H2Bロケット&こうのとり、最後の打ち上げ2020/05/21

20200521 H2B打ち上げ
本日2:31:00、JAXAの種子島宇宙センターからH2Bロケットが打ち上げられました。搭載しているのは国際宇宙ステーションへの補給物資を積んだHTV-9、通称「こうのとり9号」です。

今回は新型肺炎の影響で見学会場はすべて閉鎖され、打ち上げ管制に関わるスタッフも制限されるという状況でした。それでも夜間の打ち上げなら星のように飛んでゆく姿が太平洋側・関東あたりまで見える可能性があるので、楽しみにしていた方も多かったでしょう。残念ながら当地・茨城の空は分厚い雲に覆われていたので、仕方なくJAXAのYouTube中継にてリアタイ鑑賞しました。当記事画像はそのキャプチャです。

前回HTV-8の打ち上げ時に火災が発生して延期となったため、きちんとリフトオフするまでハラハラしました。ほとんど雲に隠されることなく中継映像が続いたことに驚きました。種子島は良い天気だったのですね。印象に残ったシーンをふたつ下に掲載します。ひとつは四本の固体ロケットブースター(SRB)がとてもきれいに分離したシーン。もうひとつはリフトオフから4分28秒後、中継画面を天体らしき光が通過したシーン(後述)。この天体?は画面右下に現れ、カメラのパンに合わせて左上へ通過しました。

実はH2BもHTVシリーズも今回が最後の打ち上げでした。次からは新たに開発されるH3ロケットおよびHTV-Xに世代交代します。H3の試験機は予定通りなら年内に打ち上げられますが、新型肺炎の影響が少なからず出るでしょう。なおH2Aはもうしばらく使われるそうで、今年もあと3回の予定が組まれています。

  • 20200521 SRB分離

    A.固体ロケットブースター分離
  • 20200521 天体が中継画面通過

    B.天体が中継画面通過


【検証】
上述した「画面を通過した光」が何だったのか、気になりました。航空管制が敷かれているから近距離の飛行機の類でないことは確かです。中継の方向やロケットの姿勢から、背景が南東の空であることも分かります。明るい恒星か、惑星に絞られますね。

過去のHTV資料を元に飛行経路を生成し、まずGoogleEarthで描いてみました(下C画像)。正確な経路や方程式は分かりませんので、要所要所の緯度経度高度を通る位置データを滑らかにベジェ補間してあります。太平洋側やや高い位置から見下ろすと下D画像のようになります。これくらいの縮尺だと「案外すれすれに飛んでいる」ことが分かりますね。

中継位置もわからないので適当に設定し、今度は地形シミュレーションソフト「カシミール」で同じ経路を描いてみました(下E図)。2つのピンマーカー位置は、上が「衛星フェアリング分離」、下が「第1段主エンジン燃焼停止」の位置。空に小さな文字で書いてあるのは2:40の木星位置。中継を見れば分かりますが、いったん上昇した後だんだん地球球体に沿った飛行に移る段階で下降に転じ、海の向こうへ消えてゆきます。経路がクネクネしてますがアバウトなシミュレートなのでご容赦を…。

リフトオフから4分28秒後ということはピンマーカーに挟まれた位置のどこかなので、高度は30°に届きません。他にも手計算を含め何通りか試しましたが、やはり20°あるかないかという値です。従って、木星や土星ではないでしょう。またこの方向に明るい恒星もありません。実際に見てないから本当のことは分かりませんが、可能性が高いのは「火星」だけです。

  • 20200521 HTV-9シミュレート

    C.
  • 20200521 HTV-9シミュレート

    D.
  • 20200521 HTV-9シミュレート

    E.