9度ハロだけじゃない2020/05/31

内暈付近のハロ現象
昨日のネットニュースなどで「中部・東海・関東の広範囲で9°ハロが見えた」と話題になっていました。私も関東の端に住んでいますが、空を見ていた範囲では暈が確認できませんでした。くぅぅ…残念です。まあ気象光学現象は時の運ですからね、次に期待しましょう。

ところで、ニュースでガッカリなことがひとつ。それは「9°ハロばかり注目されていて、もっと珍しい現象が見えているのに紹介されていない」ことです。残念ながら自分で撮った実物写真がないので、シミュレーション画像で説明しましょう。(※もし撮影した方がいたら、ぜひご提供ください。)

左上はHaloSimによるハロのシミュレーション。ハロというのは、ここでは「大気中の氷粒が原因で出現する暈の仲間」という意味で使います。上半分はランダムに運動する氷粒が全て「六角柱型」の場合、下半分は全て「ピラミッド型」の場合です。

今回の9°ハロがピラミッド型氷粒で見えていることはすぐ分かりますが、では、9°ハロの外側を取り巻いていた明るい暈は本当に「いつも見ている22°ハロ」だったのでしょうか?これをきちんと確認した人がいたでしょうか?思い込みに流されていませんか?

六角柱型あるいはピラミッド型が大気中に100%…なんてことはまず無いため、大抵は組み合わさって出現します。それぞれ一番明るいのが22°ハロと9°ハロなのですが、ネットニュースの画像を見ると、20°ハロや24°ハロと思わしきものがいくつもありました。9°ハロがはっきり見える場合、ピラミッド型氷粒の割合が多いことが期待でき、上のシミュレーションのように淡いながら多種類のリングが見える可能性が大きいでしょう。淡くて珍しいハロを見逃してしまうのは惜しい!撮影した方はぜひ確認してみましょう。

※ここで言う「ピラミッド型」とは、クフ王のピラミッドのような四角錐ではなく、小難しく言うと「六角錐、六角錐柱、六角錐台、双六角錐柱、双六角錐柱の錘体頂点部分を切り落とした(→錘台)ものなどの組み合わせ」ということです。