30過ぎの太陽。一昨日辺りから左上に目立っていたプラージュ付近は12769と採番されました。データ上は一時的に三つの活動領域が同時に見えたことになりますが、南半球の12767にあった黒点はもう裏側に回ってしまったので見えません。

代わりに12769の西側から新たな領域がやってきました。12769と同程度に明るく、SDO可視画像では黒点も見えています。プロミネンスやダークフィラメントも散見され、とてもにぎやかになりました。

15時時点のアメダス速報値による夏日地点は861、真夏日地点は550、猛暑日地点は1でした。昨日と同程度でしょうか。あと3日で夏土用も終わり、翌日は立秋です。

20200803幻日
【夕方追記】
日没前の空模様を確認していたら、太陽の右側に弱い幻日を発見(右画像)。写真を撮って丁寧に処理したら左にも出ていたことが分かりました。(左側は肉眼で確認できず。)

久しぶりの満月、火星も堪能2020/08/04

20200804_18001月
昨夕は雲が多かったので彗星たちは早々に諦めましたが、夜半になると快星になりました。前夜より気温が2度高く、透明度がやや悪いものの、シーイングはかなり安定しています。

楽しみにしていた8月の満月とご対面。左は満月時刻(4日1時前)頃を狙って撮ったものです。高度が30°しかなかったのに大気はとても安定していました。彩度をかなり上げてミネラルムーン色調にしても破綻が見られません。クレーターや海の色彩の違いまでよく分かります。

今回の満月は北側が欠けています。秤動によって月面が左下を向いているため、北側や東側の地形がよく見えますね。北極付近にあるヘルミットやピアリーなどのクレーターも容易に見つけられるでしょう。

20200804火星
少し時間をおいて、3時過ぎに高くなった火星にも望遠鏡を向けました。火星の地球最接近まで残り2ヶ月、もう小接近程度の視直径に達しています。高いおかげでとても見やすく、川底を見ているような像ではありません。これは嬉しい!

位相角が43°近くもあるため、本体が大きく欠けています。それでも地形らしき模様が判別できますね。中央の大きな影はオーロラ湾付近、欠け際にはアリンの爪の一部。南極冠が眩しい。火星はこれからどんどん大きくなりますよ。秋の長雨に見舞われる前にぜひ観察してください。

今日の太陽2020/08/04

20200804太陽
昨夜から今朝にかけては前夜同様の天気推移。今朝からも晴れていますがやや雲が多く、霞もかなりあります。

20200804太陽リム
左は13:20過ぎの太陽。昨日から左上リムに見え始まったプラージュは活動領域12770と採番されました。小柄な黒点をいくつか伴っており、左画像でもひとつだけ見えています。12770の右隣に12769、更に右、中央子午線をまたぐ大きな対流域が12768。北緯20°から30°にかけての狭い範囲に三つも活動領域が並んで壮観です。

左リムの上下にやや大きなプロミネンス。右リムには小さいものしか見えません。午前中は右上に大きなループがあったのですが正午前の数時間で消えてしまったようです。

15時時点のアメダス速報値による夏日地点は869、真夏日地点は675、猛暑日地点は33でした。昨日と比べ、真夏日地点と猛暑日地点が急増しましたね。