周極星になっているネオワイズ彗星2020/07/16

NeowiseAlps_salzgeber
肉眼彗星となっているネオワイズ彗星(C/2020 F3)が毎日のように世界中から寄せられていますが、APOD7月15日号に掲載された左画像には感動しました。クリックでAPODのページに飛びますから原画をご覧になってください。

単純に高精細に撮るに留まらず、このようにその土地ならではの条件をうまく活かし、強運も味方につけて、「彗星の子午線下方通過」という滅多にお目にかかれない構図に仕上げるセンスには頭が下がります。

北寄りの空を進行するこの彗星は北半球の一部で周極星(一日中地面に沈まない星)となっています。ある天体が周極星になるには、その「該当天体と天の北極との角距離」が「観察地の北緯=天の北極高度」よりも小さくなる必要があります(右下図参照)。大雑把な計算式にすると「天体赤緯>90°-観察北緯」または「観察北緯>90°-天体赤緯」が周極条件ですね。ネオワイズ彗星は明日17日から18日にかけて最も北寄り(赤緯が約48°)になるため、周極星として見える北半球の範囲が最大になります。

周極星の条件
札幌はおおよそ北緯43度なので、北海道の北半分は間違いなく該当エリア。左下図は7月17日20時から18日3時まで1時間おきに撮影したと仮定したシミュレーション(Stellariumによる描画)。尾の向きは日に日に変わりますが、冒頭の画像のように撮影できることが分かります。

20200717周極するネオワイズ彗星(C/2020 F3)
ただし一晩中天気に恵まれるである必要があるでしょう。また、あまりギリギリの緯度では最下部で地面や遠景・低空のモヤなどに頭部が隠れてしまいます。国内最北端なら最良ですね。なお画像上辺中央の明るい星は言わずと知れた北極星。ここからこの画像画角を把握できます。

こんなすばらしい条件に巡り合わせることができる方は、前景まで工夫しながら撮影してみてください。力作をお待ちしています。

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